Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

文字の大きさ
91 / 91
第三章 関東大一揆、洛外編

第91話 時間との戦い

しおりを挟む
 太地たいち月人つきとが栃木県庁塩谷庁舎へ向かって落下していく。庁舎付近で着地して素早くダッシュして無事に庁舎駐車場へ先に到着した。

成美なるみの強烈な射撃のおかげだな。俺たちが先に着いた』

「そうだね。いい牽制けんせいになったみたい。僕ら今回はどういう配置でいく?」

『庁舎を背にして太地は西側を、俺は南側を護る』


「了解!」


 話が終わると同時に赤鬼部隊が押し寄せて来た。それは運悪く避難する職員たちが大勢エントランスから出てきたタイミングだった。

 銃を構えたNFNFエヌフローダーが職員に向かって一斉に射撃する。

『ヤベェ!』


 月人が必死でエアバリアで防ごうとするが、範囲が広すぎて全ての弾丸を拾いきれない。数発職員の身体に命中してしまう。


 撃たれて突然苦痛を感じ、悲鳴をあげる職員とパニックになる周りの職員。
 月人が前進して赤鬼を殲滅せんめつしようと奮闘するが処理しきれない。【泥眼でいがん】の能面をつけたローダーたち数十人が一斉にあらゆる方向から職員を狙って襲いかかる。

『くそ、こいつら一人一人が赤の泥眼レベルかよ。これだけの数だと後ろへ数名突破されちまう』

 猛烈な勢いでNFNFエヌフローダーを吹っ飛ばしていく月人だが、3名ほどすり抜けて職員に向かって突き進んでいく。


「死ね! 政府のゴミども!」


 振り上げた刀が振り下ろされるその瞬間、ブワッと何かが通り抜ける音がした。


「な、なんだと!」


 周りの赤鬼ローダーが異変に気付く。ローダーの両脚を残して刀ごと全てをかき消されていたのだ。不思議なことに血が一滴も出てこない。真っ黒な切断面が見えている。

 ひるまずに別のローダーたちが銃をロードし、職員たちが集まるエントランスへ向かって乱射する。

「hardening material<素材硬化>」

 間一髪で高杉が大きな防壁を作って弾丸を防ぐ。

「みなさん、この壁に沿って進んで東側へ避難ください!」


「ギリギリセーフ? 間に合ったのかしら。月人、私たちも加勢するわ」


 片瀬片奈かたせかたなが笑って言った。そして月人が笑って返す。


『ギリギリアウトだよ。馬鹿野郎』



 * * *


 西側を守る太地の方へ避難する職員はいなかった。何かを守る必要がないという点では少し気が楽になった。


 しかし、正面から五、六人の赤の【泥眼】能面をつけたローダーが向かってくると、一気に緊張感が高まった。

 冷静に一歩下がって攻撃をかわし反撃する。焦らずに一人ずつ、冷静に数を減らす太地に対し、号令が掛かって一旦距離をあけるNFNFエヌフローダー。そして後ろから【生成なまなり】能面のローダーがゆっくりと出てきた。


「我が名は赤鬼九番隊副隊長富山弥兵衛だ。貴様はGSDジスドのハエだな?」

GSDジスドの六条だ」


『あと10分と経たないうちに爆破する。お前たちGSDがここへ何しに来たか知らんが、生きて帰れると思うなよ。お前たちもろとも爆死する運命なのだからな!』


 副隊長富山の言葉の後に、天月千鶴あまつきちづるがシーカー全員に伝える。


《こちら天月! 権田さんが15名制圧しました。残りは全て庁舎敷地内へ向かいました。あと、爆破の範囲が建物だけでなく敷地全体まで広がる大きなものだと判明しました! 至急戦闘を終わらせて避難してください。GGスタリオンは爆破に巻き込まれないように距離をとって援護射撃に徹します》


「あらら……相当ギリギリの展開っスね~」

 庁舎の屋上にトンボが立っている。

「トンボさん!」

「太地~、時間が無いから先にボスキャラっスね」

「へ?」


 トンボが両こぶしを握って目を閉じる。大きく息を吸ってから目を開けて唱える。

「……【友の力】ダブルエレメント!」

 トンボのディープアマゾナイトが強い光を放つ。そしてトンボの表情が苦痛でゆがむ。どうやら身体に過度な負荷がかかっているようだ。

 そして太地が心配する間も無くいつの間にか屋上から消えて、九番隊副隊長富山の首をかっ切っていた。ところが技を繰り出したトンボがそのまま膝をついて動かない。一瞬の出来事でNFNFエヌフが混乱している。

 その隙に、太地も中距離攻撃として開発中の技を繰り出す。

possessionポゼッション both arms、エアガン!」


 ダダダダッ!!

