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第四章 女神降臨編
まさか王様に知られてるなんて!王子との親子の会話、ちゃんとあったのね‥‥。
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「天の川は、既に伝承で伝えられる、最終段階の強さの光を取り戻してしまった。あとは無数の月の忌子が降り注ぐのを待つだけとなっておる。」
扉と、大きな黒曜石との中ほどで立ち止まったデウスエクス国王が、わたしたちを振り返る。
「歴史上繰り返されたように、天の川に呼応するように地上での魔力の凝りの増大と、魔物の発生と動きの活発化が進むはずだ。王弟らはその制圧に各地へと散っている。イシケナルが手を焼いている樹海の魔物に関しても、一連の流れでしかないだろう。返答を聞くまでもなく、既に巻き込まれている訳なのだが、まぁ、公爵家に連なる者ゆえ、分かっているだろう。」
樹海の魔物はムルキャンの生体実験のせいでおかしな事になってるから、そのせいで大変なんじゃないかなぁーとか思ったけど、まぁそれはわざわざ言うことではないわね。ただの巫女はそんなこと知らないはずだし。それよりも、さっき無数の月の忌子とか言われなかった!?
「あの、そんな話は初めて聞く気がするんですけど‥‥。それって一般に公表されているお話しですか?」
恐る恐る質問してみる。神話への無知からの身バレを恐れたんじゃなくて、沢山見て来たはずのどの資料にもそんな怖い事態になることは記されていなかったから。
今のわたしは学園の課題で神話を色々調べたおかげで、これまでお伽話のお姫様だからと侮って全く知りもしなかった事が嘘みたいに、とっても詳しくなっている。それこそ巫女を語れる程度には!
「たった1体の月の忌子が暴れたにしては、神話で語られる被害が大きすぎると思ったことはないかな?いくつもの村や町がごく短期間で滅ぼされ、それもどこかに偏った場所ではなく国内各所に散らばっている。そして、月の忌子は超常的な生き物ではなく、君が見た通りの、ただのワイバーンだ。手強いが、あれ単体ならば簡単に国が滅ぼされることは無いであろう?」
「確かに。」
「破廉恥娘‥‥そんなことまでやっていたのか。」
ゼウスエクス王の説明にうんうんと納得して頷いていると、ミワロマイレがしれっと破廉恥娘呼びをぶっこんでくれた。
「だっ‥‥大神殿主、様ぁ!?なんでそんな呼び方をなさるんですの!?」
「今更じゃあないか、国王陛下はもうお前が誰か分かっていらっしゃるよ。」
「えぇ!?」
「継承者候補の直答は認めておる。気にするな。」
国王がにやりと笑って見せる。あぁ‥‥間違いなく三兄弟だよ。油断ならないところが一緒だわ。
「先程の話の続きだが、私はこの国も自分も助かるつもりで足掻いてみることにしたよ。その為には、継承者の力は勿論、あらゆる力を借りて最善を尽くそうと思っている。その為に、まずは月の忌子をはじめとした女神の危機において王家のみが当たってきた責務について知ってもらおう――」
「お断りします!!」
若干食い気味に逃げの言葉を叫んだわたしに、ミワロマイレは呆れ顔を向けて来るし、王様は笑みを浮かべたまま変化のない表情だ。怒ってもいないし、楽しんでもいないのが分かる笑いだけに怖い。けど、ここで怯めないわ!そんな非公表の王家の責務なんてやばげなもの聞いたら色々後に引けなくなる気がするもの!
「残念ながら既に君はアポロニウスの使った魔法を見ているし、この場所まで来てしまったから無かったことにするには手遅れだな。折角のあいつの気遣いを、黙って静かに受け取っておけば良かったものを、自ら踏み込んで来てしまったからな。神器の継承者候補バンブリア男爵令嬢。」
がっつりバレてる!!それに、王子の使った魔法なんて‥‥見たわよ、ばっちり!ワイバーンの障壁とか、ハディスが纏った魔力の着ぐるみを消しちゃったあれの事よね!?まさか王様に知られてるなんて!王子との親子の会話、ちゃんとあったのね‥‥。とにかく逃げ出せない事だけは理解したわよぉ。
「我がフージュ王国の開祖の2人、帝とかぐや姫は、魔物に支配された大地の平定のために地上に凝る黒い魔力を月に送り閉じ込めた。地上の起点となったのがここだ。そして、今もまだ機能している。」
デウスエクス王が先頭に立って黒曜石に近付いて行く。わたしとミワロマイレも静かにその後に続く。
名前まで知られているんじゃあ逃げようがないし、そう割り切ったらちょっとだけ観光気分が顔を出して、実存していた神話に語られる遺構が見たくなったんだもの。画面越しの推しアイドルに会いに行くみたいなワクワク感があるからね!
