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引きこもり聖女、街へ その2
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「エルちゃん、私が悪かったわ。」
「そう?」
ミヤコが必死に頭を下げるが、エルザの態度はつれない。
「もぅ、悪かったから、そろそろ機嫌直してよ。」
「何の話でしょう?私はいつもこんな感じですよ?」
エルザは変わらぬ態度を続ける。
「もぅ……。ユウちゃん何とかしてよ。」
「無理、こうなったエルたんのご機嫌を取るのは難しい、」
「そんなぁ……。」
「……ミヤコが私の言う事を何でも聞くなら、方法がないわけでもない。」
「ウッ、嫌な予感しかないんだけど……。」
「大丈夫。結局同じこと。」
「……それもそうね。お願いするわ。」
「ん、任せて。」
ユウは、ミヤコから離れるとエルザのすぐ横に寄り添い、すり寄る。
「ねぇ、エルたん。」
「なによ?」
「メイドさん買った後、すぐ帰らずに寄り道していい?」
「どこに?」
「えっとね、アルビオの街を超えてちょっと行ったところに山があって、その中腹に温泉があるの。」
「温泉!?」
「うん、エルたんの為に見つけた。何なら先に行ってもいい。」
「ホントに?じゃぁ行こ。すぐ行こ。」
ルンルン、と先ほどまでと打って変わって上機嫌になるエルザ。
「という訳で、今夜は野宿。ミヤコは私の抱き枕。」
「はぁ、ありがとねユウちゃん。」
エルザの機嫌が直るなら、一晩抱き枕になるのくらいは訳ないミヤコだった。
「ハァ、生き返るぅ~。よくこんな所見つけたねぇ。」
「うん、頑張った。」
「ユウはいい子だねぇ。」
よしよし、と頭を撫でるエルザ。
「そんなエルたんにおねだり。」
「ん?おねだり?何かな?」
「うん、メイドさん二人、出来れば三人買いたい。」
「えっ、そんなに必要?」
ユウのおねだりに、驚くエルザ。
「うん、実はここの温泉を教会に引こうかと考えてる。」
「できるのっ!?」
「出来る。ただ管理が少し大変になるからメイドさん一人だと可哀想。」
「いいよ。必要なら何人でも雇っちゃいなよ。」
「ちょ、ちょっと、エルちゃんっ!いいの?」
軽く答えるエルザに慌ててツッコむミヤコ。
「いいに決まってるよぉ。だって温泉だよ?この温泉が教会でも楽しめるんだよ?メイドさんの一人や二人、増えても必要経費だよ?」
「あのねぇ……はぁ、もういいわ。」
頭を抱えるミヤコだったが、ここまで来たらどうしようもない事を知っているだけに諦めるのお早い。
「うん、ユウちゃんに任せた私が悪いのよ。」
そう、一人で反省会をするミヤコだった。
◇
「……これで手続きはOKです。……でも大変だったわねぇ。」
受付のお姉さんが、手続きを全て済ませると、それまでの事務的な口調から少し砕けた口調になって話しかけてくる。
「えぇ、最初はどうなる事かと思いました。でも村のみんなも親切にしていただいて。」
それに、にこやかな笑顔で答えるミヤコ。
ここは、アルビオの街にある探索者ギルドだ。
向こうの大陸の冒険者ギルドと似たようなものらしい。
交流はなくとも、人間の考えることは同じみたいで、多少の際はあれど、向こうの大陸とそれほど変わりない発展の仕方をしているようなので、不審がられることもなかった。
一応、遺跡を探索中にトラップに引っかかって飛ばされた、とウソではない情報を流し、この辺りに不慣れなのは遠くから来たせいだという事にしてある。
一応向こうの大陸でのギルドカードを見せ、新人ではないことをアピールしておいたが、当然のことながらランクなどが引き継げるはずもなく、新人探索者として新規登録することになったのだ。
「でも、噂は聞いてるわよ?タウの村の聖女ってあの子の事なんでしょ?」
受付のお姉さんが、少し離れたところで、餌付けされているユウに視線を向ける。
「噂って……聞くのが怖いんですけど?」
