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第二章 東京都区別対抗学戦祭編
第36話 団体課題A 避難シミュレーション02
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「それって、各階の人たちを連れて地上へ行けってことかい?」
太地の話に葛城が反応する。
「確かに六ちゃんの言うこと当たってるかも。だって時間内に階段降りて外出てゴールっておかしくない?」
「できる限り生存者を救出することも、きっと重要ポイントなのですわ」
「あと、この武装兵が何か言っていなかったか? 助けがどうとか……」
徐々に課題の意図が見えてきた青川区チーム。救出した女性客に葛城が近づいて話を聞く。
「すみません、いくつかお聞きしたいのですが、この建物は武装兵によるたてこもり事件が起こったんですかね?」
女性客の一人が答える。
「3階大会議室で火事があったと放送が入ったんです。それで私たちは慌てて下へ降りようとしたら、さっきの状況になりまして……」
「他のお客さんはどこへ行かれたかご存知ですか?」
「私たちは遅れて客室を出たので詳しくはわからないです……」
「上のフロアの方もみなさん下のフロアへ向かったんですかね?」
「おそらくは……アナウンスで階段を使って降りて避難するように指示がありましたので」
(なるほど……)
「さて……残り時間は40分をきった。みんなどうする? 方針を決めようか。」
葛城がメンバーに確認する。そして太地がまず意見を述べる。
「今回の【地上】というゴールはもしかすると、一階から外に出るのと屋上のヘリポートから脱出するのと2種類あるかもしれません。3階で火事が起こっている状況ならもしかすると……」
「上へ避難するという選択肢か……」
「今から階段登るのはちょっとしんどくない? 時間足りないとは言わないけどさぁ」
「武装兵はおそらく1階から3階にいるってことだろう? そこを突破できるのか?」
「難しいですわね」
「ヘリで助けに来ることは絶対?」
「……むしろ、ヘリを僕らが呼んでしまうのは無理なんですかね?」
「……なるほどですわ。現実世界で事件に巻き込まれたと想定すると概要にありましたから、スマホで呼んでしまえばいいのですわ」
「俺たち携帯持ってないだろ……ん? 女性客か!」
鏡慎二が女性客に確認する。
「あの……もしかして、スマホ持っていますか?」
「はい。ありますが……」
「「「 ビンゴ! 」」」
早速電話をかけてレスキューヘリを要請したが、すでに何台か向かっていて、あと25分で着くとのことだった。
(屋上へ避難するか、1階へ避難するかの二択か……)
「よし、それでは状況を整理するぞ。まず、時間がないので4階まで降りて状況を把握する。その後、助けられる乗客は一緒に連れていく」
「向かう方向は屋上だ。階段登り地獄だな。で、さっき捕らえた武装兵によると立てこもり犯は3階に火をつけて2階にいるらしい。人数は全部で16人。そのうち上の階の見回りとして3人ほど登って来たそうだ」
「とにかくなんとかその見回り兵をかわしてできるだけ多くの生存者をヘリで逃がす。以上だ」
葛城がメンバーの目を見る。
太地が手をあげる。
「僕はこの捕らえた武装兵士からさらに情報を聞き出して1階へ向かいます。先輩方だけで屋上へ避難してください」
「フォア・ザ・チームの精神ってやつ? でもそれはダメだ。競技のために自ら死ぬことは容認できないな」
「葛城聖司さんの言う通りですわ!」
太地が珍しく食い下がる。
「いや、死にません。むしろ生きるための作戦です」
「葛城、時間がないぞ」
焦りを隠しながら鏡がメガネのブリッジをクイッと上げる。
ブレない太地の目を見て葛城と権田が折れる。
「わかったよ。何か考えがあるんだな?」
「はい!」
「よし!それでは生存者を探しに行きますわ! 細かいことは移動しながら決めるのですわ!」
「了解!」
––残り時間35分––
* * *
その頃、1階出口を目指していたチームは競いながら4階にいた。3階の火の勢いが4階にまでまわってきているのかもしれない。煙がだいぶ立ち込めてはいるが視界が悪いほどではない。
「急ぐぞ! 多分2階はそこまで火の手がまわっていないはずだ。楽勝だな」
「なぁ……さっき、銃声も聞こえなかったか?」
「気のせいだろ。むしろ火事による爆発か何かじゃないのか?」
「とにかく進むぞ! みんな、なるべく息を止めて3階を通過するぞ!」
「ラジャー!」
「おい! お前らどけ!」
「邪魔するな! 俺たちが先だろ!」
階段室という狭い空間で数チームが小競り合いをしながら階段を降りている。
それを後ろで様子を見る黄山区チームとグレーチーム、そして単独で降りてきた黒川区チームの新田政次だった。
「クソッ! こんなに団子状態で階段を降りているだけじゃぁ、真っ先に地上に出ることはできねぇ。一体どうすれば––」
ドガガガガッ!!!!
