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第四章 関東大一揆、洛中編
第133話 なんとかメリークリスマス
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警察が野次馬やメディアを抑えている。建物や周辺の広場がダメージを負ったものの、月人の活躍によって被害を最小限に留めることができた。
慌ただしく事後処理で終われる状況を全て無視して不破総司令と小松部長、そしてシーカーたちが太地達のもとへ駆けつける。
太地は気絶こそしていないが、身動きが一切取れない。月人と六太がまだロードされているので命に別状は無さそうだ。
「おい太地! 大丈夫か! 無茶しやがって……」
小松部長の声に反応し、頑張って笑顔を作りサムズアップする太地。
「六条君は大丈夫ですか? 今GSD本部は一切機能していません。権田支部の医療室へ一旦運んでも構いませんか?」
「勿論ですわ! 爺や……はいないのですわ! でしたら至急GGスタリオンを……」
「いや、僕が運ぶよ。権田支部までなら問題ない。御令嬢は直ぐに医療室に連絡して治療の準備を指示して」
高杉がミニマルジェットで成美、太地、片奈そして月人も乗せて権田支部に向かった。見送りながら不破総司令が小松部長に話しかける。
「それにしてもあの状況からよく宍土の真の目的を防いだわね」
「太地のお陰だな。アイツが直前で気付いて永田町から移動したらしい。戦いの詳細は後日聞くとして、この関東大一揆は太地たちの踏ん張りでなんとか終わらせることができたって感じだな」
「いいえ、探索課全員のお陰よ。本当に助かったわ……」
皇居現場にはトンボと復活した千鶴も来ていた。まだ付近に潜んでいるかもしれないNFNF残党を警戒し、トンボが虫の力を借りて皇居周辺と永田町を索敵している。
そして千鶴は六太を肩に乗せて宍土の遺体の前に立っていた。
『おい、千鶴。お前休んでなくて大丈夫か?』
「うん。大丈夫よ。むっちゃんの薬のおかげで、もうすっかり回復した」
そして千鶴はしゃがんでブルーシートに手を掛ける。
「少し、宍土のことを調べておきたいの。今なら多分何かが見える気がする」
『何かって、お前……アイツはもう死んでるぞ……』
そう言って、千鶴は遺体にかけられたブルーシートをめくる。
「スキル<見透かされた世界>!」
暫く動かない千鶴。そして何が見えたのか、ビクッと反応して二、三歩下がる。
『おい、千鶴どうした! 無理するなよ』
「え……そんな馬鹿な……あれが……何故……」
動揺する千鶴を見て、六太が一旦スキル使用をやめさせる。その場から離れて落ち着かせるが、千鶴は大丈夫だと言って再び宍土のもとへ。
『一体、どうしちまったんだ千鶴……』
* * *
12月25日 18:00—— 権田支部医務室
高杉達によって権田支部へ運ばれた時、太地は既に眠っていた。そのまま眠り続けて午後六時頃に目を覚ます。
「あ、あれ? ここって……」
「権田支部の医療室ですわ。気分はどうですわ?」
成美と月人がベッド脇で太地の看病をしてくれていたようだ。
「はい……かなり元気になったと思います」
『無理はするなよ。表面的な傷は無くても結構血は減っていたからな。まぁ、太地はオールタイプだから問題ないけどよ』
「オールタイプ? 何それ? 以前誰かそんなこと言っていたような……」
「とりあえず、皆さんと一緒に食事をとりますわ! 既にお母様には連絡をしているので大丈夫ですわ。念のため、今晩は権田支部医療室で療養ですわ」
(ますわ、ですわが凄過ぎて内容があまり入ってこない……)
立ち上がった成美は太地を権田邸ダイニングホールへ連れて行く。
ホールには高杉と片奈、それにクルミと六太が既にパーティーを楽しんでいた。
「あっ、むっちゃんも戻って来たんだね。天月さんは大丈夫だったの?」
『おう! 千鶴は元気に家に帰ったぜ。だからオイラもここに戻って来た』
「ところで……むっちゃん、その格好ってもしかして……」
『おう! ムッタクロースだ!』
「そ、そうだよね……トナカイとソリまで一緒に……だんだんドールの表現にディテールが加わってきたなぁ」
六太が大きな白い袋を肩に掛けて赤い服を着ている。チリ毛の上から白ヒゲを付けて、おきまりの帽子を被っている。テーブルの上をペタペタと歩き回って配っているのは謎の飴玉だ。結局ソリからは降りて歩くのか。