「ごく普通の噂よ?突然現れてタウの村を賊から救った英雄。そして、重症者をもあっという間に癒す聖女様。そのお姿はまるで伝説の女神様が御降臨成されたようだ、ってね。」
「間違ってはいないけど、かなり誇張されているような……。」
「噂なんてそんなもんよ。実際、タウの村まで行って古傷を治してもらった探索者たちも大勢いるから、その信憑性は高いってことで一気に広まってるけどね。」
「成程、だからあんな光景になるわけね。」
ミヤコは呆れながらユウたちに視線を向ける。
ユウとエルザを取り囲んでいるのは、この街にいる探索者たちだ。
皆一様に感謝の言葉を述べ、食事を提供している。
特に女性探索者たちは、ユウを囲い込み、デザートを上げてはキャッキャと喜んでいる。
「あの子たちは特にね。やっぱり探索者なんてやってると、どうしてもけがは避けられないしね。」
ユウを膝の上に抱えて、ぶどうで餌付けしている女性探索者は、顔に大きな火傷の跡があったそうだ。
そのことがコンプレックスになり、この数年彼女の笑顔を見た者はいなかったが、ユウの癒しによって、やけどの跡はきれいさっぱりと消え失せ、彼女の本来の可愛らしい顔に笑顔が戻っている。
周りを囲む女性冒険者たちも似たようなものだという。
「まぁ、ユウちゃんは女の子に優しいからね。それで、他に噂話ってないの?」
「そうねぇ……最近ではやっぱりガリア王国の動向かしら?」
「そのあたり詳しく……。」
世間話をしつつ、噂話として流れている情報を集めるミヤコだった。
◇
「……とまぁ、こんな感じよ。」
「うん、私たちが聞いた話もそんな感じだったわ。」
街外れのカフェテラス。
そこでお茶を飲みつつ、情報交換を行うエルザとミヤコ。
ユウはいつものごとく、話には興味がないと言った感じで一心不乱にパフェと格闘している。
カズトは二人の話の邪魔をしないように黙って聞いていて、時折、話に出てこなかった情報に関して口を挟むぐらいだ。
「あ、それでね、一応メイドさん雇うにはどうすればいいか聞いてみたんだけどね、この街では難しいみたい。」
「どういうこと?」
「うん、ほら、メイドさんとか雇ってるのって、普通貴族とかでしょ?でもこの街にいる貴族って言ったら市長だけ、しかも爵位もかなり低いって話だから、この街でメイドの需要がないらしいのよ。だから雇うなら王都に近い大きな街まで行かないとダメなんだって。」
「あー……そういう事ね。うーん、ここからだと、一番近い大きな街ってなるとメリザの街ね……。片道1週間はかかるわね。」
「問題ない」
エルザがどうしようか悩んでいると、ユウがあっさりとそう口にする。
「問題ないって……さすがに1週間かかるんじゃぁ、それなりの準備が必要よ。」
「そこまで行かなくていい。この街で大丈夫。」
「だから娘の街じゃメイドさん雇えないんだってば。聞いてた?」
ミヤコがそう言うが、ユウは軽く首を振る。
「メイドさんは買う。誰も雇うなんて言ってない。」
「……そう言えば、ユウはずっと「買う」って言ってたわね。」
「まさか……?」
「そのまさか。……カズト、のんびりしていないで、さっさと案内する。」
「案内って……マジか?」
「マジ。」
ユウの言葉に、思い当たる場所が一つしかないカズトは一応確認をするが、ユウは大きく頷くだけだった。
「はぁ……じゃぁ、暗くならないうちに行くか……奴隷商はこっちだ。」
こっちの大陸では、奴隷の扱いは向こうの大陸より少し酷いものになっている。
大きな違いは、向こうの大陸で認められていた奴隷の人権というのが殆どなく、それこそ、カズトが最初に勘違いしていたことも、問題なく行えると言えばどれほどのものかは容易に想像がつくだろう。
日本人のミヤコたちに分かりやすく例えるのならば、向こうの大陸の奴隷は低賃金労働者であり、選り好み出来る立場ではないものの、最低限仕事を選ぶ自由と保証があった。
それに対して、こっちの大陸での奴隷の立場は、主人の権力が強い丁稚奉公である。
