歌君

オウガ

文字の大きさ
上 下
1 / 3

始まりの声

しおりを挟む
とある国の教会には天使の歌声と言われるほどの声を持つ少年が住んでいた。
少年は孤児で教会のシスターや参拝者の人達を家族のように接していた。

少年の歌声は全国から聞きに来る人がいるほどで、その歌声と少年の無邪気な笑顔にときめかぬ者はいないだろう。
しかし、平和は日々は長くは続かなかった。
少年の歌声を気に入り養子に迎えたいと言ってくる大人が沢山現れたが、少年は孤児院を離れるつもりはないです。といつも断っていたのだが、その男はしつこかった。
少年が手に入らないとわかると様々な手を使って教会と孤児院の経営を苦しめたのだ。

だが、追い込む者もいれば助ける者もいる、ある音楽関係者がCDデビューをしないかと持ちかけ、少年は孤児院と教会の助けになるならと引き受け少年の歌声は今まで以上に世界に広がっていった。
経営を追い込んだ男は最終手段に出た。
少年を誘拐したのだ!


警察はすぐさまその男を怪しんだが証拠は何も出ず、アリバイもあり逮捕する事は出来ず、少年からは何も聞くことは出来ない。
何故なら少年の喉は切り裂かれ声帯を奪われていた………














数年が経ち事件は未解決のまま人々から忘れ去られていた。
少年はCDデビューを持つかけた人の養子となり異国の地で暮らしていたが、そこではイジメやその容姿から再び誘拐されそうになり、少年の心は限界に来ていた。

少年は高層ビルの屋上から飛び降り死亡した。
書き残された手紙には、少年が誘拐された時の犯人の名前と喋れば殺すと脅されていた事、定期的に送られていた少年の誘拐されていた時のレイプ写真が置かれていた。

それらの証拠を元に再捜査、犯人逮捕、天使の歌声を持つ少年の非業の死が世界を震撼させた。


しおりを挟む

処理中です...