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怒れるドロゴロス
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「ネリーとセイランが、サリラに奪われただと!」
ドロゴロスは横に座っていた若い女の頬をパアン!と腹立ちまぎれに叩いた。
手についたおしろいがねっとりと気持ち悪く、余計にいらいらする。
「王宮にサリラを訴えてやれ!」
「いえ、それが旦那様、最初に旦那様がネリーとセイランと交わした契約書が公開されておりまして」
「それがどうした」
「国の宝にひどい仕打ちだ、と評判になっているのでございますよ」
孤児と結ぶ契約など、あれが普通ではないか。
「孤児院の援助を断つと言ってやれ」
「それが、逆にもう関係しないで欲しい、と言われまして」
「私がいなくてどうするのだ」
「サリラ様が運営することになった、と言われておりますが」
番頭が声をひそめる。
「別に援助者がいるようなのです。サリラ様お気に入りの文官なのですが」
「……気に食わんな」
あの夜アドルとマリベルの陰にいた、茶色の髪の少女を思い出す。
少しかわいいばかりのただの若い女ではないか。
何ができるというのか。
「ふん、少し痛い目に合えば自分の立場が分かるだろう」
ぐふぐふ、と笑った。
「痛い目に合った後で生きているかはわからんがな」
ドロゴロスは横に座っていた若い女の頬をパアン!と腹立ちまぎれに叩いた。
手についたおしろいがねっとりと気持ち悪く、余計にいらいらする。
「王宮にサリラを訴えてやれ!」
「いえ、それが旦那様、最初に旦那様がネリーとセイランと交わした契約書が公開されておりまして」
「それがどうした」
「国の宝にひどい仕打ちだ、と評判になっているのでございますよ」
孤児と結ぶ契約など、あれが普通ではないか。
「孤児院の援助を断つと言ってやれ」
「それが、逆にもう関係しないで欲しい、と言われまして」
「私がいなくてどうするのだ」
「サリラ様が運営することになった、と言われておりますが」
番頭が声をひそめる。
「別に援助者がいるようなのです。サリラ様お気に入りの文官なのですが」
「……気に食わんな」
あの夜アドルとマリベルの陰にいた、茶色の髪の少女を思い出す。
少しかわいいばかりのただの若い女ではないか。
何ができるというのか。
「ふん、少し痛い目に合えば自分の立場が分かるだろう」
ぐふぐふ、と笑った。
「痛い目に合った後で生きているかはわからんがな」
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