銃声が階段室に響き渡る。2階で待ち構えていた武装兵だ。先頭を走っていた数チームの半数が直撃を食らう。
「うわぁ!!!」
「た、助けて!」
「あ、あ、あぁ……やめろ……やめ––」
ガガガッ!!!
足が止まった選手たちに容赦無く銃声が鳴り響く。
『お前ら!抵抗するな!両手を上げて頭の後ろへ!』
「ひっ!助けて!」
『早くしろ!』
武装兵が倒れ込む選手の腹に蹴り込む。
一瞬の出来事だった。集団の前方にいた選手はほぼ死亡してリタイアし、残りの選手は人質として捕まってしまった。黒川区チーム新田と黄山区チームの羽生姉妹を除いて。
* * *
羽生姉妹が3階フロアからそっと状況を確認する。
これまで階段室をひたすら降りてきただけだったので、把握できていなかったのだが、このホテルは1階から3階まで巨大エントランスホールの吹き抜け空間として繋がっている。
そこにレストランやカフェ、ショップ、ホテル受付といった機能が配置されているようだ。まさにハイグレードなホテル空間で ある程度状況が見渡せる。
火の手はまだ部分的で、そこまで燃え広がっていなかった。
そして多くの死体が2階フロア中央で無残に転がっている。その付近の西洋レストランエリアには武装兵2人の監視の下、多くの人質が囚われていた。
「さやか……やっちゃったね! チームのメンバーも捕まっちゃったね~。テヘッ!」
「『テヘッ!』じゃないでしょ。残り30分どう動くかを考えるわよ」
羽生さやかと瑞穂が作戦を練る。
「お、おい。お前らどうするんだよ? 俺たち3人しか残ってねーぞ」
焦りながら新田政次が羽生姉妹に話しかける。
見定めるかの様にじ~っと見ながら羽生さやかが言う。
「使えそうにないから要らない。邪魔だからどっか行って」
「好みじゃないから要らない。ブサイ臭いからどっか行っテヘッ!」
拒絶スルーして引き続き作戦を練る双子姉妹。
「クソ…お前ら…バカにしやがって! 『ブサイ臭い』ってなんだよ! ていうか容姿は関係ね~だろ!!」
怒りのまま大声を出す新田。
「誰だ! 3階にまだいるぞ! 捕らえろ~!」
兵士が大階段を上がって3階に向かってくる。
「バレちゃったじゃない! この役立たずブサイ臭いが~!!」
新田を大階段に向かって蹴り飛ばす羽生さやか。それを見て笑う瑞穂。
「瑞穂、ひらけた場所だと不利だから一旦後ろのショップに隠れるわよ」
「仕方がないから左右に分かれて迎撃するわ」
「了解~。さやか」
マシンガンの射線を避ける様に距離をとって壁に隠れる羽生姉妹。その動きは明らかに戦い慣れしている。
ドガガガガガガッ!!!!
