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10章 新しい仲間

9話 仕事の完遂

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 達郎と美代は同じ部屋に寝る。
 達郎には夢のようである。
 しかも布団はくっつけて敷いてある。
 すぐ横で美代が寝ているのである。
 美代が手を伸ばして達郎の手を握る。
 達郎は美代を見ると彼女と目が合う。
 美代は仮面を外している。
 うん、かわいい。
 達郎は精神力を振り絞って自制する。
 美代は達郎に言う
 「初仕事、うまくいきましたね。」
 「まだ、仕事は終わっていないよ。」
 「そうですね、達郎様とならきっとうまくいきます。」
美代は断言する。
 彼女はそのまま眠ってしまう。
 達郎の目の前には、かわいい寝顔がある。
 キスしてみたいと思うが、我慢する。
 達郎は寝られそうにない。
 翌朝、豪華な朝食が用意されている。
 村長が言う
 「村を救っていただいて、ありがとうございます。」
 「まだです。青鬼はどこから来ますか。」
 「南の山からです。」
 「今日は、南の山に行きます。」
 「あの山は、一つ目も出ます。危険ですよ。」
 「残りの青鬼を狩る必要があります。また、青鬼に襲われるかもしれません。」
 「分かりました。お願いします。」
達郎と美代は朝食を食べ始める。
 また、アーンをしながら2人の空間を作り出す。
 朝食を食べ終わると2人は南の山へ向かう。
 けもの道を通り、山の中に入る。
 しばらく行くと一つ目が2匹木のうろで寝ている。
 美代が柏手を打つと一つ目は血を吐いて倒れる。
 さらに進むと一つ目が歩いてくる。
 達郎は一つ目の両腕を切り落とす。
 一つ目は
 「ぐげー」
と鳴いて仲間を呼ぶ。
 前方から一つ目が10匹走ってくる。
 美代は刀に魔力を乗せて、力の刃を作り、飛ばす。
 力の刃は一つ目を5匹切り殺す。
 達郎も力の刃を作り飛ばして一つ目を1匹殺す。
 達郎は刀に魔力を乗せて刀身を伸ばし、1匹目の一つ目を袈裟切りにして、2匹目の首をはねる。
 美代は一つ目の鋭い爪をかわして腕を切り飛ばし首をはねる。
 2匹目の一つ目は、刀魔力を乗せ刀身を伸ばして心臓を串刺しにする。
 仲間を呼んだ一つ目は、出血のためか息絶えている。
 達郎と美代は、さらに10匹の一つ目を狩る。
 2人は一つ目の姿かなくなったため、山の奥へ進む。
 強い化け物がいると一つ目のような弱い化け物は山のふもとに追いやられるのである。
 達郎たちが進むうちに動物や人間の骨が落ちているのが見える。
 青鬼の住処に入ったのだ。
 達郎は木の根元に青鬼が眠っているのを見つける。
 彼は気配と足音を消して近づき、刀で心臓を刺す。
 青鬼はそのまま息絶える。
 近くにいた青鬼2匹が達郎に気づく。
 2匹は達郎に向かって走ってくる。
 達郎は刀に魔力を乗せて刀身を伸ばす。
 隠れていた美代が飛び出て、力の刃を飛ばし青鬼を1匹切り裂く。
 達郎は前に出て、低い姿勢で青鬼の腕をかわすと胴を切る。
 青鬼は胴を深く切られ倒れる。
 一つ目を23匹、青鬼を3匹狩ったところで、達郎と美代は昼食を食べる。
 弁当は村長が用意してくれた。
 美代は達郎に言う
 「村長さん親切ね。」
 「感謝されているのさ。」
 「仕事に来て、家に上げてもらったの初めてよ。」
 「これまでとは違うからな。」
 「私は達郎様が一緒なら納屋でも構わないわ。」
 「俺は気にするよ。一緒に家に上げてもらうよ。」
 「うん。」
 「後は、残りがいないか探そうか。」
 「夕方までには終わりそうね。」
2人は、化け物が残っていないか、物音を立てながら探す。
 山を一通り見て回るが化け物はいない。
 夕方、村長の家に戻ると村長が出迎える。
 「ご無事でよかったです。」
 「一つ目を23匹と青鬼を3匹狩りました。山を一通り見たが化け物は残っていないです。」
 「そうですか、これで安心できます。」
村長は南の山の狩りの結果に満足する。
 達郎と美代は、村長の家にもう1泊する。
 翌朝、達郎は村長から書簡を預かる。
 2人は、村人に見送られて村を出発する。
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