『これはオイラからの素敵なプレゼントだ~』
ホイホイ皆に配っていく六太。手渡された飴玉を誰も容易に口に入れない。きっと六太の新作だろう。逆に怖すぎて口に入れられない。
『ムッタチャプスだ! 舐めた後、一定時間オイラを召喚できるぞ!』
「……地味に結構すごいわね。でも今は必要ないわね」
片奈の言う通りだ。激戦を終えたばかりのシーカー達に六太を召喚する必要性は特に無い。
「クルミも六太を呼ぶことができるのですわ?」
『できるぜ。これはローダーじゃない人間でもオイラを呼び出せるんだぜ』
「え! それはマジですごいな!」
『……ポメ太が太地のアイドルだから可能なんだろうな』
高杉の驚きに答える月人。そしてウンウンと頷きながらドヤ顔で六太が語る。
『その通りだ。月男は太地からしかロードできねぇが、オイラはちょっと違うんだ。そこに太地のオールタイプの血の特性を利用すれば、この六太様のレンタル移籍が可能となるわけだ』
(また出た。オールタイプ……そういえば研究課の羽入部長も言ってたな)
「まぁ、その……今は使わないけど、ありがとうね……ていうかNFNFとの決戦の前に渡して欲しかったよ」
『仕方ねぇだろ。クリスマスってことで、さっき急いで作ったんだからよ。決戦前はトレーニングやら回復薬やらで忙しかったんだ』
そして、今日の激闘を讃えるかのように豪華な食事が次々と運ばれてきた。乾杯のグラスを皆が手に取ったことを確認し、成美が立ち上がる。
「皆さん! GSDと皇居の防衛、本当にお疲れ様ですわ! そして本日は……メリークリスマス!」
「「「メリークリスマス!!!」」」
乾杯の音が鳴り響き、心から食事を祝えた瞬間だった。
一方テロ現場の騒ぎはおさまることなく深夜まで続いた。断片的にしか情報が入ってこないメディアは、こぞってこの謎が多すぎる事件を騒ぎ立てた。
歴史上、最も壮絶で最も奇妙なクリスマスだと。
——————————————————
ここまでBloody Codeをお読みいただきありがとうございました。
物語はまだまだ続いておりますが、アルファポリスでの投稿はこの関東大一揆編までとさせていただきます。
こちらの都合で恐縮ですが、小説家になろうとカクヨムでも掲載しておりますので、もし興味を持っていただけた方はそちらで続きを読んでいただけたらと思います。
慌ただしく事後処理で終われる状況を全て無視して不破総司令と小松部長、そしてシーカーたちが太地達のもとへ駆けつける。
太地は気絶こそしていないが、身動きが一切取れない。月人と六太がまだロードされているので命に別状は無さそうだ。
「おい太地! 大丈夫か! 無茶しやがって……」
小松部長の声に反応し、頑張って笑顔を作りサムズアップする太地。
「六条君は大丈夫ですか? 今GSD本部は一切機能していません。権田支部の医療室へ一旦運んでも構いませんか?」
「勿論ですわ! 爺や……はいないのですわ! でしたら至急GGスタリオンを……」
「いや、僕が運ぶよ。権田支部までなら問題ない。御令嬢は直ぐに医療室に連絡して治療の準備を指示して」
高杉がミニマルジェットで成美、太地、片奈そして月人も乗せて権田支部に向かった。見送りながら不破総司令が小松部長に話しかける。
「それにしてもあの状況からよく宍土の真の目的を防いだわね」
「太地のお陰だな。アイツが直前で気付いて永田町から移動したらしい。戦いの詳細は後日聞くとして、この関東大一揆は太地たちの踏ん張りでなんとか終わらせることができたって感じだな」
「いいえ、探索課全員のお陰よ。本当に助かったわ……」
皇居現場にはトンボと復活した千鶴も来ていた。まだ付近に潜んでいるかもしれないNFNF残党を警戒し、トンボが虫の力を借りて皇居周辺と永田町を索敵している。
そして千鶴は六太を肩に乗せて宍土の遺体の前に立っていた。
『おい、千鶴。お前休んでなくて大丈夫か?』
「うん。大丈夫よ。むっちゃんの薬のおかげで、もうすっかり回復した」
そして千鶴はしゃがんでブルーシートに手を掛ける。
「少し、宍土のことを調べておきたいの。今なら多分何かが見える気がする」
『何かって、お前……アイツはもう死んでるぞ……』
そう言って、千鶴は遺体にかけられたブルーシートをめくる。
「スキル<見透かされた世界>!」
