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16章 スカイライン

5話 決着

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 沙衣は、ロードスターの修理が終わるまで代車のマツダ2に乗ることになる。祐二が沙衣に言う。
 「今度はこの車でレースをやるの。」「この車、オートマよ。別の方法を考えましょ。」
祐二は沙衣の言葉を聞いてホッとする。沙衣はネットに上がっているゴーストカーの映像を検索しながら調べている。
 ゴーストカーにはどんなに速く走っても追いつけた者がいないことが判る。さらに、ゴーストカーは速度の遅い車でも前を走っている。
 また、普通の人にも見えている。祐二に見えないのは特別に霊に鈍感のためだろう。
 そして、沙衣はゴーストカーを捕らえる案が浮かぶ。スカイラインを閉鎖しているのは1週間だけである。彼女はすぐに行動に移る。
 次の日、沙衣と祐二は、展望台の駐車場でマツダ2に乗りゴーストカーが現れるのを待つ。祐二が沙衣に言う。
 「うまくいくといいね。」「うまくいかないと困るわよ。他に案は浮かんでいないのだから。」
午前中は現れず、午後になる。午後1時頃、沙衣の前を赤いアルファロメオスパイダーが通り過ぎる。
 「でたわよ。」「僕には見えないよ。」
沙衣はマツダ2でアルファロメオを追い始める。今回はスピードを出していない。しかし、アルファロメオは前を走っていて走り去るようなことはない。
 マツダ2はアルファロメオを追い続ける。そして、路肩に設置した目印を見つけるとマツダ2は停止する。アルファロメオはカーブに入って行く。
 沙衣と祐二は車から降りると歩いてカーブに入って行く。
 そこには路面に水で陣が張られており、アルファロメオがクモの巣にでも引っかかったように止まっている。沙衣は祐二の右手首を掴む。
 「どうしたの、沙衣。」「腕の力を抜いて。」
祐二は沙衣に腕を掴まれ、心が期待にはずむ。沙衣は祐二の手をアルファロメオの車体に当てる。すると、車はもやのようになり、晴れて消えてしまう。祐二の破魔の力が働いたのだ。
 沙衣が祐二の手を放す。そして言う。
 「仕事、片付いたわ。」「えっ、何。」
祐二は意味が分からない。沙衣は機嫌よさそうに祐二の手を引いて車に戻る。
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