独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!

弥生ちえ

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第4章 最高神 編

第186話 【攻略対象 最高神リュザス】ついに第1話へ!

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「ご名答」

 こちらの冷め気味な声のトーンなど気にせず。満足げな微笑を浮かべるのは、虹色の長髪を風一つない空間に揺蕩たゆたわせた美貌の青年だ。整った高い鼻梁と、切れ長で涼やかな目。その瞳はラピスラズリの如く黄金の煌めきをちりばめた藍色で、肌は陶磁器を思わせるきめ細やかさと滑らかさがある。神々しさを増す波打つ白い衣は、胸元を緩く覗かせながら引き締まり整った体躯に沿って足元まで流れ落ち、肩から腕にかけてと、腰に、植物を象った華やかな黄金の装飾具が彩る。

 ――まさしく、彼女の理想を体現した姿だ。

「ようやく、君が待ち望んでいた僕との、真のエンディングに辿り着いたんだよ」

 どう? 感動するでしょ? 嬉しいでしょ? と言わんばかりの得意げな笑顔に、レーナは自分の頭や胸のどこかが、急速に冷えていく感覚をおぼえる。

(ありえない。いろいろと)

 ここまでの長い間、レーナは羽角はずみ 玲緒奈れおなだった頃からまだ見ぬ青年を渇望し、惜しみない愛情と敬意を抱いていたはずだった。なのに、青年の言葉を聞けば聞くほど、動く姿を見れば見るほど―――積年の想い人に会えて微笑が浮かぶはずの自分の顔から、すとんと表情が抜け落ちるのを感じていた。

風貌ビジュが好きすぎて中身のことなんて、考えてなかったけど……化身たちはリュザス様かれの分身ともいえる存在だから、性格だってオリジナルを引き継いでいるのよね。姿は確かにリュザス様よ!? 勝手にいっぱい紳士だったり、嫋やかだったりする仕草や動きを想像もしたわよ。えぇ、わたしが勝手にしただけよ。けどっ……、けどさ、こうっ――)

 まさしくありえない事態だった。愕然として、薄く開かれたレーナの唇から、かすれた声が漏れ出る。

「―――が……わ」

「え? なに」

 ふいに気配を変えた少女の反応に、若干の訝しみを感じつつも、リュザスは呟かれる言葉は好意的なものだと信じて、笑顔で顔を傾げる。

「ちが……の」

 愕然とした表情で、リュザスにようやく目の焦点を合わせたレーナは、微かに首を振る。

「んん? 感動のあまり声が出ないのは解るけど」

 流石に、レーナの様子が尋常でないことに気付いたのだろう。美貌の青年はようやく眉をひそめて、一歩、少女に向かって踏み出せば、彼女は弾かれた様に同じだけ跳び退った。

 さらに、拒絶を示すように――いや、事実拒絶の意図を込めて、真っ直ぐに両手を突き出す。

「違うのよ! なんか違うわ! 自由にわたしに話しかけるのなんて聞きたくなかった! 髪の毛をかき上げるところなんて見たくなかった! 瞬きするのなんて見たくなかった! 綺麗な歯並びだけど、あえてそんな人間っぽいところなんて見たくなかったぁぁ! これってアレよね、蛙化って言うの? 敢えて会いたくなかったわぁぁ―――――!!!」

「はあぁぁあ!?」

 虚無の空間に、最高神リュザスとレーナの絶叫が響いた。

 外側は希求して止まない推しそのもののリュザス。だが、同じく実在する攻略対象らがゲーム以上の親しみ溢れる存在感を発揮するのと反対に、この短時間に垣間見た推しリュザスの推せない中身に、大きすぎる拒絶感が沸き上がったレーナだった。
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