有栖川悠は女の子が好き!?

Red

文字の大きさ
4 / 18

小松都の告解

しおりを挟む
私の名前は、小松都。
自分で言うのもなんだけど、自他ともに認める、かなりの高水準の女の子……だと思ってたわ。
あの子……有栖川悠に出会うまでは。
悠との出会いは、小学校4年生の時。同じクラスになってからね。

それ以前にも存在は知っていた。……目立っていたからね。
私は悠と出会ってから、自分が今まで積み上げてきた自信が、足元から、ガラガラッと崩れ落ちていくのを感じたわ。
勉強も、運動も、容姿も、すべてが、向うの方が上。
何をやっても敵わない。
そんな相手を目の前にした場合、人の心理として起こす行動はかなり限られてくるらしいのよ。

その内の一つが『排除』
人は、自分が敵わない相手を嫌い、自らの平穏の為に嫌いな相手を排除しようとする……らしい。
その手段の一つとして、コミュニティーからの排除があるという。
要は自分の周りに関わらせないってやつね。
よくあるイジメの一つ。
悠は、その特徴的ともいえる綺麗な長い銀髪があったけど、裏を返せば人と大きく違うという事。
集団において、「違う」という事は、格好の排除のネタとなる。

悠は、その高スペックがゆえに、周りから孤立していった……私の目の前で。

別の行動としての『崇敬』
排除とは真逆に取り込むこと。
「こんなにすごいんだから私が敵わなくて当然」と論理をすり替えるのだ。
逆に言えば、「私よりすごくないと困る」という事にもなる。

だから私は許せなかった。
悠を排除しようとする一団も、あっさりと排除されているユウの事も、そしてそれを黙って見ていた自分の事も。
私は、悠を苛めていた集団と、とことん語り合った……時には拳で。
長い戦いの末、学校終わりに一緒に遊びに行くぐらいまで仲良くなったのは、秋のの運動会が終わる頃だった。

そして、学年が変わる頃、悠は銀髪ではなくなっていたが、それは学校に行っている間だけで、私と遊ぶ時は、いつもと変わらない銀色の髪だったから特に気に留めることもなかった。
後から思えば、この時に、もっとはっきり言っておくべきだったと後悔する。

『ユウの銀色の髪はとっても綺麗だから隠す必要なんてないんだよ』って。

悠が銀の髪色をコンプレックスに感じている、と理解した時にはすでに手遅れだった。

「でも私と二人の時には銀色の髪の毛だし……いいよね?」
私は、後悔しながらも私にだけ見せる、素の悠を特別な事だと感じ、ひそかな優越感に浸っていた。

「それでも、最近は気にしていないみたいだしね。」
私は誰にも聞こえないようにそっと呟く。

中学時代の悠は、頑なに自分の髪を隠していた。
黒色のウィッグで、地毛を隠し、学校外でも、誰かに見られる危険性が少しでもあると、ウィッグを外すことはなかった。
とは言っても、誰もが、漆黒の綺麗なストレートの髪を見て、羨ましがることはあっても、それ以上に気に留めるようなことはなく、完全に悠の被害妄想に近い感じだったけど。

悠も、その事に気付いたのか、中学を卒業し、今の学園に入学する頃には、学園外ではウィッグを外すようになったけどね。

だから、目の前で、悠がシュウと髪の毛の色について話しているのを見て、「まだ引きずっていたのか?」と意外に思ったんだけど……。こればっかりはどうしようもないか、と、私はスルーすることにしたの。髪色がなんだって、悠は悠だよ、と私は言い続けるだけ……。



中学でも、悠に関するトラブルはそれなりにあった。
と言っても、小学校の時の様な可愛いモノではなく、そのほとんどが恋愛がらみだというのが困りものだったけどね。

中学に入る頃には、私の中での悠の存在は『守ってあげたい』『ユウの事が好き』という二つに絞られていた。
自分と他人を比較することの愚かさに気付いた、というのもある。
二次性徴が始まって、私の胸が大きくなり、悠は小学校の時と変わらない……という事実が、私の心にも余裕を与えることになり、そう考えることが出来るようになった、というのは皮肉以外の何物でもなかったが。

因みに、私が「悠は実は男の子だった」と知ったのは、女の子だけが集まる授業の時だった。
私が先生に「悠がいない」と訴えた時、先生に「彼は男の子だからいないのよ」と言われて初めて知ったのだ。

