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お約束の急展開……勘弁してください。

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………はぁ。

俺は家のドアの前で膝を抱えて座り込んでいた。

ミィナに、追い出されたわけじゃないよ?

むしろミィナと顔を合わせるのは気まずい。

ミィナが何を考えて、一緒にお風呂に入ろうと言ってくれたのか、その真意はわからないけど、俺は、その場から逃げ出したのだ。しかも「醤油を買ってくる」なんてベタな言い訳をして。

落ち着いて考えれば、此の世界に醤油はない。いや、何処かにあるのかもしれないが、俺は今まで見たことも聞いたこともない。

「はぁ……」

さて、どうやって家に戻るか。

そんな事を考えていたら、突然あたりが光り輝き、真っ白に包まれる。


『ハーイ、あなたの天使、ラブリー女神ちゃんの登場ですよ。きゃるんっ!』

……いや、天使なのか神なのかはっきりしろよ。

「でも可愛いから許す!」

俺はそう言ってロリ女神ちゃんを抱きしめる。

『いきなりはらめぇ~。No,Touch!よNo,Touch!』

ロリ女神ちゃんはそう言ってするりと抜け出す。

……今どうやって抜けたんだろう?

「で、ロリ女神ちゃんがなんの用だ?」

『あら、現世御利益なんでしょ?敬虔なる下僕に可愛い御姿を見せに来たのよ。どう、可愛いでしょ?』

そう言ってくるりと一回転して見せるロリ女神ちゃん。

フワリと翻るミニのスカート……あ、パンツが見えた。

「ありがたや、ありがたや……」

思わず手を合わせて拝んでしまう。

『そうそう、アンタもよく分かってきたようね。』

俺が拝む姿を見て、上機嫌になるロリ女神ちゃん。

なにか勘違いしているみたいだが、都合はいいので放っておこう。

「ところで、なんでセーラ服?しかもミニ。……可愛いからいいけど。」


『あのね、イケメン勇者が「セーラ服サイコー」って叫んでいたから。でも、これでいいか分からなかったから下僕の意見を聞こうかと思ってね』

……クソッ、やっぱりイケメンかよっ!

まぁ似合ってるし可愛いから許す!

と言うか、セーラー服フェチの勇者?……なんか嫌な予感。

「可愛いが、イケメン勇者に会うのはやめておいた方がいい……気がする。」

『あら、いいのよ襲われたって。イケメンだしぃ、むしろ襲ってぇ、みたいな?』

……クソッ、そのイケメン勇者殺してぇ!

『そんな事よりぃ、ちょっとお願いがあるんだけどぉ。』

「いやな予感しかしないがなんだ?」

『えっとね、あのね、ちょっと魔物退治お願いできないかなぁって。』

「魔物退治だぁ?言っておくが、俺はホーンラビットと互角に戦う男だぜ?そんな俺がちんけな魔物如きと戦っていられるかよ。(訳:ホーンラビットが精一杯です、それより強い魔物なんて、勘弁してください)」

『大丈夫よぉ、あなたなら出来るわ。』

「気休めがお上手で」

『気休めなんかじゃないわよ。あなたにはとっておきのチート能力あげたでしょ。……そのせいで、私あの後嫌みな上司にねちねちと1時間もお説教喰らったんだからぁ、責任取ってよ。』

「お説教って、俺にギフト渡したのが駄目だってか?何だよ、そのクソ上司!」

『あー、うん、ソウダネー。』

あからさまに視線を逸らすロリ女神ちゃん。

「うん、隠し事は無しにしようか?」

俺はロリ女神ちゃんの顔に自分の顔をずいっと近づける。

あと10cmも近づけばキスが出来そうな距離だ。

『ちょ、まっ、ち、近いっ!あと、顔がキモいんですけどっ!』

「うるさいっ!どうせなにか仕出かしたんだろ?で、今回のこともそれに関わってるんだろ?俺に渡したギフトの件なんてオマケなんだろ?正直に言わないと、その手ペロペロするぞ!」