買われた主人に仕え、言われたことには絶対服従。世間体や公の立場というものがあるので、無理やりな性交渉を始めとした酷い扱いなどは表立っては出来ないものの、逆に言えば、表に出ない範囲であれば、すべては主人の思うがまま、やりたい放題というわけだ。
なので、こっちの大陸では、奴隷の立場で出来る事は、慈悲深いご主人様に買ってもらえるのを祈るだけ、という事になる。
そのような状況なので、自然と奴隷商を見る目も冷たくなり、奴隷商たちも、街中で余計なトラブルを起こしたくないので、街道裏の片隅にひっそりと店を構えているのだ。
「おや、あなた様は……今回はお買い求めで?」
店に入ると、出迎えてくれた店の主人がカズトに目を向け話しかけてくる。
どうやら、先日来店したことを覚えているらしい。
「あぁ、買うのは俺じゃないんだが、取り敢えず10歳から20歳ぐらいの年齢の女の子が見たい。」
「ふむ……先日新しい娘たちが入りましてな、ただ、それなりに値が張りますが?」
「問題ない。気に入ったのがいれば金に糸目は付けない。」
主人の言葉に、ユウがピンっと金貨を弾いて渡す。
「ほぅ、これはこれは……いいでしょう、しばらくお待ちください、上玉を連れてまいります。」
手にした金貨を見た途端、主人の顔に満面の喜色が浮かび上機嫌になる。
「ん、待ってる。」
「では少し失礼いたします。」
主人はそう言って部屋を出て行った。
「こちらが、当店最高クラスの商品です、で、こちらが……。」
主人は5人の少女を見せた後、他、3人の少女を連れてくる。
少女たちは皆、一様に全裸で、その身体つきが一目でわかるようになっている。
奴隷商が最高クラス言うだけあって、少女たちの身体は傷一つなく、綺麗に磨き抜かれている。
そのプロポーションも見事なもので、皆年相応、もしくはそれ以上のモノを惜しげもなく晒しだしている。
最も羞恥心がない訳ではなく、ここで恥ずかしがって隠したりすると、後で酷い折檻が待ってるため、必死になってこらえているのだ。
その為、多少の差はあれど、少女たちは羞恥で肌を桜色に染めている。
しかし、それがまた、なんとも言えない色気を醸し出しているのは、奴隷商の計算のうちなのだろう。
正直、少女を「商品」と言い切るあたり、気分的に良くないのだが、それを言っても始まらないと思い、エルザも、ミヤコも、ぐっとこぶしを握り締めて我慢する。
実際、ここでは自分は必要ない存在なのだから、文句を言える筈もない。
ただ、自分たちが買う事によって、この少女たちが最悪な未来を迎えずに済む、という事だけが救いだと思った。
「こちらが、そちらのカズト様のお好みと思われる商品です。先の商品に比べ、やや劣りますが、ご満足いただけると思っております。」
「値段と能力は?」
ユウが主人の口上を無視して確認する。
ちなみにカズトは後から来た3人の娘に目が釘付けになっているところを見ると、主人の目は確からしい。
「一番左が金貨35枚で……。」
主人が次々と紹介していく。
5人の中で一番高かったのは最初の少女だった。
容姿だけで言えば3番目の少女の方が上であり、スキルも一つ多いのだが、金貨10枚ほど安い。
主人にそのことを訊ねると、処女か非処女か?の差だという。
3番目の少女は非処女ではあるが、夜伽のテクニックが多彩であるため、その分の付加価値が付いているという。そうでなければいくら容姿が優れていても金貨5枚が妥当だというのだ。
このことからも、こっちの大陸での奴隷の扱いがどのようなものかが伺い知れる。
聞いているだけで気分が悪くなってきたエルザは、後をユウに任せて、別室に移動することにした。
部屋を出て行くエルザを心配そうに見つつ、ミヤコは気になることを主人に聞いてみる。
「あの子はなんで金貨20枚もするの?」
ミヤコが指したのは一番右の少女だ。
腰まである長い金髪に、やや勝気な蒼い瞳、小顔ですらっとした鼻筋が通っていて、誰もが美少女と納得する容姿である。ただ容姿に優れているとはいえ、持っているスキルは礼法のみ。態度も悪く、話しかけた時の反応もいただけない。はっきり言って売り物にならないのでは?とミヤコは思う。