武装兵2名が打ちながら近づいてくる。左右に分かれて隠れた羽生姉妹が同じタイミングで一言発する。
「「ロード!」」
太地の話に葛城が反応する。
「確かに六ちゃんの言うこと当たってるかも。だって時間内に階段降りて外出てゴールっておかしくない?」
「できる限り生存者を救出することも、きっと重要ポイントなのですわ」
「あと、この武装兵が何か言っていなかったか? 助けがどうとか……」
徐々に課題の意図が見えてきた青川区チーム。救出した女性客に葛城が近づいて話を聞く。
「すみません、いくつかお聞きしたいのですが、この建物は武装兵によるたてこもり事件が起こったんですかね?」
女性客の一人が答える。
「3階大会議室で火事があったと放送が入ったんです。それで私たちは慌てて下へ降りようとしたら、さっきの状況になりまして……」
「他のお客さんはどこへ行かれたかご存知ですか?」
「私たちは遅れて客室を出たので詳しくはわからないです……」
「上のフロアの方もみなさん下のフロアへ向かったんですかね?」
「おそらくは……アナウンスで階段を使って降りて避難するように指示がありましたので」
(なるほど……)
「さて……残り時間は40分をきった。みんなどうする? 方針を決めようか。」
葛城がメンバーに確認する。そして太地がまず意見を述べる。
「今回の【地上】というゴールはもしかすると、一階から外に出るのと屋上のヘリポートから脱出するのと2種類あるかもしれません。3階で火事が起こっている状況ならもしかすると……」
「上へ避難するという選択肢か……」
「今から階段登るのはちょっとしんどくない? 時間足りないとは言わないけどさぁ」
「武装兵はおそらく1階から3階にいるってことだろう? そこを突破できるのか?」
「難しいですわね」
「ヘリで助けに来ることは絶対?」
「……むしろ、ヘリを僕らが呼んでしまうのは無理なんですかね?」
「……なるほどですわ。現実世界で事件に巻き込まれたと想定すると概要にありましたから、スマホで呼んでしまえばいいのですわ」
「俺たち携帯持ってないだろ……ん? 女性客か!」
鏡慎二が女性客に確認する。
「あの……もしかして、スマホ持っていますか?」
「はい。ありますが……」
「「「 ビンゴ! 」」」
早速電話をかけてレスキューヘリを要請したが、すでに何台か向かっていて、あと25分で着くとのことだった。
(屋上へ避難するか、1階へ避難するかの二択か……)
「よし、それでは状況を整理するぞ。まず、時間がないので4階まで降りて状況を把握する。その後、助けられる乗客は一緒に連れていく」
「向かう方向は屋上だ。階段登り地獄だな。で、さっき捕らえた武装兵によると立てこもり犯は3階に火をつけて2階にいるらしい。人数は全部で16人。そのうち上の階の見回りとして3人ほど登って来たそうだ」
「とにかくなんとかその見回り兵をかわしてできるだけ多くの生存者をヘリで逃がす。以上だ」
葛城がメンバーの目を見る。
太地が手をあげる。
「僕はこの捕らえた武装兵士からさらに情報を聞き出して1階へ向かいます。先輩方だけで屋上へ避難してください」
「フォア・ザ・チームの精神ってやつ? でもそれはダメだ。競技のために自ら死ぬことは容認できないな」
「葛城聖司さんの言う通りですわ!」
太地が珍しく食い下がる。
「いや、死にません。むしろ生きるための作戦です」
「葛城、時間がないぞ」
焦りを隠しながら鏡がメガネのブリッジをクイッと上げる。
ブレない太地の目を見て葛城と権田が折れる。
「わかったよ。何か考えがあるんだな?」
「はい!」
「よし!それでは生存者を探しに行きますわ! 細かいことは移動しながら決めるのですわ!」
「了解!」
––残り時間35分––
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その頃、1階出口を目指していたチームは競いながら4階にいた。3階の火の勢いが4階にまでまわってきているのかもしれない。煙がだいぶ立ち込めてはいるが視界が悪いほどではない。
「急ぐぞ! 多分2階はそこまで火の手がまわっていないはずだ。楽勝だな」
「なぁ……さっき、銃声も聞こえなかったか?」
「気のせいだろ。むしろ火事による爆発か何かじゃないのか?」
「とにかく進むぞ! みんな、なるべく息を止めて3階を通過するぞ!」
「ラジャー!」
「おい! お前らどけ!」
「邪魔するな! 俺たちが先だろ!」
階段室という狭い空間で数チームが小競り合いをしながら階段を降りている。
それを後ろで様子を見る黄山区チームとグレーチーム、そして単独で降りてきた黒川区チームの新田政次だった。
「クソッ! こんなに団子状態で階段を降りているだけじゃぁ、真っ先に地上に出ることはできねぇ。一体どうすれば––」
ドガガガガッ!!!!
