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第一章 ヒューマニア王国
第25話 王家との食事 02
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「ミラよ。お前はどう考えておるのじゃ?」
突然国王にとてつもなく大きな問いを突きつけられて動揺するミラだったが、すぐに冷静な面持ちで返答する。
「国王が退位された後のヒューマニア王国はこの私、ミラ・ヴァン・クライトンが引き継ぎ、今以上に民の暮らしを守り、国家を発展させることをお約束いたします」
国王が求めている回答だった。そしてゆっくりと頷く。
「うむ。ミラよ。まだ先ではあるが、この国をよろしく頼むぞ。そしてお前に残された3年をより良いものとし、盤石の体制を築くように」
「国王……いえ、父上! 本当にありがたきお言葉です」
「こんなふざけたことがあってたまるか! おいミラ! 俺は絶対に認めないぞ!」
怒って出て行くレスタ王子。
「ミラよ。あのバカは放っておけ。今まで何度もチャンスを与えてきたが、もうだめだ」
リアクションできないミラ王女。そしてそんな場面になぜ自分たちがいるんだと不思議で仕方ないロイ一家。ティアだけはリリアナ王女と朝食を楽しんでいる。
「すまなかったな、ロイよ。話を戻そう」
国王は何事もなかったかのように切り替えて、先ほどのロイ一家への相談事について話し始める。
「魔族の件が一応解決となり、余も回復した今、再びブロッカでの生活に戻ろうとしているかもしれぬが、しばらく王宮での暮らしを続けて欲しいのだ」
「……え?」
「今の魔王軍のレベルと王国騎士団のレベルを考えると、もしも魔王軍が次にヒューマニア王国を攻めてきたら、国は簡単に滅びるだろう。それくらい力の差がある。それはロイやリリカが最もわかっていることかも知れぬがな」
国王の話を静かに聞いているロイとリリカ。
「そうはならぬように、ロイとリリカに、騎士団と魔土術士を鍛えあげてもらえぬだろうか? 魔族と戦えるレベルにまで。その間、ここ王宮で暮らしてもらいたいのだ。それは同時に、この王宮が二度と魔族の計略に嵌らぬよう、護衛として留まっていてほしいのだ。情けない話ではあるが、今の王宮騎士団では護衛は務まらぬ」
物凄い要求だった。しかも、国王から直々に。
兵を鍛え上げるというのなら数ヶ月という時間ではすまないだろう。ロイはリリカの顔をみる。リリカもなんとも言えないという感じだ。
「……国王、あまりにも大きな決断となり、即答はしかねます。後ほど家族とも相談して、明日お返事させていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろんだ。いい返事を待っているぞ」
そして国王はノアの方を向く。
「それからノアよ。近々、魔土術学院に入学する気はないか?」
「「「えぇ⁈ 」」」
ノアだけでなく、ロイとリリカも驚く。
「ノアよ。お主にはミラの良き友、良き仲間となってもらいたいのだ。そして2年後、ミラには見聞を広めるためにヒューマニア王国の外側の世界を巡らせようと思っておる。
お主にはそのときにミラと共に旅をしてもらいたいのだ。ミラを危険から守る護衛として。そしてノア、お主自身のためにも」
「「「えぇ~!!! 」」」
ノアだけでなく、ロイとリリカ、そしてミラ王女まで驚いていた。朝食を楽しく食べていたのはティアとリリアナ王女だけだった。
* * *
朝食が終わり、ロイたちは部屋へ戻った。そして、人生最大の家族会議が始まった。
「ちょっと、どうするの? ロイ」
「いや、俺が聞きたいよ」
とりあえず、ロイとリリカ自身の問題のことで悩み始めたが、これは結論としてはもう出ているのと同じであった。魔族に負けるわけにはいかない。国の防衛力を高めないとヒューマニア王国は滅びる。
それは何としても避けなければならない。つまり、国王への返事としては承諾しかないのだ。
「リリカは魔土術を教えることは構わないのか? 自身の勉強の時間が割かれることになるが」
