【完結】女神が『かぐや姫』なんて! ~ 愛され令嬢は実利主義!理想の婿を追い求めたら、王国の救世主になりました~

弥生ちえ

文字の大きさ
285 / 385
第四章 女神降臨編

いや、分かる気もするけど敢えて分からない・と自分に言い聞かせる。

しおりを挟む
 医師でも何でもないわたしに、ギリムやアポロニウス王子は何を期待しているのか‥‥。

「一度国王を視て欲しい。出来ればオルフェンズ殿も一緒に。」

 その言葉に引っ掛かりと云うか、興味を覚えてしまった。
 わたしとしては数日前に脱出した王城に戻るのは、物凄く気が進まないのでお断りしたいんだけど、オルフェンズの同行を求められるって云うのはひょっとしなくてもそう云う事よね?




 日を改めて、まだ朝早い時間のうちに万全の準備を整えたわたしたちはギリムに伴われて王城を訪れた。門番が見知ったギリムに向ける視線とは異なる、怪訝な目を向けられて怯みそうになるも、グッと堪えて愛想良くニッコリ笑顔を向ける。

 ――そう、こんな時のための万全の準備よ。誰にも疑われず、尚且つ好感度の高さで多少の怪しさも押し切ることの出来る格好をすること!

「お疲れ様です!僕たち見習いでマイアロフ神殿司のお仕事をお手伝いするために同行しました。」

 元気良くペコリとお辞儀をしたわたしの隣に並んだヘリオスが、小声で「ちょっと!」と言いながら肘でわき腹を突いてくる。ちなみに、今日のわたしとヘリオスは双子かわいい神官見習いがコンセプトだ。服装は神職の制服ローブがあるからアレンジは出来ないけれど、好感度アップを狙って可愛い双子少年を演出するためにお揃いで髪を後頭部の高い位置でまとめてお団子にしている。ヘリオスは一つ団子で、それよりも髪の長いわたしは左右で分けた二つ団子だ。
 こんなのは、ビクビクせずに堂々としていた方が疑われないのに、何を怖がっているのかしらね。

「済まない。まだまだ見習いに入りたての者達なのだが、神殿の業務も多忙になるばかりでな。ほんの僅かでも見込みのあるものを育てるのが急務なのだ。」

 ギリムがわたしの前に立って門番の視界を遮り、ヘリオスも揃ってわたしを後ろに下げる様に肩を前に割り込ませて来る。なんで腫れもの扱いなのかは分からないけど門番はその説明で納得したらしく、揃って入城を許された。
 門番たちの視線を感じてちらりと振り返ってみれば、彼らが見ていたのはわたしやヘリオスではなく、麗しい巫女姿となったオルフェンズの方だった‥‥。

「何か?」
「ううん、何でもない。何でもないけど、なんかこう‥‥何とも言えない敗北感よ。」

 薄い笑みを浮かべて小首をかしげた儚げな巫女姿の美女オルフェンズを見て項垂れたわたしに、ヘリオスとギリムが送ってきた視線が気の毒なものを見るものだったのにも、少し落ち込んだわ。




 アポロニウス王子の私室に通されたわたしたちは、その場に宰相令息のロザリオン・レミングスまでが居たことに若干驚きつつ、柔らかなソファに腰かけて王子の話を聞いている。

「むっ‥‥無理を言ってしまったようだな。」

 久しぶりに顔を合わせたアポロニウス王子までが、何故かオルフェンズとわたしの間に交互に視線を走らせながら謝罪じみた言葉を口にするのはどう云う事か‥‥。思わず胡乱な目を向けそうになったわたしにヘリオスが「自業自得ですよ。これに懲りたら悪乗りは程々に。」などと小声で注意してくる。
 全く意味は分からないけど‥‥いや、分かる気もするけど敢えて分からない・と自分に言い聞かせる。

 国王の普段の姿なんてわたしは全く分からないけど、王子の話によれば未だ体調が優れない国王は、殆どの時間を執務室ではなく自室や書斎などでゆったりと過ごしているらしい。ただ、部下へ必要な指示を行うことは出来ており、その内容の的確さなども全く問題ないことは宰相令息であるロザリオンが父親へ確認済みの様だ。それだけ聞けば病み上がりの身としては何ら問題無いように思える。

「父上の主治医は問題無いと言う。宰相も問題なく執務をこなしていると言う。だが、どこか余所余所しいと云うか‥‥特に母上に対しての態度に違和感を感じてしまうのだ。」
「それって―――家族以外が踏み込んだらダメな事なんじゃないで・」
「お姉さま!?」

 強めな声を被せてきたヘリオスと、わたしにアポロニウス王子が苦笑を向ける。

「そんな話ではないのだ。叔父上たちにも相談出来たら良かったのだが、父上が目を覚ましたのはお2人が辺境への月の忌子ムーンドロップ対策に戻られた後だったからな。私では遠方の叔父上たちに簡単に連絡を取ることも出来んし、事が事だけにあまりあちこちに診させる訳にもいかん。」
「王子の思い悩むご様子に気付いた俺たち側近候補が、バンブリア嬢に声を掛けることを進言した。そして、オルフェンズ殿にも来ていただくことは王子のご希望だ。」

 なんだか色々と期待されているみたい。オルフェンズは分かるけど、わたしは余計なことをしちゃいそうな予感がするわ。ヘリオスの「なんでそんな重要なことをお姉さまに?!」って言わんばかりの困惑した視線が、わたしと同意な事を物語ってるしね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

『まて』をやめました【完結】

かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。 朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。 時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの? 超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌! 恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。 貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。 だから、もう縋って来ないでね。 本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます ※小説になろうさんにも、別名で載せています

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜

恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。 だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。 自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。 しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で…… ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています ※完結まで毎日投稿します

婚約破棄された千年転生令嬢は、名も居場所も縛られずに生きると決めました ――助けを乞うなら条件付きですわあ

ふわふわ
恋愛
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放。 ――はいはい、またその流れですわね。 貴族令嬢シェリア・ド・ラファルジュは、ある日突然、王太子から一方的に婚約を破棄され、平民出身の“聖女”リリカを選ばれる。 しかし彼女は嘆かない。なぜならシェリアは、千年分の転生の記憶を持つ存在だったから。 魔法、剣技、治癒術。 過去の人生で極めた力をすべて備えた彼女にとって、追放は「面倒事から解放されただけ」の出来事だった。 隣国ガルディア王国で“名も名乗らぬ旅人”として静かに暮らし始めたシェリア。 誰にも縛られず、期待も背負わず、助けるかどうかは自分で選ぶ―― そんな自由な日々を送っていた彼女のもとへ、やがて崩壊寸前となった祖国から「助けてほしい」という声が届く。 けれど、彼女はもう無償では救わない。 「私はもう、あの国の国民ではありません」 「条件を飲むなら向かいましょう。国民に罪はありませんから」 謝罪、対価、そして国を変える覚悟。 すべてを差し出した時、初めてシェリアは手を差し伸べる。 これは、 聖女でも英雄でもなく、 “選ぶ側”として生きることを決めた令嬢の物語。 婚約破棄ざまぁのその先で、 彼女は今日も、自分の居場所を選び続ける。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

処理中です...