 を更に研ぎ澄ましてコンパクトな打撃を意識しつつ両腕で連打する『エアガン』。ライフルほど強力ではなかったが、狙う箇所によっては十分に一撃で倒せる威力だった。


 距離をとっていたローダーたちが次々と吹っ飛ぶ。しかし一人だけ防御して致命傷をなんとか外し、トンボに襲いかかろうとした。

 しかしローダーの背後から強烈な弓矢が一本突き刺さり、勢いが止まった。


「成美先輩の射撃だ……すげぇ」


《太地さん、そこから早く離れるのですわ! 爆発まで時間が無いのですわ! 月人さん側は既に制圧して全員退避を始めていますわ!》


「了解です! トンボさん、行きますよ!」

「か、身体が重いっス……」

 太地がトンボを担いで庁舎敷地から急いで離れる。




 一分後、大きな轟音ごうおんと共に建物は爆発した。
 シーカー全員がGGスタリオンから笑顔無く庁舎を眺めている。人命を救うという点では負傷者は出したが、なんとか職員全員の避難を完了していた。
 しかし爆破は阻止することができなかった。ギリギリ及第点といったところだろうか。

 大きな煙とともに昼間の平和な日常が灰色の恐怖へと一瞬で変わる。その光景を太地は目に焼き付けていた。自然と怒りと悔しさが一緒に込み上げてくる。


(このままNFNFエヌフの狙い通りにさせてたまるか……必ず、侵攻を止めてみせる)




 * * *


 12月15日12:40––  GGスタリオン

「これ何! 御令嬢はこんな軍用輸送機を持っていたの⁈ 」

「GGスタリオンですわ!」

「なんか……GSDジスド内での僕の存在がどんどん薄くなっていくなぁ」

「大丈夫ですよ! 高杉さんはGSDジスド外でもそこまで重要な存在では無いですから。元気出してください!」

「……片瀬さん、それ励ましてるつもり? ディスってるよね……」


 GGスタリオンの存在はこれからも探索課の貴重な『足』となりそうだ。


「トンボさん! アレぶっつけ本番でやったんですね! ビックリしましたよ」

「いやぁ~、一撃放ったらもう身体ガタガタっスね。六太むったさんの回復薬を飲んだらいきなり復活したっス!」

『トンボ……もうちょっと、オイラの薬を大切に使えよ。一発攻撃かまして一本消費とかコスパ悪すぎだぜ。本当に近頃の馬鹿者はこれだから困るぜ』

「むっちゃん、それを言うなら若者ね。でも可愛い」


『それにしても、千鶴と成美はよくやったな! これからもっと精度とスピードを上げていって仲間の遠隔サポートができるようになれたらいいな!』

「うん。むっちゃんありがとう」

六太むったさん、本当に感謝しているのですわ……でも、早くこの額についたを消して欲しいのですわ! 恥ずかしくて死にそうですわ!」


『何いってんだよ。良かったじゃねぇか。これで成美も正式な六太むったファンクラブのメンバーに入れたんだからよ! 正会員にはお得なポイントが––』

「早く消すのですわ!」


 両手で六太むったの首を絞めながら脅す成美。


『わ、わがっだ……く、苦じい……だずげで~』


 こうして全員笑いながらGSDジスド本部へ帰還した。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」  ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜

万実
キャラ文芸
う、嘘でしょ。 こんな生き物が、こんな街の真ん中に居ていいの?! 私の目の前に現れたのは二本の角を持つ鬼だった。 バイトを首になった私、雪村深月は新たに見つけた職場『赤星探偵事務所』で面接の約束を取り付ける。 その帰り道に、とんでもない事件に巻き込まれた。 鬼が現れ戦う羽目に。 事務所の職員の拓斗に助けられ、鬼を倒したものの、この人なんであんな怖いのと普通に戦ってんの? この事務所、表向きは『赤星探偵事務所』で、その実態は『赤星陰陽師事務所』だったことが判明し、私は慄いた。 鬼と戦うなんて絶対にイヤ!怖くて死んじゃいます! 一度は辞めようと思ったその仕事だけど、超絶イケメンの所長が現れ、ミーハーな私は彼につられて働くことに。 はじめは石を投げることしかできなかった私だけど、式神を手に入れ、徐々に陰陽師としての才能が開花していく。

処理中です...