銃声が階段室に響き渡る。2階で待ち構えていた武装兵だ。先頭を走っていた数チームの半数が直撃を食らう。
「うわぁ!!!」
「た、助けて!」
「あ、あ、あぁ……やめろ……やめ––」
ガガガッ!!!
足が止まった選手たちに容赦無く銃声が鳴り響く。
『お前ら!抵抗するな!両手を上げて頭の後ろへ!』
「ひっ!助けて!」
『早くしろ!』
武装兵が倒れ込む選手の腹に蹴り込む。
一瞬の出来事だった。集団の前方にいた選手はほぼ死亡してリタイアし、残りの選手は人質として捕まってしまった。黒川区チーム新田と黄山区チームの羽生姉妹を除いて。
* * *
羽生姉妹が3階フロアからそっと状況を確認する。
これまで階段室をひたすら降りてきただけだったので、把握できていなかったのだが、このホテルは1階から3階まで巨大エントランスホールの吹き抜け空間として繋がっている。
そこにレストランやカフェ、ショップ、ホテル受付といった機能が配置されているようだ。まさにハイグレードなホテル空間で ある程度状況が見渡せる。
火の手はまだ部分的で、そこまで燃え広がっていなかった。
そして多くの死体が2階フロア中央で無残に転がっている。その付近の西洋レストランエリアには武装兵2人の監視の下、多くの人質が囚われていた。
「さやか……やっちゃったね! チームのメンバーも捕まっちゃったね~。テヘッ!」
「『テヘッ!』じゃないでしょ。残り30分どう動くかを考えるわよ」
羽生さやかと瑞穂が作戦を練る。
「お、おい。お前らどうするんだよ? 俺たち3人しか残ってねーぞ」
焦りながら新田政次が羽生姉妹に話しかける。
見定めるかの様にじ~っと見ながら羽生さやかが言う。
「使えそうにないから要らない。邪魔だからどっか行って」
「好みじゃないから要らない。ブサイ臭いからどっか行っテヘッ!」
拒絶スルーして引き続き作戦を練る双子姉妹。
「クソ…お前ら…バカにしやがって! 『ブサイ臭い』ってなんだよ! ていうか容姿は関係ね~だろ!!」
怒りのまま大声を出す新田。
「誰だ! 3階にまだいるぞ! 捕らえろ~!」
兵士が大階段を上がって3階に向かってくる。
「バレちゃったじゃない! この役立たずブサイ臭いが~!!」
新田を大階段に向かって蹴り飛ばす羽生さやか。それを見て笑う瑞穂。
「瑞穂、ひらけた場所だと不利だから一旦後ろのショップに隠れるわよ」
「仕方がないから左右に分かれて迎撃するわ」
「了解~。さやか」
マシンガンの射線を避ける様に距離をとって壁に隠れる羽生姉妹。その動きは明らかに戦い慣れしている。
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