「正直、そこも交渉だと思うわ。まず、食事は王宮もしくは訓練場で全て用意してもらう、ティアやノアに世話係をつけてもらうとか。それで私の自由な時間が逆に増えるかもしれないわ」
「なるほどな。まぁ、それくらいの要求は王宮にとって問題ないだろうし。俺はどうかというと……まぁ、特に問題ないな。ノアやティアの訓練だけはちゃんとやりたいんだが……」
「そうね。それも条件に加えましょう」
こうして、二人で話し込む。そしてノアはノアで条件面を書き込んでいる。
「えっと……王都リトルガイア、城下町コンクーリへの出入自由。王宮内にノア専用の鍛冶場を増設、学院の飛び級特別試験の許可、図書の間の自由な閲覧……あ、あとダンジョンへの出入り自由と探掘後のアイテム受け取りの権利、国外への出入り自由、パーティーメンバーの決定権……」
「「……ノアのやつ、めちゃくちゃ要求出してるな」」
そして朝を迎え、国王との朝食の場で要望を出してみた。国王は笑いながら快く承諾してくれた。
「国王、私から一つ提案なのですが、王宮に務めている護衛騎士を集めて希望者を私とノアを相手に戦闘の模擬訓練をするのはいかがでしょうか?」
「別にそれは構わん。その意図を聞いても良いか?」
「おそらく、多くのものは新参者の私やノアという庶民に王宮護衛の全ての権利をもたれることに否定的でしょう。特にノアはまだ十歳ですから。なので、希望者には一対一で戦ってみて、その実力差を分からせる方が、今後王宮護衛の任務を円滑に進められると思いまして」
「うむ。ロイの言う通りだな。ヘンドリック、そのように手配を」
「承知しました、国王陛下」
そして、国王は笑顔でノアの方へ顔を向ける。
「ノアよ。お主の要望の一つにティアが10歳になったときに魔土術学院に入学できる権利を与えるとあったが、それはティアにそのような才能があると言うことか?」
ティアが驚いてノアの方を見る。ノアは自信を持った表情で国王の問いに答える。
「国王、その通りです。ティアはすでに世間一般でいう、E級魔土術士と同等の力を持っております。兄として、ティア本人が望むならそうしてやりたいと思いまして」
「お兄ちゃん……」
ティアの目から自然と涙が溢れていた。
突然国王にとてつもなく大きな問いを突きつけられて動揺するミラだったが、すぐに冷静な面持ちで返答する。
「国王が退位された後のヒューマニア王国はこの私、ミラ・ヴァン・クライトンが引き継ぎ、今以上に民の暮らしを守り、国家を発展させることをお約束いたします」
国王が求めている回答だった。そしてゆっくりと頷く。
「うむ。ミラよ。まだ先ではあるが、この国をよろしく頼むぞ。そしてお前に残された3年をより良いものとし、盤石の体制を築くように」
「国王……いえ、父上! 本当にありがたきお言葉です」
「こんなふざけたことがあってたまるか! おいミラ! 俺は絶対に認めないぞ!」
怒って出て行くレスタ王子。
「ミラよ。あのバカは放っておけ。今まで何度もチャンスを与えてきたが、もうだめだ」
リアクションできないミラ王女。そしてそんな場面になぜ自分たちがいるんだと不思議で仕方ないロイ一家。ティアだけはリリアナ王女と朝食を楽しんでいる。
「すまなかったな、ロイよ。話を戻そう」
国王は何事もなかったかのように切り替えて、先ほどのロイ一家への相談事について話し始める。
「魔族の件が一応解決となり、余も回復した今、再びブロッカでの生活に戻ろうとしているかもしれぬが、しばらく王宮での暮らしを続けて欲しいのだ」
「……え?」
「今の魔王軍のレベルと王国騎士団のレベルを考えると、もしも魔王軍が次にヒューマニア王国を攻めてきたら、国は簡単に滅びるだろう。それくらい力の差がある。それはロイやリリカが最もわかっていることかも知れぬがな」
国王の話を静かに聞いているロイとリリカ。
「そうはならぬように、ロイとリリカに、騎士団と魔土術士を鍛えあげてもらえぬだろうか? 魔族と戦えるレベルにまで。その間、ここ王宮で暮らしてもらいたいのだ。それは同時に、この王宮が二度と魔族の計略に嵌らぬよう、護衛として留まっていてほしいのだ。情けない話ではあるが、今の王宮騎士団では護衛は務まらぬ」
