91 / 237
第2章 火龍・水龍 編
第92話 【攻略対象 水の精霊王と水龍】ドキドキ共同作業
しおりを挟む「レーナが言うんなら間違いないな! やってみようぜ!」
勢い良く、レーナとエドヴィンの間に赤い頭が割り込んで来た。「おい!」とエドヴィンが声を荒げるが、その肩の上ではプチドラが『ほーらね』と笑う。
「で、どーしたら良いんだっ」
キラキラと瞳を輝かせるアルルクは、レーナの命令を今か今かと待ち構える中型犬さながらだ。
「うん、ギアの模様。ギアは噛み合って動くもので、離れた位置に2つのギアの模様があるのよ。そこにライラの長い爪への進化が絡んでくるはずだから――」
「なるほど! それを離れた位置の孔に、同時に差し込む必要があったってことか!」
今度はエドヴィンが、アルルクを押し出す勢いで肩をぐっと寄せて来る。だが、押し出されて尻餅をついたのはレーナだ。
「もぉ! 2人とも落ち着きなさいよっ!! こっからが重要なんだから。2つのギアを動かすために孔の中を押すか、回すかしなきゃいけないの。両手の爪をあんなに長く進化させたんだから、同時に作動させなきゃいけなかったのよ」
レーナはどこか深刻な面持ちだ。解決策が見付かったというのに。
「けど、その長いモノが無いわ」
それが、喜びきれない理由だった。
けれど、他の面々はキョトンとしつつレーナを見ている。
「え? 細長ーーーいものが無いのよ?」
分かってる? と、再度問い掛けると、アルルクとエドヴィンは、互いに鋭く視線を交わしあってから、レーナに向かってにこりと笑んでみせる。
「オレが いっぱい材料用意したから 削れば良いんじゃね? 削れば何か つくれんじゃねーの?」
アルルクがひょいと持ち上げたのは、彼が破壊した家具の残骸だ。腰に佩いたままの剣をペシペシと叩いてみせる。
「ご先祖様と私の力も合わせれば、防御魔法で硬質に変化させた植物を操って、長いものなら作れるぞ?」
エドヴィンの言葉に、長く踊る根で攻撃を仕掛けて来た精霊姫の姿を思い出したレーナだ。
『森でやるより、威力は落ちるけどね。攻撃じゃなくって、その穴の中を押すようなものなら全然ヨユーよ』
ふふんと得意げに宣言したプチドラの言う通り、彼女はあっさりと髪の一部を細長く蔓状に変化させた。その髪にエドヴィンが手を翳すと、細い物体は強度を増したのか、硬質な輝きを放ち始める。
アルルクも、手近な金属を削って歪だが長い棒を作り出していた。孔に入れるには太すぎるし、強度にも不安があったレーナは、「ちょっと貸して」と受け取ると、素知らぬ顔でコッソリと、堅く細くなるように修繕をかける。
それぞれの自慢の得物を手にしたエドヴィンとアルルクが、扉の左右に分かれて立つ。
「わたしが合図するから、同時に押し込んでくれる?」
声を掛けると、なぜか2人は互いに睨み合っている。だが、レーナが「せーの!」と掛け声をあげれば、2人は意外に息の合うところを見せて、タイミングよくそれぞれの孔へ棒が差し込まれた。
かち
一同が、固唾を呑んで見守る中、微かな音が静まり返った室内にそっと落ちる。
その音と同じく、巨大な物が動いたとは思えないほどの静かさで、両扉が外へ向かって大きく開いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー
コーヒー微糖派
ファンタジー
勇者と魔王の戦いの舞台となっていた、"ルクガイア王国"
その戦いは多くの犠牲を払った激戦の末に勇者達、人類の勝利となった。
そんなところに現れた一人の中年男性。
記憶もなく、魔力もゼロ。
自分の名前も分からないおっさんとその仲間たちが織り成すファンタジー……っぽい物語。
記憶喪失だが、腕っぷしだけは強い中年主人公。同じく魔力ゼロとなってしまった元魔法使い。時々訪れる恋模様。やたらと癖の強い盗賊団を始めとする人々と紡がれる絆。
その先に待っているのは"失われた過去"か、"新たなる未来"か。
◆◆◆
元々は私が昔に自作ゲームのシナリオとして考えていたものを文章に起こしたものです。
小説完全初心者ですが、よろしくお願いします。
※なお、この物語に出てくる格闘用語についてはあくまでフィクションです。
表紙画像は草食動物様に作成していただきました。この場を借りて感謝いたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた
歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。
剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。
それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。
そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー
「ご命令と解釈しました、シン様」
「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」
次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる