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第三章 関東大一揆、洛外編
第91話 時間との戦い
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太地と月人が栃木県庁塩谷庁舎へ向かって落下していく。庁舎付近で着地して素早くダッシュして無事に庁舎駐車場へ先に到着した。
『成美の強烈な射撃のおかげだな。俺たちが先に着いた』
「そうだね。いい牽制になったみたい。僕ら今回はどういう配置でいく?」
『庁舎を背にして太地は西側を、俺は南側を護る』
「了解!」
話が終わると同時に赤鬼部隊が押し寄せて来た。それは運悪く避難する職員たちが大勢エントランスから出てきたタイミングだった。
銃を構えたNFNFローダーが職員に向かって一斉に射撃する。
『ヤベェ!』
月人が必死でエアバリアで防ごうとするが、範囲が広すぎて全ての弾丸を拾いきれない。数発職員の身体に命中してしまう。
撃たれて突然苦痛を感じ、悲鳴をあげる職員とパニックになる周りの職員。
月人が前進して赤鬼を殲滅しようと奮闘するが処理しきれない。【泥眼】の能面をつけたローダーたち数十人が一斉にあらゆる方向から職員を狙って襲いかかる。
『くそ、こいつら一人一人が赤の泥眼レベルかよ。これだけの数だと後ろへ数名突破されちまう』
猛烈な勢いでNFNFローダーを吹っ飛ばしていく月人だが、3名ほどすり抜けて職員に向かって突き進んでいく。
「死ね! 政府のゴミども!」
振り上げた刀が振り下ろされるその瞬間、ブワッと何かが通り抜ける音がした。
「な、なんだと!」
周りの赤鬼ローダーが異変に気付く。ローダーの両脚を残して刀ごと全てをかき消されていたのだ。不思議なことに血が一滴も出てこない。真っ黒な切断面が見えている。
怯まずに別のローダーたちが銃をロードし、職員たちが集まるエントランスへ向かって乱射する。
「hardening material<素材硬化>」
間一髪で高杉が大きな防壁を作って弾丸を防ぐ。
「みなさん、この壁に沿って進んで東側へ避難ください!」
「ギリギリセーフ? 間に合ったのかしら。月人、私たちも加勢するわ」
片瀬片奈が笑って言った。そして月人が笑って返す。
『ギリギリアウトだよ。馬鹿野郎』
* * *
西側を守る太地の方へ避難する職員はいなかった。何かを守る必要がないという点では少し気が楽になった。
しかし、正面から五、六人の赤の【泥眼】能面をつけたローダーが向かってくると、一気に緊張感が高まった。
冷静に一歩下がって攻撃をかわし反撃する。焦らずに一人ずつ、冷静に数を減らす太地に対し、号令が掛かって一旦距離をあけるNFNFローダー。そして後ろから【生成】能面のローダーがゆっくりと出てきた。
「我が名は赤鬼九番隊副隊長富山弥兵衛だ。貴様はGSDのハエだな?」
「GSDの六条だ」
『あと10分と経たないうちに爆破する。お前たちGSDがここへ何しに来たか知らんが、生きて帰れると思うなよ。お前たちもろとも爆死する運命なのだからな!』
副隊長富山の言葉の後に、天月千鶴がシーカー全員に伝える。
《こちら天月! 権田さんが15名制圧しました。残りは全て庁舎敷地内へ向かいました。あと、爆破の範囲が建物だけでなく敷地全体まで広がる大きなものだと判明しました! 至急戦闘を終わらせて避難してください。GGスタリオンは爆破に巻き込まれないように距離をとって援護射撃に徹します》
「あらら……相当ギリギリの展開っスね~」
庁舎の屋上にトンボが立っている。
「トンボさん!」
「太地~、時間が無いから先にボスキャラいくっスね」
「へ?」
トンボが両こぶしを握って目を閉じる。大きく息を吸ってから目を開けて唱える。
「……【友の力】ダブルエレメント!」
トンボのディープアマゾナイトが強い光を放つ。そしてトンボの表情が苦痛で歪む。どうやら身体に過度な負荷がかかっているようだ。
そして太地が心配する間も無くいつの間にか屋上から消えて、九番隊副隊長富山の首をかっ切っていた。ところが技を繰り出したトンボがそのまま膝をついて動かない。一瞬の出来事でNFNFが混乱している。
その隙に、太地も中距離攻撃として開発中の技を繰り出す。
「possession both arms、エアガン!」
ダダダダッ!!
ライフルを更に研ぎ澄ましてコンパクトな打撃を意識しつつ両腕で連打する『エアガン』。ライフルほど強力ではなかったが、狙う箇所によっては十分に一撃で倒せる威力だった。
距離をとっていたローダーたちが次々と吹っ飛ぶ。しかし一人だけ防御して致命傷をなんとか外し、トンボに襲いかかろうとした。
しかしローダーの背後から強烈な弓矢が一本突き刺さり、勢いが止まった。
「成美先輩の射撃だ……すげぇ」
《太地さん、そこから早く離れるのですわ! 爆発まで時間が無いのですわ! 月人さん側は既に制圧して全員退避を始めていますわ!》
「了解です! トンボさん、行きますよ!」
「か、身体が重いっス……」
太地がトンボを担いで庁舎敷地から急いで離れる。
一分後、大きな轟音と共に建物は爆発した。
シーカー全員がGGスタリオンから笑顔無く庁舎を眺めている。人命を救うという点では負傷者は出したが、なんとか職員全員の避難を完了していた。
しかし爆破は阻止することができなかった。ギリギリ及第点といったところだろうか。
大きな煙とともに昼間の平和な日常が灰色の恐怖へと一瞬で変わる。その光景を太地は目に焼き付けていた。自然と怒りと悔しさが一緒に込み上げてくる。
(このままNFNFの狙い通りにさせてたまるか……必ず、侵攻を止めてみせる)
* * *
12月15日12:40–– GGスタリオン
「これ何! 御令嬢はこんな軍用輸送機を持っていたの⁈ 」
「GGスタリオンですわ!」
「なんか……GSD内での僕の存在がどんどん薄くなっていくなぁ」
「大丈夫ですよ! 高杉さんはGSD外でもそこまで重要な存在では無いですから。元気出してください!」
「……片瀬さん、それ励ましてるつもり? ディスってるよね……」
GGスタリオンの存在はこれからも探索課の貴重な『足』となりそうだ。
「トンボさん! アレぶっつけ本番でやったんですね! ビックリしましたよ」
「いやぁ~、一撃放ったらもう身体ガタガタっスね。六太さんの回復薬を飲んだらいきなり復活したっス!」
『トンボ……もうちょっと、オイラの薬を大切に使えよ。一発攻撃かまして一本消費とかコスパ悪すぎだぜ。本当に近頃の馬鹿者はこれだから困るぜ』
「むっちゃん、それを言うなら若者ね。でも可愛い」
『それにしても、千鶴と成美はよくやったな! これからもっと精度とスピードを上げていって仲間の遠隔サポートができるようになれたらいいな!』
「うん。むっちゃんありがとう」
「六太さん、本当に感謝はしているのですわ……でも、早くこの額についた肉球マークを消して欲しいのですわ! 恥ずかしくて死にそうですわ!」
『何いってんだよ。良かったじゃねぇか。これで成美も正式な六太ファンクラブのメンバーに入れたんだからよ! 正会員にはお得なポイントが––』
「早く消すのですわ!」
両手で六太の首を絞めながら脅す成美。
『わ、わがっだ……く、苦じい……だずげで~』
こうして全員笑いながらGSD本部へ帰還した。
『成美の強烈な射撃のおかげだな。俺たちが先に着いた』
「そうだね。いい牽制になったみたい。僕ら今回はどういう配置でいく?」
『庁舎を背にして太地は西側を、俺は南側を護る』
「了解!」
話が終わると同時に赤鬼部隊が押し寄せて来た。それは運悪く避難する職員たちが大勢エントランスから出てきたタイミングだった。
銃を構えたNFNFローダーが職員に向かって一斉に射撃する。
『ヤベェ!』
月人が必死でエアバリアで防ごうとするが、範囲が広すぎて全ての弾丸を拾いきれない。数発職員の身体に命中してしまう。
撃たれて突然苦痛を感じ、悲鳴をあげる職員とパニックになる周りの職員。
月人が前進して赤鬼を殲滅しようと奮闘するが処理しきれない。【泥眼】の能面をつけたローダーたち数十人が一斉にあらゆる方向から職員を狙って襲いかかる。
『くそ、こいつら一人一人が赤の泥眼レベルかよ。これだけの数だと後ろへ数名突破されちまう』
猛烈な勢いでNFNFローダーを吹っ飛ばしていく月人だが、3名ほどすり抜けて職員に向かって突き進んでいく。
「死ね! 政府のゴミども!」
振り上げた刀が振り下ろされるその瞬間、ブワッと何かが通り抜ける音がした。
「な、なんだと!」
周りの赤鬼ローダーが異変に気付く。ローダーの両脚を残して刀ごと全てをかき消されていたのだ。不思議なことに血が一滴も出てこない。真っ黒な切断面が見えている。
怯まずに別のローダーたちが銃をロードし、職員たちが集まるエントランスへ向かって乱射する。
「hardening material<素材硬化>」
間一髪で高杉が大きな防壁を作って弾丸を防ぐ。
「みなさん、この壁に沿って進んで東側へ避難ください!」
「ギリギリセーフ? 間に合ったのかしら。月人、私たちも加勢するわ」
片瀬片奈が笑って言った。そして月人が笑って返す。
『ギリギリアウトだよ。馬鹿野郎』
* * *
