Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

文字の大きさ
91 / 133
第三章 関東大一揆、洛外編

第91話 時間との戦い

しおりを挟む
 太地たいち月人つきとが栃木県庁塩谷庁舎へ向かって落下していく。庁舎付近で着地して素早くダッシュして無事に庁舎駐車場へ先に到着した。

成美なるみの強烈な射撃のおかげだな。俺たちが先に着いた』

「そうだね。いい牽制けんせいになったみたい。僕ら今回はどういう配置でいく?」

『庁舎を背にして太地は西側を、俺は南側を護る』


「了解!」


 話が終わると同時に赤鬼部隊が押し寄せて来た。それは運悪く避難する職員たちが大勢エントランスから出てきたタイミングだった。

 銃を構えたNFNFエヌフローダーが職員に向かって一斉に射撃する。

『ヤベェ!』


 月人が必死でエアバリアで防ごうとするが、範囲が広すぎて全ての弾丸を拾いきれない。数発職員の身体に命中してしまう。


 撃たれて突然苦痛を感じ、悲鳴をあげる職員とパニックになる周りの職員。
 月人が前進して赤鬼を殲滅せんめつしようと奮闘するが処理しきれない。【泥眼でいがん】の能面をつけたローダーたち数十人が一斉にあらゆる方向から職員を狙って襲いかかる。

『くそ、こいつら一人一人が赤の泥眼レベルかよ。これだけの数だと後ろへ数名突破されちまう』

 猛烈な勢いでNFNFエヌフローダーを吹っ飛ばしていく月人だが、3名ほどすり抜けて職員に向かって突き進んでいく。


「死ね! 政府のゴミども!」


 振り上げた刀が振り下ろされるその瞬間、ブワッと何かが通り抜ける音がした。


「な、なんだと!」


 周りの赤鬼ローダーが異変に気付く。ローダーの両脚を残して刀ごと全てをかき消されていたのだ。不思議なことに血が一滴も出てこない。真っ黒な切断面が見えている。

 ひるまずに別のローダーたちが銃をロードし、職員たちが集まるエントランスへ向かって乱射する。

「hardening material<素材硬化>」

 間一髪で高杉が大きな防壁を作って弾丸を防ぐ。

「みなさん、この壁に沿って進んで東側へ避難ください!」


「ギリギリセーフ? 間に合ったのかしら。月人、私たちも加勢するわ」


 片瀬片奈かたせかたなが笑って言った。そして月人が笑って返す。


『ギリギリアウトだよ。馬鹿野郎』



 * * *


 西側を守る太地の方へ避難する職員はいなかった。何かを守る必要がないという点では少し気が楽になった。


 しかし、正面から五、六人の赤の【泥眼】能面をつけたローダーが向かってくると、一気に緊張感が高まった。

 冷静に一歩下がって攻撃をかわし反撃する。焦らずに一人ずつ、冷静に数を減らす太地に対し、号令が掛かって一旦距離をあけるNFNFエヌフローダー。そして後ろから【生成なまなり】能面のローダーがゆっくりと出てきた。


「我が名は赤鬼九番隊副隊長富山弥兵衛だ。貴様はGSDジスドのハエだな?」

GSDジスドの六条だ」


『あと10分と経たないうちに爆破する。お前たちGSDがここへ何しに来たか知らんが、生きて帰れると思うなよ。お前たちもろとも爆死する運命なのだからな!』


 副隊長富山の言葉の後に、天月千鶴あまつきちづるがシーカー全員に伝える。


《こちら天月! 権田さんが15名制圧しました。残りは全て庁舎敷地内へ向かいました。あと、爆破の範囲が建物だけでなく敷地全体まで広がる大きなものだと判明しました! 至急戦闘を終わらせて避難してください。GGスタリオンは爆破に巻き込まれないように距離をとって援護射撃に徹します》