円形に仕切られた草原の様な空間、その中央にあるひと際大きな黒曜石の前に辿り着いた国王は、その石に恭しく両手を押し当てた。
扉と、大きな黒曜石との中ほどで立ち止まったデウスエクス国王が、わたしたちを振り返る。
「歴史上繰り返されたように、天の川に呼応するように地上での魔力の凝りの増大と、魔物の発生と動きの活発化が進むはずだ。王弟らはその制圧に各地へと散っている。イシケナルが手を焼いている樹海の魔物に関しても、一連の流れでしかないだろう。返答を聞くまでもなく、既に巻き込まれている訳なのだが、まぁ、公爵家に連なる者ゆえ、分かっているだろう。」
樹海の魔物はムルキャンの生体実験のせいでおかしな事になってるから、そのせいで大変なんじゃないかなぁーとか思ったけど、まぁそれはわざわざ言うことではないわね。ただの巫女はそんなこと知らないはずだし。それよりも、さっき無数の月の忌子とか言われなかった!?
「あの、そんな話は初めて聞く気がするんですけど‥‥。それって一般に公表されているお話しですか?」
恐る恐る質問してみる。神話への無知からの身バレを恐れたんじゃなくて、沢山見て来たはずのどの資料にもそんな怖い事態になることは記されていなかったから。
今のわたしは学園の課題で神話を色々調べたおかげで、これまでお伽話のお姫様だからと侮って全く知りもしなかった事が嘘みたいに、とっても詳しくなっている。それこそ巫女を語れる程度には!
「たった1体の月の忌子が暴れたにしては、神話で語られる被害が大きすぎると思ったことはないかな?いくつもの村や町がごく短期間で滅ぼされ、それもどこかに偏った場所ではなく国内各所に散らばっている。そして、月の忌子は超常的な生き物ではなく、君が見た通りの、ただのワイバーンだ。手強いが、あれ単体ならば簡単に国が滅ぼされることは無いであろう?」
「確かに。」
「破廉恥娘‥‥そんなことまでやっていたのか。」
ゼウスエクス王の説明にうんうんと納得して頷いていると、ミワロマイレがしれっと破廉恥娘呼びをぶっこんでくれた。
「だっ‥‥大神殿主、様ぁ!?なんでそんな呼び方をなさるんですの!?」
「今更じゃあないか、国王陛下はもうお前が誰か分かっていらっしゃるよ。」
「えぇ!?」
「継承者候補の直答は認めておる。気にするな。」
国王がにやりと笑って見せる。あぁ‥‥間違いなく三兄弟だよ。油断ならないところが一緒だわ。
「先程の話の続きだが、私はこの国も自分も助かるつもりで足掻いてみることにしたよ。その為には、継承者の力は勿論、あらゆる力を借りて最善を尽くそうと思っている。その為に、まずは月の忌子をはじめとした女神の危機において王家のみが当たってきた責務について知ってもらおう――」
「お断りします!!」
若干食い気味に逃げの言葉を叫んだわたしに、ミワロマイレは呆れ顔を向けて来るし、王様は笑みを浮かべたまま変化のない表情だ。怒ってもいないし、楽しんでもいないのが分かる笑いだけに怖い。けど、ここで怯めないわ!そんな非公表の王家の責務なんてやばげなもの聞いたら色々後に引けなくなる気がするもの!
「残念ながら既に君はアポロニウスの使った魔法を見ているし、この場所まで来てしまったから無かったことにするには手遅れだな。折角のあいつの気遣いを、黙って静かに受け取っておけば良かったものを、自ら踏み込んで来てしまったからな。神器の継承者候補バンブリア男爵令嬢。」
がっつりバレてる!!それに、王子の使った魔法なんて‥‥見たわよ、ばっちり!ワイバーンの障壁とか、ハディスが纏った魔力の着ぐるみを消しちゃったあれの事よね!?まさか王様に知られてるなんて!王子との親子の会話、ちゃんとあったのね‥‥。とにかく逃げ出せない事だけは理解したわよぉ。
「我がフージュ王国の開祖の2人、帝とかぐや姫は、魔物に支配された大地の平定のために地上に凝る黒い魔力を月に送り閉じ込めた。地上の起点となったのがここだ。そして、今もまだ機能している。」
デウスエクス王が先頭に立って黒曜石に近付いて行く。わたしとミワロマイレも静かにその後に続く。
名前まで知られているんじゃあ逃げようがないし、そう割り切ったらちょっとだけ観光気分が顔を出して、実存していた神話に語られる遺構が見たくなったんだもの。画面越しの推しアイドルに会いに行くみたいなワクワク感があるからね!
円形に仕切られた草原の様な空間、その中央にあるひと際大きな黒曜石の前に辿り着いた国王は、その石に恭しく両手を押し当てた。
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