54 / 133
第三章 関東大一揆、洛外編
第54話 なんでバレてるの?
しおりを挟む
「行ってきます!」
今日は 太地にとって青一高へ登校する初日である。家のドアを開けて待ち構えていたのはいつもの胴長リムジンだ。
『ほらな。やっぱりきたじゃね~か、ですわシスターズ』
「ほんとうに月人のカンは当たるよなぁ」
「「おはようございますですわ!」」
笑顔で太地を迎える権田姉妹。もはや近所では見慣れた光景となっていた。
「太地さん! 本日は青一高への登校初日ですわ! ワタクシ成美が同行いたしますわ」
「クルミも太地と一緒に行きますわ~」
『いや、オメーはいいだろ』
結局、不本意だがいつものようにリムジンに乗り込んで、現代貴族のスタイルで学校へ向かう太地。高級車でいつものヨントリー炭酸水を飲む。
何故かこの時だけ高級なミネラルウォーターに思えてくるから不思議だ。
「ところで、太地さん。あなたの片眼片腕の騎士様のこと、そろそろ教えてくださらない?」
ブバァー!!
びっくりしすぎて吐き出す太地。
「汚いですわ! また太地の汚水ですわ!」
太地の炭酸シャワーを浴びるクルミ。ゲホゲホ咳き込む太地と口が開いたままの月人。
『バ、バレてたのか?』
「なんでバレてんの!」
『知らねーよ!』
念話で焦りを解き放つ二人。表情は平静を装っているが、それも成美には見透かされているようだ。
間が悪く、月人も気が緩んで車内でシートに座っていた。これは言い訳できない。権田成美……本当にしたたかな女だ。
「何ですの? ずっとそこに座っていらっしゃるのだからご紹介いただくのが礼儀ですわ」
ニコリと笑顔で話す成美。間違いない。彼女には月人が見えている。クルミには見えていないようだ。
「えっと! あの~この人は……僕の相棒の月人君です」
『どうも~月人で~す。よろしく! じゃぁ、俺はこれで!』
「お待ちになって!」
エンドサーフェイスに戻ろうとしたところで、止められる月人。アイドルとして生まれて初めて汗というものをかいている。
フフフッと笑みを浮かべて成美が話をする。
「色祭りの表彰式でアズマ都知事をかばった時に、ワタクシ……見えていたのですわ。あなたのアイドルがNFNFに攻撃していたのを。最初は自分の目を疑ったのですわ。
病院でも聞こうか迷いましたが、なかなか太地さんに聞けずにいたのですわ。このまま黙っているのもどうかと思いまして打ち明けましたわ。だって目の前にいらっしゃるわけですから」
(アイドルって言葉まで知っているのか。前回司令室で何か知ったのか……)
「……なるほど。まぁ、おっしゃる通りですね。僕の方こそ、黙っていてすみませんでした。本当は色祭り前に権田財閥には話すべきかどうか迷っていました。テロへの警備とかありましたし、連携できればと。
しかし、そもそも見えていないと思っていましたから……信じてもらえないだろうと考えまして。実際に、以前も月人はこうして成美先輩の目の前にいたこともありますけど、その時は見えていなかったんですよね?」
「はい。全く見えていませんでしたわ」
『おそらく、お嬢は宍土将臣の一撃を食らった時に極限状態になって開花したんじゃねーか。その才能を。ローダーの資質はもともとあったからな』
「ローダー。GSD司令室でも話していましたわ。今度エンドサーフェイスを支給していただくことになりましたわ」
「え? じゃぁ、もうGSDに入ることは決まったんですか?」
戸惑いを見せる太地。
「何か不満でもあるのですわ?」
「あ、いえ、そういうわけでは……ありません……ですわ」
「まだGSDとは話し合いの最中ですわ。今後のワタクシの去就に関しては後日太地さんにお知らせしますわ!」
『去就って……』
「なんか嬉しそうだね……流石に念話は聞こえないよね?」
『それは大丈夫だ。安心しろ』
朝から刺激的な時間を過ごしていきなり疲れがたまる太地と月人。できれば探索課はやめてくれとなんとなく願う。
そしてリムジンが青一高に到着した。
* * *
キーンコーンカーンコーン……
授業が終わる。青一高での初のお昼休みだ。
「六ちゃ~ん、食事にいくけどみんなと一緒にどう?」
「弁当持参でも大丈夫だぞ」
東雲あかりと鏡慎二が太地を誘う。
「あ、是非是非。ご一緒させてください」
『お前ちょっとずつ社交的になってるよな』
「え? そう?」
『屋上で一人寂しく食べていた頃が嘘みたいだ』
「……」
青一高の学食……というか高級レストランと表現するべき場所で太地は日替わり定食を頼む。皆同じような定食を注文し、空いているテーブルを探して席に着く。
「美味い! なんですかこの定食。アジフライも揚げたてで美味しい!」