同じ20枚出すなら、その隣のアッシュブロンドの娘の方がいい。
性格はやや大人しめだが、算術、筆術はもとより、彫金術と初級魔法も使える。
それなのにこの娘の金額は金貨18枚だという。
この娘より隣の娘の方が高いというのに納得がいかないミヤコだった。
「あぁ、これはさる貴族の元御令嬢でしてね。このような性格ですが、こういうのをお求めになるお客様も多いのですよ。」
ミヤコが、分からないという表情をしていると主人は続けて説明をする。
「つまりですね、こういうのを調教するのが趣味というお客様が一定数おられるという事です、ハイ。」
なんともゲスい話だった。
「ミヤコは気に入った子いた?」
「うーんメイドさんとして働いてもらうんでしょ?だったらあの子か、あの子がいいんじゃないかしら?」
ミヤコは先ほどの金貨18枚の娘と、カズトが悩んでいる3人の娘のうち一番右にいる娘を指し示す。
その娘はこちらの5人に比べれば一段劣るが、一般的に美少女と言っても差し支えない容姿をしており、持っているスキルも家事、算術、筆術、礼法、料理、薬術、調合術、護身術と多彩だ。これで金貨2枚というのはお買い得だと思う。
ただ、ミヤコの感覚がマヒし始めているだけで、金貨1枚あれば、一般の平民4人家族が3年は働かずに暮らしていけることから考えれば、十分高いのだ。
「カズトは?」
「ちょっと待ってくれ。こっちの娘かこっちの娘で迷ってるんだよ。」
カズトは、ミヤコの選んだ娘とその隣の娘を見比べて悩んでいる。
その視線が少女の胸元に行っているあたり、基準はそこだけのようだ。
その証拠に、残されたもう一人の娘は、他の二人より胸が一回り小さく、カズトに見向きもされていないため、自分の手を胸にあててしょんぼりとしている。
「悩むんだったらその二人に決めたら?どうせ二人は買う予定だったんでしょ?」
ミヤコはいい加減、待ちくたびれてきたのでそう告げる。
もう一人の娘も、家事、算術、筆術、と、メイドとして雇うのに最低限のスキルは持っている。それに加えて採集術も持っているので、素材集めにも連れ出せそうだ。
二人合わせて金貨4枚だしそれでいいのでは?とユウに伝える。
ちなみにミヤコが「メイドとして働いてもらう」といった途端、他の娘たちから熱いアピールがあり、ユウも決めかねているみたいだった。
今までの会話から、この場の決定権を持っている=主人は女性のユウであり、しかも購入目的がメイドとして働く人材、となれば女性の奴隷たちにとって、これほど美味しい売却先はないと思われる。
ゲスい貴族に買われ、夜な夜なヘンタイの相手をすることになる可能性が高い女性たちにとっては、ご主人様が女性というだけで優良物件なのだ。
最も、ヘンタイな女主人というのもいるのだが、この時点でそこまで考えろというのは酷な話だろう。
「主人、金貨20枚にしてくれるなら、この二人に加えて、その娘も買う。」
ユウは、カズトが悩んでいた二人と、碌なスキルも持っていない金髪の娘を指して言う。
「ふむ、いささか割り引きすぎのような気もしますが?」
「そんなことない。その娘の価値は金貨10枚程度。3人で20枚はサービス。」
ユウがきっぱりと言い切る。
ミヤコとしてもユウの言い分に納得ではある。
何を比重において買い求めるかは個人差があるので言及はしないが、こっちの二人が金貨2枚であれば、容姿のみしか取り柄がなく、特殊な性癖受けすることを上乗せしても金貨10枚でも出し過ぎのような気がするのだ。
「ふむぅ……。困りましたなぁ。」
「ダメならいい、こっちの二人だけもらっていく。」
「ではこうしましょう。これもつけて金貨40枚ではいかがですかな?」
主人は、さっきミヤコが候補に挙げたアッシュブロンドの娘を指す。
「金貨35枚。」
「……仕方がありませんな。それで手を打ちましょう。」
「ん、いい買い物をした。」
「お客様にはかないませんなぁ。」