「あらら……相当ギリギリの展開っスね~」

 庁舎の屋上にトンボが立っている。

「トンボさん!」

「太地~、時間が無いから先にボスキャラっスね」

「へ?」


 トンボが両こぶしを握って目を閉じる。大きく息を吸ってから目を開けて唱える。

「……【友の力】ダブルエレメント!」

 トンボのディープアマゾナイトが強い光を放つ。そしてトンボの表情が苦痛でゆがむ。どうやら身体に過度な負荷がかかっているようだ。

 そして太地が心配する間も無くいつの間にか屋上から消えて、九番隊副隊長富山の首をかっ切っていた。ところが技を繰り出したトンボがそのまま膝をついて動かない。一瞬の出来事でNFNFエヌフが混乱している。

 その隙に、太地も中距離攻撃として開発中の技を繰り出す。

possessionポゼッション both arms、エアガン!」


 ダダダダッ!!

 を更に研ぎ澄ましてコンパクトな打撃を意識しつつ両腕で連打する『エアガン』。ライフルほど強力ではなかったが、狙う箇所によっては十分に一撃で倒せる威力だった。


 距離をとっていたローダーたちが次々と吹っ飛ぶ。しかし一人だけ防御して致命傷をなんとか外し、トンボに襲いかかろうとした。

 しかしローダーの背後から強烈な弓矢が一本突き刺さり、勢いが止まった。


「成美先輩の射撃だ……すげぇ」


《太地さん、そこから早く離れるのですわ! 爆発まで時間が無いのですわ! 月人さん側は既に制圧して全員退避を始めていますわ!》


「了解です! トンボさん、行きますよ!」

「か、身体が重いっス……」

 太地がトンボを担いで庁舎敷地から急いで離れる。




 一分後、大きな轟音ごうおんと共に建物は爆発した。
 シーカー全員がGGスタリオンから笑顔無く庁舎を眺めている。人命を救うという点では負傷者は出したが、なんとか職員全員の避難を完了していた。
 しかし爆破は阻止することができなかった。ギリギリ及第点といったところだろうか。

 大きな煙とともに昼間の平和な日常が灰色の恐怖へと一瞬で変わる。その光景を太地は目に焼き付けていた。自然と怒りと悔しさが一緒に込み上げてくる。


(このままNFNFエヌフの狙い通りにさせてたまるか……必ず、侵攻を止めてみせる)




 * * *


 12月15日12:40––  GGスタリオン

「これ何! 御令嬢はこんな軍用輸送機を持っていたの⁈ 」

「GGスタリオンですわ!」

「なんか……GSDジスド内での僕の存在がどんどん薄くなっていくなぁ」

「大丈夫ですよ! 高杉さんはGSDジスド外でもそこまで重要な存在では無いですから。元気出してください!」

「……片瀬さん、それ励ましてるつもり? ディスってるよね……」


 GGスタリオンの存在はこれからも探索課の貴重な『足』となりそうだ。


「トンボさん! アレぶっつけ本番でやったんですね! ビックリしましたよ」

「いやぁ~、一撃放ったらもう身体ガタガタっスね。六太むったさんの回復薬を飲んだらいきなり復活したっス!」

『トンボ……もうちょっと、オイラの薬を大切に使えよ。一発攻撃かまして一本消費とかコスパ悪すぎだぜ。本当に近頃の馬鹿者はこれだから困るぜ』

「むっちゃん、それを言うなら若者ね。でも可愛い」


『それにしても、千鶴と成美はよくやったな! これからもっと精度とスピードを上げていって仲間の遠隔サポートができるようになれたらいいな!』

「うん。むっちゃんありがとう」

六太むったさん、本当に感謝しているのですわ……でも、早くこの額についたを消して欲しいのですわ! 恥ずかしくて死にそうですわ!」


『何いってんだよ。良かったじゃねぇか。これで成美も正式な六太むったファンクラブのメンバーに入れたんだからよ! 正会員にはお得なポイントが––』

「早く消すのですわ!」


 両手で六太むったの首を絞めながら脅す成美。


『わ、わがっだ……く、苦じい……だずげで~』


 こうして全員笑いながらGSDジスド本部へ帰還した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...