美味しそうに食べる太地を見ているいつものメンバー四人。
「気に入ったみたいでよかったよ。ここの食堂は俺もお気に入りメニューが多いんだ。チキン南蛮とかやばすぎだよ」
「俺は……鯖の味噌煮だな」
「なにそれ! 鏡っち意外に庶民派なんやね~」
赤くなる鏡。
「ワタクシもここのバゲットは美味しいと思いますわ!」
「バゲットってパンじゃん。お嬢、料理でお気に入りはないの?」
「あはは、確かに。でも成美ちゃんっぽいわ~」
楽しそうに会話しながら美味しく昼ご飯を食べる。それもいいなと思う太地。
『楽しくていいなぁって思ってるだろ』
「……」
成美がクスクス笑っている。
(そうか、こういう月人の声も聞こえるんだな……)
今後の対応に面倒だなと思いつつも、成美はああ見えて気がきく人間だと太地は考えていた。気にしなくて大丈夫だろう。
「六条君は授業に出る必要はないんだよね? 午後はどうする予定なの?」
葛城聖司が聞く。太地はすでに青一高の卒業資格を得ているので、授業に参加をする義務はないのだ。
「午後は青一高のメディアセンターに行く予定です。ちょっと調べたいことがあって」
「そうなんだ。調べ物か~。青一高のメディアセンターは膨大な書籍やデータが閲覧できるから六条君でも満足できる情報量だと思うよ」
「それは楽しみです! 図書空間が好きでして」
「ところで調べたいことってなんですわ?」
「……えっと、その……宍土将臣についてです」
今日は 太地にとって青一高へ登校する初日である。家のドアを開けて待ち構えていたのはいつもの胴長リムジンだ。
『ほらな。やっぱりきたじゃね~か、ですわシスターズ』
「ほんとうに月人のカンは当たるよなぁ」
「「おはようございますですわ!」」
笑顔で太地を迎える権田姉妹。もはや近所では見慣れた光景となっていた。
「太地さん! 本日は青一高への登校初日ですわ! ワタクシ成美が同行いたしますわ」
「クルミも太地と一緒に行きますわ~」
『いや、オメーはいいだろ』
結局、不本意だがいつものようにリムジンに乗り込んで、現代貴族のスタイルで学校へ向かう太地。高級車でいつものヨントリー炭酸水を飲む。
何故かこの時だけ高級なミネラルウォーターに思えてくるから不思議だ。
「ところで、太地さん。あなたの片眼片腕の騎士様のこと、そろそろ教えてくださらない?」
ブバァー!!
びっくりしすぎて吐き出す太地。
「汚いですわ! また太地の汚水ですわ!」
太地の炭酸シャワーを浴びるクルミ。ゲホゲホ咳き込む太地と口が開いたままの月人。
『バ、バレてたのか?』
「なんでバレてんの!」
『知らねーよ!』
念話で焦りを解き放つ二人。表情は平静を装っているが、それも成美には見透かされているようだ。
間が悪く、月人も気が緩んで車内でシートに座っていた。これは言い訳できない。権田成美……本当にしたたかな女だ。
「何ですの? ずっとそこに座っていらっしゃるのだからご紹介いただくのが礼儀ですわ」
ニコリと笑顔で話す成美。間違いない。彼女には月人が見えている。クルミには見えていないようだ。
「えっと! あの~この人は……僕の相棒の月人君です」
『どうも~月人で~す。よろしく! じゃぁ、俺はこれで!』
「お待ちになって!」
エンドサーフェイスに戻ろうとしたところで、止められる月人。アイドルとして生まれて初めて汗というものをかいている。
フフフッと笑みを浮かべて成美が話をする。
「色祭りの表彰式でアズマ都知事をかばった時に、ワタクシ……見えていたのですわ。あなたのアイドルがNFNFに攻撃していたのを。最初は自分の目を疑ったのですわ。
病院でも聞こうか迷いましたが、なかなか太地さんに聞けずにいたのですわ。このまま黙っているのもどうかと思いまして打ち明けましたわ。だって目の前にいらっしゃるわけですから」
(アイドルって言葉まで知っているのか。前回司令室で何か知ったのか……)
「……なるほど。まぁ、おっしゃる通りですね。僕の方こそ、黙っていてすみませんでした。本当は色祭り前に権田財閥には話すべきかどうか迷っていました。テロへの警備とかありましたし、連携できればと。
しかし、そもそも見えていないと思っていましたから……信じてもらえないだろうと考えまして。実際に、以前も月人はこうして成美先輩の目の前にいたこともありますけど、その時は見えていなかったんですよね?」
「はい。全く見えていませんでしたわ」
『おそらく、お嬢は宍土将臣の一撃を食らった時に極限状態になって開花したんじゃねーか。その才能を。ローダーの資質はもともとあったからな』
「ローダー。GSD司令室でも話していましたわ。今度エンドサーフェイスを支給していただくことになりましたわ」