西側を守る太地の方へ避難する職員はいなかった。何かを守る必要がないという点では少し気が楽になった。
しかし、正面から五、六人の赤の【泥眼】能面をつけたローダーが向かってくると、一気に緊張感が高まった。
冷静に一歩下がって攻撃をかわし反撃する。焦らずに一人ずつ、冷静に数を減らす太地に対し、号令が掛かって一旦距離をあけるNFNFローダー。そして後ろから【生成】能面のローダーがゆっくりと出てきた。
「我が名は赤鬼九番隊副隊長富山弥兵衛だ。貴様はGSDのハエだな?」
「GSDの六条だ」
『あと10分と経たないうちに爆破する。お前たちGSDがここへ何しに来たか知らんが、生きて帰れると思うなよ。お前たちもろとも爆死する運命なのだからな!』
副隊長富山の言葉の後に、天月千鶴がシーカー全員に伝える。
《こちら天月! 権田さんが15名制圧しました。残りは全て庁舎敷地内へ向かいました。あと、爆破の範囲が建物だけでなく敷地全体まで広がる大きなものだと判明しました! 至急戦闘を終わらせて避難してください。GGスタリオンは爆破に巻き込まれないように距離をとって援護射撃に徹します》
「あらら……相当ギリギリの展開っスね~」
庁舎の屋上にトンボが立っている。
「トンボさん!」
「太地~、時間が無いから先にボスキャラいくっスね」
「へ?」
トンボが両こぶしを握って目を閉じる。大きく息を吸ってから目を開けて唱える。
「……【友の力】ダブルエレメント!」
トンボのディープアマゾナイトが強い光を放つ。そしてトンボの表情が苦痛で歪む。どうやら身体に過度な負荷がかかっているようだ。
そして太地が心配する間も無くいつの間にか屋上から消えて、九番隊副隊長富山の首をかっ切っていた。ところが技を繰り出したトンボがそのまま膝をついて動かない。一瞬の出来事でNFNFが混乱している。
その隙に、太地も中距離攻撃として開発中の技を繰り出す。
「possession both arms、エアガン!」
ダダダダッ!!
ライフルを更に研ぎ澄ましてコンパクトな打撃を意識しつつ両腕で連打する『エアガン』。ライフルほど強力ではなかったが、狙う箇所によっては十分に一撃で倒せる威力だった。
距離をとっていたローダーたちが次々と吹っ飛ぶ。しかし一人だけ防御して致命傷をなんとか外し、トンボに襲いかかろうとした。
しかしローダーの背後から強烈な弓矢が一本突き刺さり、勢いが止まった。
「成美先輩の射撃だ……すげぇ」
《太地さん、そこから早く離れるのですわ! 爆発まで時間が無いのですわ! 月人さん側は既に制圧して全員退避を始めていますわ!》
「了解です! トンボさん、行きますよ!」
「か、身体が重いっス……」
太地がトンボを担いで庁舎敷地から急いで離れる。
一分後、大きな轟音と共に建物は爆発した。
シーカー全員がGGスタリオンから笑顔無く庁舎を眺めている。人命を救うという点では負傷者は出したが、なんとか職員全員の避難を完了していた。
しかし爆破は阻止することができなかった。ギリギリ及第点といったところだろうか。
大きな煙とともに昼間の平和な日常が灰色の恐怖へと一瞬で変わる。その光景を太地は目に焼き付けていた。自然と怒りと悔しさが一緒に込み上げてくる。
(このままNFNFの狙い通りにさせてたまるか……必ず、侵攻を止めてみせる)
* * *
12月15日12:40–– GGスタリオン
「これ何! 御令嬢はこんな軍用輸送機を持っていたの⁈ 」
「GGスタリオンですわ!」
「なんか……GSD内での僕の存在がどんどん薄くなっていくなぁ」
「大丈夫ですよ! 高杉さんはGSD外でもそこまで重要な存在では無いですから。元気出してください!」
「……片瀬さん、それ励ましてるつもり? ディスってるよね……」
GGスタリオンの存在はこれからも探索課の貴重な『足』となりそうだ。
「トンボさん! アレぶっつけ本番でやったんですね! ビックリしましたよ」
「いやぁ~、一撃放ったらもう身体ガタガタっスね。六太さんの回復薬を飲んだらいきなり復活したっス!」
『トンボ……もうちょっと、オイラの薬を大切に使えよ。一発攻撃かまして一本消費とかコスパ悪すぎだぜ。本当に近頃の馬鹿者はこれだから困るぜ』
「むっちゃん、それを言うなら若者ね。でも可愛い」
『それにしても、千鶴と成美はよくやったな! これからもっと精度とスピードを上げていって仲間の遠隔サポートができるようになれたらいいな!』
「うん。むっちゃんありがとう」
「六太さん、本当に感謝はしているのですわ……でも、早くこの額についた肉球マークを消して欲しいのですわ! 恥ずかしくて死にそうですわ!」
『何いってんだよ。良かったじゃねぇか。これで成美も正式な六太ファンクラブのメンバーに入れたんだからよ! 正会員にはお得なポイントが––』
「早く消すのですわ!」
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