実は、その後どうしても信じられずに、悠を呼び出して、お互いに裸を見せ合ったのは内緒である。
偶に、あの時の真っ赤になった悠の事を思い出してニヤニヤしたり、その後の事を思い出した赤面したりすることもあるけど、ナイショと言ったらナイショなのである。

だけど、あの時から、私は悠の事を意識しだしたし、悠も多分、私の事を意識してくれてるとは思う。
ただね、たまに悠自身、自分が男の子だって事忘れてるんじゃないかな?って思う事が多々あるのよね。
例えば、女の子同士での集まりの中に、さりげなく混じっているし、しかも違和感ないし。
ファッション誌を見てるとき、ランジェリー特集で、「これ可愛いよね」とかの会話にも、当たり前の様に混じってるし、スキンケアについても詳しかったりして、私もよく教えてもらったし……。

何が言いたいかというと、悠は本当に男の子なのか?って言う事。
まぁ、私は、悠が男の子だって言う証拠をバッチリ見たわけだし、それを疑ってるわけじゃないけど……。

因みに、男子の間では悠の下着が男物か女物かでもめているのを聞いたことがある。
応えは「両方」
少なくとも、スカートの時は、女物の下着をつけてるよ。しかも私が選んだヤツ。

悠が女の子の下着をつけていても「キモイ」とか「ヘンタイ」とか思わずに、「その下着なら悠に似合ってるよね?」「それは似合わないからやめたら?」などと思うのがすでに問題なのかもね。

正直言って、私にとって、悠が男か女かって事は、すでにどうでもいい事なの。その問題は、すでに小学校の時に終ってるからね。
悠は悠であればそれでいいし、私がユウが好きって事も純然たる事実。



ただ、ふと考えることがある。
悠の事が好き、それは紛れもない事実だけど、私は「男の子の悠」が好きなのか「女の子の悠」が好きなのか、どっちなんだろうって。
本当に些細な事なんだけど、もしこれが「女の子の悠が好き」だった場合、結ばれる瞬間において、私は悠の事を受け入れることが出来るのかな?」と微かに不安になる。
……ほんとに時々、なんだけどね。

そしてもう一つの不安。
悠が異常にモテるという事。
異常というのは違うか。
悠ほどの美少女?であればモテて当然。そこらのアイドルやモデルより可愛いんだもんね。
正確に言えば、悠が惚れっぽい事かな?
これだけモテる悠だから、悠が惚れた相手の大半が悠に好意を持って当然。
しかも、悠が惚れる相手は、大抵の場合、何らかのトラブルを抱えていて、悠はそのトラブルを解決するために行動してしまう。
そんな事されたら……普通の女の子なら、すぐに恋に落ちてしまうだろう……相手が普通の男の子だったら。
私にとって幸いなのは、悠がどう見ても女の子にしか見えない事。
だから、相手の女の子が悠に恋に落ちる前に、私は手を打つことが出来た。
「あなたは女の子が好きなの?」と。
その相手だって、悠が男の子だということは聞かされているはず。
だけど、改めてそう聞かれると、悠の見た目が邪魔をして混乱してしまうのだ。

……うん、ゴメン、悠。あなたの惚れた相手、全部私が潰してきたのよ。
だけど信じて欲しい。
私は潰すつもりはなかった。ただ、悠の事を、見た眼も含んで好きになって欲しかっただけ……。
見た目で惑わされる恋なんて恋じゃないと思うから……。
というか、女の子が好きか?と問われただけで、迷うこと自体、それは本気じゃないって言ってるようなものだからね。
私は言えるよ。ユウが男の子でも女の子でも構わないって。
受け入れることが出来るかどうかの不安も含めて、それでも悠が好き。

だから、今回のまだ見ぬ悠のお相手も、私が全力で見極めてあげる。
そして、万が一、私が認めたなら、その時は改めて勝負……と言いたいけど、その時は協力を願う事になるかも。

だってね、ここだけの話、悠はマザコンなのよ。
そして、悠のママはハッキリ言ってラスボス。今の私じゃ、到底太刀打ちできないからね。
うん、悠のママの事はよく知ってるよ?
言ったでしょ、小学校からの付き合いだって。
だから悠のママ……有栖川アリサの事はよぉーく知ってるよ。
そう、銀翼の妖精シルバーフェアリー・アリーシャ』が、悠のママよ?
その事をよく考えて、覚悟を決める事ね。

あ、ちなみに私は、悠ママから「敵認定」受けてるからね。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...