暫く動かない千鶴。そして何が見えたのか、ビクッと反応して二、三歩下がる。
『おい、千鶴どうした! 無理するなよ』
「え……そんな馬鹿な……あれが……何故……」
動揺する千鶴を見て、六太が一旦スキル使用をやめさせる。その場から離れて落ち着かせるが、千鶴は大丈夫だと言って再び宍土のもとへ。
『一体、どうしちまったんだ千鶴……』
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12月25日 18:00—— 権田支部医務室
高杉達によって権田支部へ運ばれた時、太地は既に眠っていた。そのまま眠り続けて午後六時頃に目を覚ます。
「あ、あれ? ここって……」
「権田支部の医療室ですわ。気分はどうですわ?」
成美と月人がベッド脇で太地の看病をしてくれていたようだ。
「はい……かなり元気になったと思います」
『無理はするなよ。表面的な傷は無くても結構血は減っていたからな。まぁ、太地はオールタイプだから問題ないけどよ』
「オールタイプ? 何それ? 以前誰かそんなこと言っていたような……」
「とりあえず、皆さんと一緒に食事をとりますわ! 既にお母様には連絡をしているので大丈夫ですわ。念のため、今晩は権田支部医療室で療養ですわ」
(ますわ、ですわが凄過ぎて内容があまり入ってこない……)
立ち上がった成美は太地を権田邸ダイニングホールへ連れて行く。
ホールには高杉と片奈、それにクルミと六太が既にパーティーを楽しんでいた。
「あっ、むっちゃんも戻って来たんだね。天月さんは大丈夫だったの?」
『おう! 千鶴は元気に家に帰ったぜ。だからオイラもここに戻って来た』
「ところで……むっちゃん、その格好ってもしかして……」
『おう! ムッタクロースだ!』
「そ、そうだよね……トナカイとソリまで一緒に……だんだんドールの表現にディテールが加わってきたなぁ」
六太が大きな白い袋を肩に掛けて赤い服を着ている。チリ毛の上から白ヒゲを付けて、おきまりの帽子を被っている。テーブルの上をペタペタと歩き回って配っているのは謎の飴玉だ。結局ソリからは降りて歩くのか。
『これはオイラからの素敵なプレゼントだ~』
ホイホイ皆に配っていく六太。手渡された飴玉を誰も容易に口に入れない。きっと六太の新作だろう。逆に怖すぎて口に入れられない。
『ムッタチャプスだ! 舐めた後、一定時間オイラを召喚できるぞ!』
「……地味に結構すごいわね。でも今は必要ないわね」
片奈の言う通りだ。激戦を終えたばかりのシーカー達に六太を召喚する必要性は特に無い。
「クルミも六太を呼ぶことができるのですわ?」
『できるぜ。これはローダーじゃない人間でもオイラを呼び出せるんだぜ』
「え! それはマジですごいな!」
『……ポメ太が太地のアイドルだから可能なんだろうな』
高杉の驚きに答える月人。そしてウンウンと頷きながらドヤ顔で六太が語る。
『その通りだ。月男は太地からしかロードできねぇが、オイラはちょっと違うんだ。そこに太地のオールタイプの血の特性を利用すれば、この六太様のレンタル移籍が可能となるわけだ』
(また出た。オールタイプ……そういえば研究課の羽入部長も言ってたな)
「まぁ、その……今は使わないけど、ありがとうね……ていうかNFNFとの決戦の前に渡して欲しかったよ」
『仕方ねぇだろ。クリスマスってことで、さっき急いで作ったんだからよ。決戦前はトレーニングやら回復薬やらで忙しかったんだ』
そして、今日の激闘を讃えるかのように豪華な食事が次々と運ばれてきた。乾杯のグラスを皆が手に取ったことを確認し、成美が立ち上がる。
「皆さん! GSDと皇居の防衛、本当にお疲れ様ですわ! そして本日は……メリークリスマス!」
「「「メリークリスマス!!!」」」
乾杯の音が鳴り響き、心から食事を祝えた瞬間だった。
一方テロ現場の騒ぎはおさまることなく深夜まで続いた。断片的にしか情報が入ってこないメディアは、こぞってこの謎が多すぎる事件を騒ぎ立てた。
歴史上、最も壮絶で最も奇妙なクリスマスだと。
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ここまでBloody Codeをお読みいただきありがとうございました。
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