Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第三章 関東大一揆、洛外編

第76話 7:53の悲劇

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 12月7日 7:55——

「静岡県藤枝市役所が爆破?」

「そうだ! 今すぐに向かってくれ!」

「「「了解!」」」

 高杉らはすぐに静岡県に向かう。想定外だった。全く予想していない場所だった。

「何故、藤枝市なんだ……」

太地たいち君、今は頭を切り替えよう。まずは藤枝市役所の人命救助だ!」

「はい。そうですね!」

天月あまつきさん、この方角でまっすぐ先が市役所だけど、何か見えたりするかな?」

「……」

「天月さん?」

「人が……ものすごい数の人が被害にあっています。爆破は建物全体が煙に覆われるような規模で現在火災が発生しています。まだ生きていて、何とか逃げ出そうという人たちもいます。」


「そんな……なんてひどいことを……」

「太地君、天月さんが伝えてくれる状況をそのまま部長に伝えて! 落ち込むのは全て終わったあとだ。 気をしっかり持って僕らはできることをやるしかないんだ!」

「は、はい! すみません」


「……煙と炎であまりよくは見えませんが、建物が爆破によって倒壊したわけではなく、残っています。満遍まんべんなく建物が被害を受けていることから、おそらく、細かく爆弾を分けて配置したものかと」

 更に詳しく調べようとする天月。

「……おそらく、最低でも400人は死傷者が出ているかと」

『畜生! 本当にやりやがった』

 月人も苛立ちを隠しきれない。太地は小松部長に報告している。今回は救援課も必要な状況だが、都内からだと遠すぎる。

 そして、天月が何かを見つける。

「お、屋上に……います。 白鬼が……30名ほど……」

「屋上に?」

『おいおい、30名って多いな』

「お面の色は全て白、3種類の能面ローダーがいるみたいです」

「えっと、もう一回確認だけど、建物の中で逃げ遅れている人はいるんだよね?」

「はい。建物内に生存者はいます。ただ、助けに行くのは厳しそう。炎と煙で建物が囲まれていて、脱出できないようです。意識を失っている人も何人かいます」


「厳しいな。救助は地元消防隊に任せるか。朝だから野次馬もいるだろうし、そこでNFNFエヌフと戦うのか……」

「あ! 白鬼の半数が地上の駐車場へ降りて行きました……」

 急に天月が絶句する。

「降りた白鬼たちが周囲の人々を……」

『周囲の人間を殺しまわっているのか?』


「えぇ。刀と銃で容赦なく……」

『オイラも流石に許せねえよ。千鶴、ポ薬を使って眼を休ませておけよ』

 六太から受け取って、少し落ち着く天月。

「うん。ありがとう。むっちゃん」


 高杉は少し考えて指示をまとめる。

「みんな聞いてくれ。あと15分くらいで目的地に着く。その後は二手に別れて戦うことにする」

 静かに作戦を聞く太地。

「まず屋上にはおそらく、そこの隊長クラスがいるはずだ。月人、悪いけど君一人で屋上を抑えてもらうことは可能かな?」

『もちろんだ! 任せろ。今回は生け捕りか?』

「いや、生け捕りは意識しなくていい。自爆する可能性が高いから注意して。殲滅せんめつ優先で構わないよ」

『了解だ! 問題ねぇ!』

「残りのメンバーで地上に散らばっているNFNFエヌフを鎮圧する。僕と太地君が天月さんの指示で標的を迅速に処理する。周囲の人々を狙って広がっているだろうからできるだけ効率良く動こう。」

「了解です」

「むっちゃん、前回同様で天月さんをしっかり守ってくれるか?」


『もちろんだ。オイラが完璧に守ってみせる。そして今回は千鶴も攻撃するぜ』


「え?」


『まぁ、とりあえず、そうちゃんと太地は遠くの奴らからぶっ飛ばしてくれよ。オイラと千鶴は指示出しするからよ』


 高杉はよくわかっていないがとりあえず了承した。かく六太むったがいれば守りは安全だ。



「そろそろ着くぞ! 敵をできるだけ早く殲滅せんめつしてその後、救助活動だ。みんな絶対に死ぬなよ!」

「「「了解!」」」



 そして高杉がロード解除し、月人が煙で囲まれた屋上へ突っ込んでいく。太地たちは地上へ一斉に着地した。

 7日 8:25——  藤枝市役所

 高杉と太地が別方向へ一斉に動き出す。

possessionポゼッション ……type “leg”」

 NFNFエヌフの白鬼泥眼でいがんが太地を認識するが反応できない。あまりにも動きが速すぎて追いつけない。何も理解できずに蹴り飛ばされる。

「くそ! GSDジスドだ! 武器をロードしろ! 見つけ——」

 ドゴン!

 兎に角、動きが追えないくらいに速すぎる!


「やるねぇ、太地君。僕も負けてられないわ」

 高杉も次々と相手を殴り倒していく。しかし、気を失わずに倒れた白鬼泥眼が一人残っていたようだ。

「この世の無慈悲な愚民共に惨き制裁を!」

「またそれか! hardening material<素材硬化>!」
 

 轟音ごうおんと共に吹っ飛ぶ高杉だったが、なんとか直撃を防いだ。自爆を図った白鬼は木っ端微塵こっぱみじんになり跡形もなく消えてしまった。


《太地君、天月さん、こいつら自爆率高いから気をつけて! 特攻隊よりも覚悟できてるみたいだわ》

《了解です!》

《了解!》

 天月は太地と高杉に的確な指示を出し続けていた。そこへ三人の白鬼泥眼が現れた。

「あそこにGSDジスドがいるぞ!」

「殺せ!」

『千鶴、オイラがあいつらの攻撃を全て防いでやるから、アレやってみるぞ!』

「うん。わかったわ」

 マシンガンのように撃ち込んできたが、六太むったが全て肉球で防いでいる。ものすごい集中力だ。こいつこんなに凄かったのか!

『ふっ、オイラのオリジナル奥義<ニクッション>はどんな攻撃でもたちまち吸収しちまうのさ……よし! 千鶴! やってやれ!』

 六太が千鶴ちづるの肩に乗っかる。サングラスを外し、片手を前に突き出して、千鶴がゆっくり唱える。

「……ミラージュワールド」

 千鶴の目が輝くと同時に白鬼泥眼三人の視界を完全に乗っ取った。

「うっ! なんだ? 急に視界が……」

 三人の様子がおかしい。目の前のいる千鶴と六太むったを認識していないようだ。

「どこだ⁈  くそ! どこへ行った……ん? そこか!」


 ガガガガッ!!

 激しく銃声が鳴り響く。次の瞬間、目にしたのは味方である白鬼二人が倒れた姿だった。

「な! なんで! 俺が撃ったのか⁈」

 混乱している敵に向かって六太が素早く詰め寄る。なぜか忍者の格好で。

『遅いぜ!』


 短刀で口元を素早く六回の斬撃! 能面ごと切れて崩れ落ちる白鬼。自爆もできないほどの太刀筋だったようだ。


『忍ポメ殺法、六太刀<ロクノタチ>』


「え!! むっちゃん……実は引くくらい強いのね……」

 忍者のコスプレドールを解いてデフォルトの六太に戻る。黒いチリ毛の背中を千鶴に向けて仁王立ちのまま振り向き、横顔を見せて語る。

『……オイラが強さを見せるのはレディーがピンチの時だけさ』


 これこそまさに真の男の背中……と自己満足に酔いしれる六太だった。
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