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第4章 最高神 編
第165話 【攻略対象 最高神リュザス】バルザックとクラウディオ王子の放つ攻撃魔法
しおりを挟む―― 残念だったね。僕をあんまり待たせるから、こんなに力を付けちゃったじゃない ――
いつかの聖地巡礼で、初めて出会った彼が告げたのと同じ言葉を繰り返す。その視線はピタリとレーナに向けられている。
「どう云う意味だ!?」
クラウディオ王子が怒鳴る背後で、階段を一段飛ばしに蹴る音が高く響く。ちらりと視線をそちらに向けて、黒い青年は妖艶に口角を引き上げた。
―― 意味なんて、彼女を見ればすぐに分かるはずさ。そこの緑の小さいのは勿論分かってるだろうけど。ある程度魔力に秀でた人間でも分かるはずだよ。窓の外の彼たち、それに今来た紫の彼には ――
「 堅牢なる土の牢獄ッ 」
バルザックが姿を現すや否や、両腕を真っ直ぐに黒い青年に向けて魔法を発動させる。
「放てーーーー!!」
レーナらの浮かぶ遥か下。地上からは、国王の隣に立った騎士団長の号令に従い、魔導士と弓矢を番えた騎士らが一斉に攻撃を放つ。
―― こんなもの、力に溢れた今の僕には痛くも痒くもない ――
黒い青年は歌うように言葉を紡ぐと、迫り来る石巌や鋭い光線、そして矢を、腕のひと払いで生じた黒い靄に取り込んで、無力化してしまう。
「何この強キャラ!? 闇堕ちリュザス様なんてことないわよね?」
玲於奈でも見たことのないキャラクターに、レーナが困惑の声を上げる。
『それはないわ! そこに憑いてる最高神さまの力は、キレイな虹の光を保ったままだもの!』
だがすぐさまプチドラが、未だ虹色の輝きを放つ、レーナの髪飾りを指差して否定する。
「だから憑いてるって何ーーー!?」
「レーナ、落ち着け! これまで気付いてなかったレーナが、こんな混乱した場での説明で理解できるとは到底考えられん!!」
真面目に断言するエドヴィンに、さらには彼女らを乗せているアルルクまでもが「みゃうん ききゃっ」と楽し気な声を上げる。どうやらエドヴィンの意見に同意して、一人状況を理解できないレーナを揶揄っているらしい。
「エドもアルルクも、失礼じゃない!?」
非難の声を上げるが、プチドラにまで『だって、レーナったら何から何まで鈍すぎるんだもの』などと心底呆れた言葉を掛けられてしまう。
束の間の弛緩した遣り取りの間も、王女を引き上げた塔の中と地上からは、青年に向けての攻撃が間断なく続いている。お陰で、レーナらは巻き添えを食わない様、塔から距離を取り、エドヴィンの防御魔法を自分たちを護る方へ使わなければならない。
「宝珠を持ち去る悪行を誤魔化すために、自らを宝珠の化身などと宣い、更にはベルファレア王国の王族たる聖女を謀り、生命を脅かした悪辣な魔族め!! この場で成敗してやる!!!」
窓から、一際鬼気迫る怒声が上がった。背後に庇おうとするバルザックを押しのけて、強引に前に出ながら手に攻撃の魔力を溜めるクラウディオ王子だ。宙に浮かぶ面々のどこか緩い空気感とは異なり、切羽詰まった悲壮感が纏いついている。
「王子、危険です!! 下がってください!!」
止めようとするバルザックに、苛立たし気な一瞥を向けたクラウディオ王子は、そのまま集めた力を黒い青年に放つ。
ヒュ
放たれたのは陽の宝珠を奉る王家に相応しい「光」の魔法。だが、魔導士らが放つのよりも幾分弱い輝きの光線は、見た者らの予想通り黒い青年の手の一振りで掻き消されてしまった。
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