ユウと主人はいい笑顔で笑い合っていた。
その横で、ミヤコは「4人なんて聞いてないよっ!」とまゆを吊り上げて叫ぶエルザの姿を連想するのだった。
「そう?」
ミヤコが必死に頭を下げるが、エルザの態度はつれない。
「もぅ、悪かったから、そろそろ機嫌直してよ。」
「何の話でしょう?私はいつもこんな感じですよ?」
エルザは変わらぬ態度を続ける。
「もぅ……。ユウちゃん何とかしてよ。」
「無理、こうなったエルたんのご機嫌を取るのは難しい、」
「そんなぁ……。」
「……ミヤコが私の言う事を何でも聞くなら、方法がないわけでもない。」
「ウッ、嫌な予感しかないんだけど……。」
「大丈夫。結局同じこと。」
「……それもそうね。お願いするわ。」
「ん、任せて。」
ユウは、ミヤコから離れるとエルザのすぐ横に寄り添い、すり寄る。
「ねぇ、エルたん。」
「なによ?」
「メイドさん買った後、すぐ帰らずに寄り道していい?」
「どこに?」
「えっとね、アルビオの街を超えてちょっと行ったところに山があって、その中腹に温泉があるの。」
「温泉!?」
「うん、エルたんの為に見つけた。何なら先に行ってもいい。」
「ホントに?じゃぁ行こ。すぐ行こ。」
ルンルン、と先ほどまでと打って変わって上機嫌になるエルザ。
「という訳で、今夜は野宿。ミヤコは私の抱き枕。」
「はぁ、ありがとねユウちゃん。」
エルザの機嫌が直るなら、一晩抱き枕になるのくらいは訳ないミヤコだった。
「ハァ、生き返るぅ~。よくこんな所見つけたねぇ。」
「うん、頑張った。」
「ユウはいい子だねぇ。」
よしよし、と頭を撫でるエルザ。
「そんなエルたんにおねだり。」
「ん?おねだり?何かな?」
「うん、メイドさん二人、出来れば三人買いたい。」
「えっ、そんなに必要?」
ユウのおねだりに、驚くエルザ。
「うん、実はここの温泉を教会に引こうかと考えてる。」
「できるのっ!?」
「出来る。ただ管理が少し大変になるからメイドさん一人だと可哀想。」
「いいよ。必要なら何人でも雇っちゃいなよ。」
「ちょ、ちょっと、エルちゃんっ!いいの?」
軽く答えるエルザに慌ててツッコむミヤコ。
「いいに決まってるよぉ。だって温泉だよ?この温泉が教会でも楽しめるんだよ?メイドさんの一人や二人、増えても必要経費だよ?」
「あのねぇ……はぁ、もういいわ。」
頭を抱えるミヤコだったが、ここまで来たらどうしようもない事を知っているだけに諦めるのお早い。
「うん、ユウちゃんに任せた私が悪いのよ。」
そう、一人で反省会をするミヤコだった。
◇
「……これで手続きはOKです。……でも大変だったわねぇ。」
受付のお姉さんが、手続きを全て済ませると、それまでの事務的な口調から少し砕けた口調になって話しかけてくる。
「えぇ、最初はどうなる事かと思いました。でも村のみんなも親切にしていただいて。」
それに、にこやかな笑顔で答えるミヤコ。
ここは、アルビオの街にある探索者ギルドだ。
向こうの大陸の冒険者ギルドと似たようなものらしい。
交流はなくとも、人間の考えることは同じみたいで、多少の際はあれど、向こうの大陸とそれほど変わりない発展の仕方をしているようなので、不審がられることもなかった。
一応、遺跡を探索中にトラップに引っかかって飛ばされた、とウソではない情報を流し、この辺りに不慣れなのは遠くから来たせいだという事にしてある。
一応向こうの大陸でのギルドカードを見せ、新人ではないことをアピールしておいたが、当然のことながらランクなどが引き継げるはずもなく、新人探索者として新規登録することになったのだ。
「でも、噂は聞いてるわよ?タウの村の聖女ってあの子の事なんでしょ?」
受付のお姉さんが、少し離れたところで、餌付けされているユウに視線を向ける。
「噂って……聞くのが怖いんですけど?」
「ごく普通の噂よ?突然現れてタウの村を賊から救った英雄。そして、重症者をもあっという間に癒す聖女様。そのお姿はまるで伝説の女神様が御降臨成されたようだ、ってね。」
「間違ってはいないけど、かなり誇張されているような……。」
「噂なんてそんなもんよ。実際、タウの村まで行って古傷を治してもらった探索者たちも大勢いるから、その信憑性は高いってことで一気に広まってるけどね。」
「成程、だからあんな光景になるわけね。」
ミヤコは呆れながらユウたちに視線を向ける。
ユウとエルザを取り囲んでいるのは、この街にいる探索者たちだ。
皆一様に感謝の言葉を述べ、食事を提供している。
特に女性探索者たちは、ユウを囲い込み、デザートを上げてはキャッキャと喜んでいる。
「あの子たちは特にね。やっぱり探索者なんてやってると、どうしてもけがは避けられないしね。」
ユウを膝の上に抱えて、ぶどうで餌付けしている女性探索者は、顔に大きな火傷の跡があったそうだ。
そのことがコンプレックスになり、この数年彼女の笑顔を見た者はいなかったが、ユウの癒しによって、やけどの跡はきれいさっぱりと消え失せ、彼女の本来の可愛らしい顔に笑顔が戻っている。
周りを囲む女性冒険者たちも似たようなものだという。
「まぁ、ユウちゃんは女の子に優しいからね。それで、他に噂話ってないの?」
「そうねぇ……最近ではやっぱりガリア王国の動向かしら?」
「そのあたり詳しく……。」
世間話をしつつ、噂話として流れている情報を集めるミヤコだった。
◇
「……とまぁ、こんな感じよ。」
「うん、私たちが聞いた話もそんな感じだったわ。」
街外れのカフェテラス。
そこでお茶を飲みつつ、情報交換を行うエルザとミヤコ。
ユウはいつものごとく、話には興味がないと言った感じで一心不乱にパフェと格闘している。
カズトは二人の話の邪魔をしないように黙って聞いていて、時折、話に出てこなかった情報に関して口を挟むぐらいだ。
「あ、それでね、一応メイドさん雇うにはどうすればいいか聞いてみたんだけどね、この街では難しいみたい。」
「どういうこと?」
「うん、ほら、メイドさんとか雇ってるのって、普通貴族とかでしょ?でもこの街にいる貴族って言ったら市長だけ、しかも爵位もかなり低いって話だから、この街でメイドの需要がないらしいのよ。だから雇うなら王都に近い大きな街まで行かないとダメなんだって。」
「あー……そういう事ね。うーん、ここからだと、一番近い大きな街ってなるとメリザの街ね……。片道1週間はかかるわね。」
「問題ない」
エルザがどうしようか悩んでいると、ユウがあっさりとそう口にする。
「問題ないって……さすがに1週間かかるんじゃぁ、それなりの準備が必要よ。」
「そこまで行かなくていい。この街で大丈夫。」
「だから娘の街じゃメイドさん雇えないんだってば。聞いてた?」
ミヤコがそう言うが、ユウは軽く首を振る。
「メイドさんは買う。誰も雇うなんて言ってない。」
「……そう言えば、ユウはずっと「買う」って言ってたわね。」
「まさか……?」
「そのまさか。……カズト、のんびりしていないで、さっさと案内する。」
「案内って……マジか?」
「マジ。」
ユウの言葉に、思い当たる場所が一つしかないカズトは一応確認をするが、ユウは大きく頷くだけだった。
「はぁ……じゃぁ、暗くならないうちに行くか……奴隷商はこっちだ。」
こっちの大陸では、奴隷の扱いは向こうの大陸より少し酷いものになっている。
大きな違いは、向こうの大陸で認められていた奴隷の人権というのが殆どなく、それこそ、カズトが最初に勘違いしていたことも、問題なく行えると言えばどれほどのものかは容易に想像がつくだろう。
日本人のミヤコたちに分かりやすく例えるのならば、向こうの大陸の奴隷は低賃金労働者であり、選り好み出来る立場ではないものの、最低限仕事を選ぶ自由と保証があった。
それに対して、こっちの大陸での奴隷の立場は、主人の権力が強い丁稚奉公である。
買われた主人に仕え、言われたことには絶対服従。世間体や公の立場というものがあるので、無理やりな性交渉を始めとした酷い扱いなどは表立っては出来ないものの、逆に言えば、表に出ない範囲であれば、すべては主人の思うがまま、やりたい放題というわけだ。
なので、こっちの大陸では、奴隷の立場で出来る事は、慈悲深いご主人様に買ってもらえるのを祈るだけ、という事になる。
そのような状況なので、自然と奴隷商を見る目も冷たくなり、奴隷商たちも、街中で余計なトラブルを起こしたくないので、街道裏の片隅にひっそりと店を構えているのだ。
「おや、あなた様は……今回はお買い求めで?」
店に入ると、出迎えてくれた店の主人がカズトに目を向け話しかけてくる。
どうやら、先日来店したことを覚えているらしい。
「あぁ、買うのは俺じゃないんだが、取り敢えず10歳から20歳ぐらいの年齢の女の子が見たい。」
「ふむ……先日新しい娘たちが入りましてな、ただ、それなりに値が張りますが?」
「問題ない。気に入ったのがいれば金に糸目は付けない。」
主人の言葉に、ユウがピンっと金貨を弾いて渡す。
「ほぅ、これはこれは……いいでしょう、しばらくお待ちください、上玉を連れてまいります。」
手にした金貨を見た途端、主人の顔に満面の喜色が浮かび上機嫌になる。
「ん、待ってる。」
「では少し失礼いたします。」
主人はそう言って部屋を出て行った。
「こちらが、当店最高クラスの商品です、で、こちらが……。」
主人は5人の少女を見せた後、他、3人の少女を連れてくる。
少女たちは皆、一様に全裸で、その身体つきが一目でわかるようになっている。
奴隷商が最高クラス言うだけあって、少女たちの身体は傷一つなく、綺麗に磨き抜かれている。
そのプロポーションも見事なもので、皆年相応、もしくはそれ以上のモノを惜しげもなく晒しだしている。
最も羞恥心がない訳ではなく、ここで恥ずかしがって隠したりすると、後で酷い折檻が待ってるため、必死になってこらえているのだ。
その為、多少の差はあれど、少女たちは羞恥で肌を桜色に染めている。
しかし、それがまた、なんとも言えない色気を醸し出しているのは、奴隷商の計算のうちなのだろう。
正直、少女を「商品」と言い切るあたり、気分的に良くないのだが、それを言っても始まらないと思い、エルザも、ミヤコも、ぐっとこぶしを握り締めて我慢する。
実際、ここでは自分は必要ない存在なのだから、文句を言える筈もない。
ただ、自分たちが買う事によって、この少女たちが最悪な未来を迎えずに済む、という事だけが救いだと思った。
「こちらが、そちらのカズト様のお好みと思われる商品です。先の商品に比べ、やや劣りますが、ご満足いただけると思っております。」
「値段と能力は?」
ユウが主人の口上を無視して確認する。
ちなみにカズトは後から来た3人の娘に目が釘付けになっているところを見ると、主人の目は確からしい。
「一番左が金貨35枚で……。」
主人が次々と紹介していく。
5人の中で一番高かったのは最初の少女だった。
容姿だけで言えば3番目の少女の方が上であり、スキルも一つ多いのだが、金貨10枚ほど安い。
主人にそのことを訊ねると、処女か非処女か?の差だという。
3番目の少女は非処女ではあるが、夜伽のテクニックが多彩であるため、その分の付加価値が付いているという。そうでなければいくら容姿が優れていても金貨5枚が妥当だというのだ。
このことからも、こっちの大陸での奴隷の扱いがどのようなものかが伺い知れる。
聞いているだけで気分が悪くなってきたエルザは、後をユウに任せて、別室に移動することにした。
部屋を出て行くエルザを心配そうに見つつ、ミヤコは気になることを主人に聞いてみる。
「あの子はなんで金貨20枚もするの?」
ミヤコが指したのは一番右の少女だ。
腰まである長い金髪に、やや勝気な蒼い瞳、小顔ですらっとした鼻筋が通っていて、誰もが美少女と納得する容姿である。ただ容姿に優れているとはいえ、持っているスキルは礼法のみ。態度も悪く、話しかけた時の反応もいただけない。はっきり言って売り物にならないのでは?とミヤコは思う。
同じ20枚出すなら、その隣のアッシュブロンドの娘の方がいい。
性格はやや大人しめだが、算術、筆術はもとより、彫金術と初級魔法も使える。
それなのにこの娘の金額は金貨18枚だという。
この娘より隣の娘の方が高いというのに納得がいかないミヤコだった。
「あぁ、これはさる貴族の元御令嬢でしてね。このような性格ですが、こういうのをお求めになるお客様も多いのですよ。」
ミヤコが、分からないという表情をしていると主人は続けて説明をする。
「つまりですね、こういうのを調教するのが趣味というお客様が一定数おられるという事です、ハイ。」
なんともゲスい話だった。
「ミヤコは気に入った子いた?」
「うーんメイドさんとして働いてもらうんでしょ?だったらあの子か、あの子がいいんじゃないかしら?」
ミヤコは先ほどの金貨18枚の娘と、カズトが悩んでいる3人の娘のうち一番右にいる娘を指し示す。
その娘はこちらの5人に比べれば一段劣るが、一般的に美少女と言っても差し支えない容姿をしており、持っているスキルも家事、算術、筆術、礼法、料理、薬術、調合術、護身術と多彩だ。これで金貨2枚というのはお買い得だと思う。
ただ、ミヤコの感覚がマヒし始めているだけで、金貨1枚あれば、一般の平民4人家族が3年は働かずに暮らしていけることから考えれば、十分高いのだ。
「カズトは?」
「ちょっと待ってくれ。こっちの娘かこっちの娘で迷ってるんだよ。」
カズトは、ミヤコの選んだ娘とその隣の娘を見比べて悩んでいる。
その視線が少女の胸元に行っているあたり、基準はそこだけのようだ。
その証拠に、残されたもう一人の娘は、他の二人より胸が一回り小さく、カズトに見向きもされていないため、自分の手を胸にあててしょんぼりとしている。
「悩むんだったらその二人に決めたら?どうせ二人は買う予定だったんでしょ?」
ミヤコはいい加減、待ちくたびれてきたのでそう告げる。
もう一人の娘も、家事、算術、筆術、と、メイドとして雇うのに最低限のスキルは持っている。それに加えて採集術も持っているので、素材集めにも連れ出せそうだ。
二人合わせて金貨4枚だしそれでいいのでは?とユウに伝える。
ちなみにミヤコが「メイドとして働いてもらう」といった途端、他の娘たちから熱いアピールがあり、ユウも決めかねているみたいだった。
今までの会話から、この場の決定権を持っている=主人は女性のユウであり、しかも購入目的がメイドとして働く人材、となれば女性の奴隷たちにとって、これほど美味しい売却先はないと思われる。
ゲスい貴族に買われ、夜な夜なヘンタイの相手をすることになる可能性が高い女性たちにとっては、ご主人様が女性というだけで優良物件なのだ。
最も、ヘンタイな女主人というのもいるのだが、この時点でそこまで考えろというのは酷な話だろう。
「主人、金貨20枚にしてくれるなら、この二人に加えて、その娘も買う。」
ユウは、カズトが悩んでいた二人と、碌なスキルも持っていない金髪の娘を指して言う。
「ふむ、いささか割り引きすぎのような気もしますが?」
「そんなことない。その娘の価値は金貨10枚程度。3人で20枚はサービス。」
ユウがきっぱりと言い切る。
ミヤコとしてもユウの言い分に納得ではある。
何を比重において買い求めるかは個人差があるので言及はしないが、こっちの二人が金貨2枚であれば、容姿のみしか取り柄がなく、特殊な性癖受けすることを上乗せしても金貨10枚でも出し過ぎのような気がするのだ。
「ふむぅ……。困りましたなぁ。」
「ダメならいい、こっちの二人だけもらっていく。」
「ではこうしましょう。これもつけて金貨40枚ではいかがですかな?」
主人は、さっきミヤコが候補に挙げたアッシュブロンドの娘を指す。
「金貨35枚。」
「……仕方がありませんな。それで手を打ちましょう。」
「ん、いい買い物をした。」
「お客様にはかないませんなぁ。」
ユウと主人はいい笑顔で笑い合っていた。
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