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13章 チェンジリング

6話 黒いローブを羽織ったもの

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 霧はだんだん濃くなる、沙衣とゆたか、すぐるは霧の中に黒い霊の塊を見つける。祐二と父親には見えていない。
 沙衣は、ペットボトルから水を出すと水の刃を作りだして飛ばし、霊の塊を切りつける。すると霊の塊は霧散する。
 しばらくすると霧が晴れてくる。沙衣たちの前に忽然と黒いローブを羽織ったものが現れる。
 ゆたかとすぐるは驚いて声を出しそうになる。ゆたかは沙衣に合図する。しかし、子供の姿は見えない。
 黒いローブを羽織ったものは祐二と父親には見えていない。父親は霧が晴れても動こうとしない沙衣にしびれを切らし声を出す。
 「霧は晴れたぞ、次はどうするんだ。」
黒いローブを羽織ったものは突然の声に反応して沙衣たちの陣に向かって手をかざす。手から薄い膜でできた球体が出来て、陣に向けて飛ばす。
 球体は陣に触れるとバチッと音が来て破裂するとともに陣が壊れる。ゆたかが父親に言う。
 「今、目の前に黒いローブを羽織ったものがいます。見えませんか。」「私には何も見えないぞ。」
沙衣は、黒いローブを羽織ったものの気配からただの化け物でないことを感じる。
 ローブを羽織っているのはやせ細った老人に見えるか目は血で染めたような赤色をしている。
 沙衣は、みんなに言う。
 「山から逃げるわよ。」「戦わないのですか。」
ゆたかが抗議するが無視される。
 沙衣と祐二は走り出す。それにつられてゆたかとすぐる、父親も後に続く。みんな無事に山の外に出る。黒いローブを羽織ったものは追いかけてこなかった。
 ゆたかが沙衣に聞く。
 「あの黒いローブを羽織ったものは何ですか。」「分からないけど、この世のものではないわ。それにかなり強いわよ。」
黒いローブを羽織ったものが見えていない父親はわけがわからない。
 「さっきからお前たちは何をしているんだ。」「私たちの前に黒いローブを羽織ったものが現れましたがあなたが声を出したので見つかってしまいました。今は逃げてきたところです。」
 「息子はいたのか。」「いませんでした。黒いローブを羽織ったものの行動を見張りたかったのですが・・・」
 「私のせいだというのか。」「見えないのでは仕方ありません。今から助手と2人で行動します。」
その言葉にゆたかとすぐるが反応する。
 「私たちも連れて行ってくれませんか。」「だめです。相手は強力な化け物です。」
 「しかし、私たちは見ることが出来るし、子供の顔も知っています。」「分かりました。命の保証はしませんよ。」
沙衣は、ゆたかとすぐるも連れていくことにする。父親がついて行くと言い張るが、沙衣は拒否する。
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