『くッ、童貞のくせに鋭いわねっ。あと、手くらいならいいわよ。』

「童貞ちゃうわっ!……違わないけど。ってかいいのかよっ。」

俺はロリ女神ちゃんの手を取る……柔らかい。そしてちっこい……。

『まぁいいわ。簡単に言えばね、イケメン君の処理能力が低下していてねぇ、そのせいであっちの世界、魔物で溢れそうになってるのよ。』

「それで、俺にそっちに行って手伝えって言いたいのか?」

俺は女神ちゃんの手を握りながら、そう尋ねる。

この手をペロペロ出来るなら、それぐらいなら……

『ううん、そんな負担の掛かることしないよ。』

「だったら俺に何が出来るっていうんだ?」

すると、ロリ女神ちゃんは、さり気なく手を離し、すすっと寄ってきて、俺の腕を取り寄り添ってくる。

……なんだ、このシチュ。

可愛い子が俺の腕を抱きしめるようにギュッと……。
惜しむらくは、腕全体に柔らかさを感じるのだが、起伏による差がないということぐらいか……。

『えっとね、怒らないで聞いてくれゅ?』

上目遣いでそんなふうに言われたら怒れないだろ?
……いや、演技だとはわかってるんだよ?分かってはいるんだけど。

『あのね、オーバーフローした魔物、こっちに流しちゃった。テヘっ。』

……オイ、ちょっとマテ。

『やぁん、怒らないって言った。』

「内容がひどすぎるわ、ボケェっ!」

『私のオ・ネ・ガ・イ……ねっ?』

怒りに震える俺の耳元で、ロリ女神ちゃんが甘い声で囁く。

「お、おう、いや、しかし……。」

『もぅ、しょうがないなぁ、特別だゾ。』

チュッとほっぺたに柔らかな感触が伝わる。

……いまのって………。

「よし、任せておけっ!」

『わ~い。嬉しぃ~(チョロいわね)』

……仕方が無いじゃないか。美少女のキスだぞ?(ほっぺだけど)
それに俺に頼んでくるぐらいだから、大した魔物じゃないだろ。

『じゃぁお願いねぇ。最初の魔物達は1ヶ月後に、アンタがいる村をめがけて移動を始めるわ。』

「わかった……って、ちょっとマテ、「最初の」ってどういうことだよっ!」

『だって、いきなり1万匹の魔物に押し寄せて来られても困るでしょ?だから調整してあげてるの。感謝しなさいよ。』

「あ、あぁ、ありがと…………?」

『あと、変な集団……多分盗賊たちね。そういうのが4日後にアンタの村を襲うわよ。』

「えっ、それはどういう………。」

俺の言葉に耳を貸さず「頑張ってね~」とだけ言って消え去るロリ女神ちゃん。

「ちょ、ま……って、オイぃぃぃ……。」

気づけば、あたりは見慣れた風景に戻っている。

「ちょっと、カズトさん、どうしたの大声上げて。」

扉を開けて出てきたミィナが、茫然としている俺の様子を見て、抱きかかえるようにして家の中へ誘導してくれた。



「えっと、そのね………そんなに、私とお風呂に入るの、嫌だった?」

俺をソファーに座らせ、自分も横に座ったあと、不安げな表情で、申し訳無さそうに言ってくるミィナ。

その声に、俺は、ハッと我に返る。

そういえばその問題もあったんだよ。でも今はそれどころではない。

「今すぐにでも一緒にお風呂に入りたいっ!でも、それどころじゃなくなったんだよぉぉぉっ!」

「何も泣かなくても……。それで、何があったんですか?」

よしよし、と俺を抱きしめ頭を撫でてくれるミィナ。

ホントいい子だよ。これでエッチさせてくれればなぁ……。

俺は、ミィナに甘やかされながら、女神ちゃんに言われたことを話すのだった。
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