「え? じゃぁ、もうGSDに入ることは決まったんですか?」
戸惑いを見せる太地。
「何か不満でもあるのですわ?」
「あ、いえ、そういうわけでは……ありません……ですわ」
「まだGSDとは話し合いの最中ですわ。今後のワタクシの去就に関しては後日太地さんにお知らせしますわ!」
『去就って……』
「なんか嬉しそうだね……流石に念話は聞こえないよね?」
『それは大丈夫だ。安心しろ』
朝から刺激的な時間を過ごしていきなり疲れがたまる太地と月人。できれば探索課はやめてくれとなんとなく願う。
そしてリムジンが青一高に到着した。
* * *
キーンコーンカーンコーン……
授業が終わる。青一高での初のお昼休みだ。
「六ちゃ~ん、食事にいくけどみんなと一緒にどう?」
「弁当持参でも大丈夫だぞ」
東雲あかりと鏡慎二が太地を誘う。
「あ、是非是非。ご一緒させてください」
『お前ちょっとずつ社交的になってるよな』
「え? そう?」
『屋上で一人寂しく食べていた頃が嘘みたいだ』
「……」
青一高の学食……というか高級レストランと表現するべき場所で太地は日替わり定食を頼む。皆同じような定食を注文し、空いているテーブルを探して席に着く。
「美味い! なんですかこの定食。アジフライも揚げたてで美味しい!」
美味しそうに食べる太地を見ているいつものメンバー四人。
「気に入ったみたいでよかったよ。ここの食堂は俺もお気に入りメニューが多いんだ。チキン南蛮とかやばすぎだよ」
「俺は……鯖の味噌煮だな」
「なにそれ! 鏡っち意外に庶民派なんやね~」
赤くなる鏡。
「ワタクシもここのバゲットは美味しいと思いますわ!」
「バゲットってパンじゃん。お嬢、料理でお気に入りはないの?」
「あはは、確かに。でも成美ちゃんっぽいわ~」
楽しそうに会話しながら美味しく昼ご飯を食べる。それもいいなと思う太地。
『楽しくていいなぁって思ってるだろ』
「……」
成美がクスクス笑っている。
(そうか、こういう月人の声も聞こえるんだな……)
今後の対応に面倒だなと思いつつも、成美はああ見えて気がきく人間だと太地は考えていた。気にしなくて大丈夫だろう。
「六条君は授業に出る必要はないんだよね? 午後はどうする予定なの?」
葛城聖司が聞く。太地はすでに青一高の卒業資格を得ているので、授業に参加をする義務はないのだ。
「午後は青一高のメディアセンターに行く予定です。ちょっと調べたいことがあって」
「そうなんだ。調べ物か~。青一高のメディアセンターは膨大な書籍やデータが閲覧できるから六条君でも満足できる情報量だと思うよ」
「それは楽しみです! 図書空間が好きでして」
「ところで調べたいことってなんですわ?」
「……えっと、その……宍土将臣についてです」
0
あなたにおすすめの小説
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活
シン
ファンタジー
世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。
大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。
GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。
ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。
そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。
探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。
そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。
たまに有り得ない方向に話が飛びます。
一話短めです。
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】
道雪ちゃん
ファンタジー
2024年の年末、世界中に突如ダンジョンが出現した。
大学生・三上ひよりも探索者になることを決意するが、与えられた職業は――世界で一人しかいないユニーク職「Lv.1チンピラ」。
周囲からは笑われ、初期スキルもほとんど役に立たない。
それでも、生き残るためにはダンジョンに挑むしかない。
これは、ネット住民と世界におもちゃにされながらも、真面目に生き抜く青年の物語。
※基本的にスレッド形式がメインです
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる