チートなしの無能令息ですが、5人の攻略対象に逃してもらえません!

村瀬四季

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無能令息、世界を知る

【無能令息】


青く澄んだ空。

雲一つない、穏やかな昼。

生まれて一ヶ月ちょっと経った俺は執事に抱っこされながらピクニックをしていた。

「坊っちゃま。今日はこの国についてお話ししましょうか」

「う」

「では説明しますね」

ここ一週間前から俺は執事に外に出されて執事の話すお話を聞いている。

暖かく、眠ってしまいそうだったが、執事の声が良いので起きている。

最初は名前を教えられた。

俺の家族はリリーフロストという苗字らしい。

そして俺の名前はコーラル。

俺が前、横になっている時に不気味に笑った美少女は俺の姉。

名前はエリーゼだ。

ちなみに執事は俺の家族のこと嫌いらしい。

なんとなく感じた。花の匂いが臭いらしい。

そんな執事は「私のことはアルヴィンと、呼んでください」と言っていた。

父と母の名は……忘れた…。

横文字覚えるのって難しいんだよね。

「…っちゃま、坊っちゃま!」

「!?」

「聞いてましたか?私の話」

「……」ニコ

「とりあえず笑っとけばいいとか思わないでください」

(バレたか…)

「もう一回一から説明します」

「う」

「次はちゃんと聞いてくださいね」

(わかったわかった)

「この国はヴェリテ王国という国です」

「この国では、生まれながらにしてチートという力を持っています」

「それはこの国で祝福、価値のあることとして考えられます」

強い力を持つものは称えられ、持たざる者は虐げられる。

「そんな世界です」

(チート!!キタコレ!!)

(これで俺がすごいチート持ちでチヤホヤされるってことだよな!!!)

「……そんなに目を輝かせてどうしたんですか?」

(やべ、ちょっとやりすぎたか…)

「良いチートに恵まれるといいですね」

「う」

その言葉に引っ掛かりを感じた。

「おや、曇ってきましたね。今日のところはここまでにして戻りましょう」

「う」




中に入ってメイドが言った

「旦那様がお待ちです」

アルヴィン(執事)は一礼し、「はい」と…少し嫌そうに見えた。



コンコン

「入れ」

「失礼します」

鼻にまとわりつくような花の香りがした。

「おぉ!コーラル!」

父の声が、満足げに響く。

「ふふふ…可愛い子ねー」

母も微笑みながら続けたが、目の奥は笑っていないように見えた。

「お前はうちの宝だ!コーラル!」

父が高い高いをしながら俺に言った。

(そんな期待しなくても…)

「この瞳を見ろ!」

「ふむ…黒い瞳なんて珍しいわね」

「そうだ!きっと公爵家に幸運をもたらすことだろう!」

(そうなのか?確かに俺以外の目は茶色だったりとカラフルだ)


ガチャ、

「あら、エリーゼどうしたの?」

「あのね…お母様!」

「おぉ、エリーゼ!いいところに来たな!
コーラルのこと抱っこしてみなさい!」

「いいわね!お話は後で聞くから抱っこしてみなさい!」

「う、うん」

(こんな小さな子が抱くのか…!?)

(た…!助けろ……!アルヴィン)

「……」

アルヴィンは察したのか、そのままそっぽを向いてしまった。

(そっぽ向くなぁ……!!)

(ん…まぁ……大丈夫そうかも……)

少し不安定だがふらつくほどではなかった。

だが、エリーゼが耳元で囁いてきた。

「これ以上私の邪魔したら許さないから……!」

(…いやこっわ……俺なんかした?)

エリーゼは抱っこしたままそのまま歩き始めた。だが、

「あっ!」

一同「えっ」

(え、やば、二度目の死到来?)

「っと……大丈夫ですか?坊っちゃま」

(…ふぅ~あぶね~、間一髪だったな、アルヴィンありがとう!!)

(…てかわざとだろ)

その瞬間、父が立ち上がった

「エリーゼ!?何してるんだ!?危ないだろう!?コーラルになんてことするんだ!!」

「え…あ…で、でもつまずいただけで……」

父の怒号が部屋中に響いた。

「黒の瞳に傷でもついたら、どうするんだ!?」

「まぁまあそんなに怒らなくてもいいじゃない」

「……まぁいい、部屋に戻って反省しなさい」

「……」

「コーラルに怪我はないか?」

「はい。特に問題ありません」

「良かった。くれぐれもコーラルの体に傷ひとつつけるんじゃないぞ」

「承知いたしました」

(この父親、コーラルじゃなくて瞳の方が大事ってわけか)


一方、エリーゼは

(何よ…こいつより私の方が可愛いのに…)

「エリーゼ、何をしてるんだ?部屋に戻ってなさい。」

「…お、お父様…私はっ…」

「いいから早く!!何回言わせるんだ!?」

「……はい」

部屋には険悪な雰囲気が漂った。

ガチャ、バタン

(…何も子供相手にそんな言うか?普通)


エリーゼの部屋。

「何よ、前までは私のことを優先してくれたのに…」

「良いわ、そっちがその気ならこっちにも策があるわ。」

「メイド」

「はい、お嬢様」

「‘あれ’を用意してちょうだい」

「…ですがお嬢様」

「良いから!!」

「は、はい」

















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