物凄い要求だった。しかも、国王から直々に。
兵を鍛え上げるというのなら数ヶ月という時間ではすまないだろう。ロイはリリカの顔をみる。リリカもなんとも言えないという感じだ。
「……国王、あまりにも大きな決断となり、即答はしかねます。後ほど家族とも相談して、明日お返事させていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろんだ。いい返事を待っているぞ」
そして国王はノアの方を向く。
「それからノアよ。近々、魔土術学院に入学する気はないか?」
「「「えぇ⁈ 」」」
ノアだけでなく、ロイとリリカも驚く。
「ノアよ。お主にはミラの良き友、良き仲間となってもらいたいのだ。そして2年後、ミラには見聞を広めるためにヒューマニア王国の外側の世界を巡らせようと思っておる。
お主にはそのときにミラと共に旅をしてもらいたいのだ。ミラを危険から守る護衛として。そしてノア、お主自身のためにも」
「「「えぇ~!!! 」」」
ノアだけでなく、ロイとリリカ、そしてミラ王女まで驚いていた。朝食を楽しく食べていたのはティアとリリアナ王女だけだった。
* * *
朝食が終わり、ロイたちは部屋へ戻った。そして、人生最大の家族会議が始まった。
「ちょっと、どうするの? ロイ」
「いや、俺が聞きたいよ」
とりあえず、ロイとリリカ自身の問題のことで悩み始めたが、これは結論としてはもう出ているのと同じであった。魔族に負けるわけにはいかない。国の防衛力を高めないとヒューマニア王国は滅びる。
それは何としても避けなければならない。つまり、国王への返事としては承諾しかないのだ。
「リリカは魔土術を教えることは構わないのか? 自身の勉強の時間が割かれることになるが」
「正直、そこも交渉だと思うわ。まず、食事は王宮もしくは訓練場で全て用意してもらう、ティアやノアに世話係をつけてもらうとか。それで私の自由な時間が逆に増えるかもしれないわ」
「なるほどな。まぁ、それくらいの要求は王宮にとって問題ないだろうし。俺はどうかというと……まぁ、特に問題ないな。ノアやティアの訓練だけはちゃんとやりたいんだが……」
「そうね。それも条件に加えましょう」
こうして、二人で話し込む。そしてノアはノアで条件面を書き込んでいる。
「えっと……王都リトルガイア、城下町コンクーリへの出入自由。王宮内にノア専用の鍛冶場を増設、学院の飛び級特別試験の許可、図書の間の自由な閲覧……あ、あとダンジョンへの出入り自由と探掘後のアイテム受け取りの権利、国外への出入り自由、パーティーメンバーの決定権……」
「「……ノアのやつ、めちゃくちゃ要求出してるな」」
そして朝を迎え、国王との朝食の場で要望を出してみた。国王は笑いながら快く承諾してくれた。
「国王、私から一つ提案なのですが、王宮に務めている護衛騎士を集めて希望者を私とノアを相手に戦闘の模擬訓練をするのはいかがでしょうか?」
「別にそれは構わん。その意図を聞いても良いか?」
「おそらく、多くのものは新参者の私やノアという庶民に王宮護衛の全ての権利をもたれることに否定的でしょう。特にノアはまだ十歳ですから。なので、希望者には一対一で戦ってみて、その実力差を分からせる方が、今後王宮護衛の任務を円滑に進められると思いまして」
「うむ。ロイの言う通りだな。ヘンドリック、そのように手配を」
「承知しました、国王陛下」
そして、国王は笑顔でノアの方へ顔を向ける。
「ノアよ。お主の要望の一つにティアが10歳になったときに魔土術学院に入学できる権利を与えるとあったが、それはティアにそのような才能があると言うことか?」
ティアが驚いてノアの方を見る。ノアは自信を持った表情で国王の問いに答える。
「国王、その通りです。ティアはすでに世間一般でいう、E級魔土術士と同等の力を持っております。兄として、ティア本人が望むならそうしてやりたいと思いまして」
「お兄ちゃん……」
ティアの目から自然と涙が溢れていた。
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