独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!

弥生ちえ

文字の大きさ
237 / 237
第4章 最高神 編

第239話 【攻略対象 平凡村娘】独占欲強めの最高神は、モブ村娘からの一途な愛をお望みです!

しおりを挟む




 世界を守る最高神が男女一対で現わされるようになったのは、遥か千年の後だった。






 慈悲深い笑みで人々の幸せを願い、胸の前で両手を組んで祈りを捧げる黒髪の女神と、その背後で両腕を開き、いかなる障害をも許さぬ厳しい面持ちで睥睨する虹色髪の男神の姿――それこそが、ダンテフォールの最高神の姿となった。

 更には、彼らと特徴を同じくする男女の旅人が、様々な時代、世界各所で目撃されるようになった。



 今も残るベルファレア王国――そこから遥か遠く、幾つもの国を超えた先の山奥で、小さな村から出立したばかりの男女が何事かを揉めている。

「リュザス! 何で、あんな小さな男の子を威嚇すんのよっ! 怪我を治してあげたお礼にって、野原の花を摘んで渡してくれただけでしょ!?」

「はぁ!? レーナだって迂闊だよ! 子供なんていっても、あれはレーナを想う男の顔をしてた。良い? あれは10年と経たずにレーナを奪おうとする男になるんだ!」

「なんの心配よ!」

「だってぇ!」

 すっかり女性の尻に曳かれたこの男女を、件の最高神と同一視するものは居ない。







 エドヴィンと過ごした人としての数十年、リュザスは静かに姿を隠し、アルルクはそれまでと同じく穏やかに笑って二人を見守った。

 アルルクとファルークは、時に反発し合いながらも永い刻を共に過ごした。焦れた火龍が無理強いをすることもあったが、勇者の加護を持つアルルクが全力をもってこれを阻止し、仕舞いには均衡する実力を手に入れて、互いの意見を尊重し合う関係になれたようだった。共に誰かと長い月日を過ごすには、対等であることが肝要だと思わせられる一柱と一人だった。

 そしてレーナの夫として、シュルベルツ領を治めたエドヴィンがこの世を去り、再びレーナの前に姿を表したのがリュザスだ。

「待ってた。レーナはいつだって全力で、だからこそ不器用だって分かってるから」

 ただの人間より長命だったエドヴィンとアルルクだが、大気の宝珠オーブをその身に宿したレーナを遺し相次いで旅立った後のことだった。

「二人の魂にも会ったよ、レーナをよろしくって。けど、きっと生まれ変わって、またレーナを迎えに行くって。それまで預けるだけだってさ。最高神相手に、ホント思い通りにならない、生意気で、面白いやつらだよね」

「うん」

「僕は二人が生まれ変わっても、ちゃんと認められるように、いっぱいレーナに愛を伝えて、頑張んなきゃね」

「ふふっ、充分頑張ってるよ」

 エンディング後のダンテフォールは、ようやく世界を見守る身近な存在を思い出した人間たちが真摯に祈り始めたことで、宝珠オーブの力が戻り、天地は安寧を取り戻した。
 当初は各国に神託を与え、救い、己の存在を示していたリュザスだったが、10年を過ぎたころからは、地上への加護はそのままに、人々へは姿を見せなくなっていた。

 リュザスは、レーナだけを助け、愛を乞うのではなく、彼女が大切に思う人の世ごと慈しみ続けることを選び、見守っていたのだ。

「ねぇ。リュザス、あなたが愛情いっぱいに育んだこの世界を、たくさん見て回りたいんだけど、一緒に来てくれる?」

「もちろん。レーナの我儘はいつだって歓迎だって言ったでしょ?」

 言ってから、最高神はふいに悪戯を思い付いたようにニヤリと笑って、レーナの鼻先に人差し指を突き付ける。

「そうそう、ひとつだけ訂正しておくね。僕の愛情はレーナにだけ向いてるんだよ。この世界を僕が育んでいるとすれば、それはレーナがこの世界を愛してくれているからそうなってるだけさ」







 そして二柱は旅立った。

「出発するわよーーー! 早く追い来ないと、おいてっちゃうから」

「やだ、これ以上待ちたくないっ! 僕も行くからぁ!」



 今日も世界ダンテフォールのどこかでは、仲睦まじい二人の声が響く。










 第4章 最高神 編 《最終章》
 独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです! ― 完 ―



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。 自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。 魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。 しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。 前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。 「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

処理中です...