勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

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第1章 バシュラール王国

第24話 バシュラール兵の処分

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 村や町に徴兵された人々が帰って来る。帰りを待つ妻や子供の元へ、恋人の元へ、両親の元へ帰り無事に会えたことを感謝する。彼らは、バシュラール王国が滅亡したことを後に知る。
 バシュラールの王族は王城の地下牢に繋がれる。リースと四天王が王城に入る。リースはロックに言う。
 「お前様、戦争をするのに剣を抜かないなんてどういうことですか。」「兵の動きが遅いから手でのけるだけで通れると思ったんだ。」
 「確かに押し通れましたけど強い者がいたらどうするのですか。」「リース、ごめんよ。これからはちゃんと戦うよ。」
 「分かっていただければいいのです。」
リースはロックを抱きしめる。ロックは幸せを感じる。そして、リースに心配をかけたことを後悔する。フールが何か言いたそうにしているが2人の邪魔はできない。
 グラムがその場の雰囲気を壊すように言う。
 「婿殿、リース様、フールが何か話があるようだぞ、その辺でやめておいたらどうだ。」「我としたことが失礼した。」「ごめん、つい。」
グラムに悪気はない。ただ、鈍感なだけだ。フールが発言する。
 「王族の処罰は後にして、兵の処遇を決めましょう。」「あいつらも腐っている。死刑にしてしまえ。」
中西が意見する。フールが説明するように言う。
 「上のものが腐っていれば、兵たちの質も落ちましょう。ここは団長の処刑だけで他の兵には我々に忠誠を誓わせましょう。」
 「僕は助けられるなら助けたいと思っているよ。」「婿殿が賛成なら決まりでよいですか。」
反対の意見は出てこない。フールは、兵53人を王城前の広場に引っ立てる。広場の前には見物人が集まる。ロックが大声で言う。
 「これから民衆を虐げた兵の処遇を決める。団長を前に引っ立てよ!」
ホブゴブリンが縛られた団長をロックの前に引き出す。ロックが断罪する。
 「兵たちを正しく導く立場にありながら、率先して民衆を虐げた。その罪は重いぞ。」「申し上げます。ゾフィー女王の命で動いただけです。助けてください。」
 「なぜ、女王を諫めなかった。それは重罪だ。」「私は命令しただけで民衆に手を出していない。あんまりだ。」
 「打ち首にする。手を下したい者はいるか。」「私が首をはねます。」
中西が剣を抜いて前に出る。団長は中西の顔を見ると青くなる。
 「お前は、オルドビスの森に追放した召喚者ではないか。」「そうだ、ずっと復讐を願って生きてきたんだ。」
 「謝る。助けてくれ。」「一緒に追放された者たちは死んでしまったよ。死んで詫びてこい。」
中西は剣で一閃すると団長の首が落ちる。ロックが続けて言う。
 「お前たちは本来なら団長を同じ運命だが、チャンスをやろう。」「「「助けてくれ。」」」「「「何でもする。」」」
兵たちは口々に言う。中西が兵の顔を1人1人見ていく、そして指をさして言う。
 「そいつとこいつを前に引き出せ。」「中西、どうした。」
 「俺たちを笑いながら森に捨てたやつだ。」「そうか、好きにしていいぞ。」
 「待ってくれ悪かった。俺たちは仕事をしただけなんだ。」
中西は1人目の兵を剣で上段から切りつける。剣は兵の頭を割り胸まで切り裂く。残った兵が言う。
 「チャンスをくれるんじゃなかったのか。」「だったら逃げてみろ」
中西が言うを兵は縛られたまま走り出すがすぐに転んでしまう。中西はゆっくり兵に近づいていく。兵は恐怖のあまり失禁をして後ずさりする。中西は横に剣を振ると兵の首が落ちる。
 「中西、他にいるか。」「あとは知らない顔だ。」
 「「「殺さないでくれ。」」」「「「役に立つから。」」」
兵たちは口々に助命を願う。ロックが言う。
 「死を恐れる兵は役に立つのか。」「「「戦なら俺たちは死ををそれない。」」」「「「こんな死に方は嫌だ。」」」
 「そうか、バシュラール魔王国に忠誠を誓えるか。」「「「誓う。誓う。」」」
残った50人の兵は忠誠を誓う。ロックは縄をほどいて兵たちを列に加える。そして、兵たちはグラムの管轄になる。兵たちは地獄の基礎体力訓練が待っていることを知らない。
 ロックは解散を告げる。みんな城に戻って行く。ロックも戻ろうとすると見物人の中から声をかける者がいる。
 「勇者ロック様ですね。ディルク・グラッェルと申しまして王都の街の顔役をしています。」「これからのことが心配なのですね。」
 「はい、徴兵などはあるのでしょうか。」「兵の募集はあるかもしれませんが徴兵はしません。」
 「税はどれほど払えばよろしいのでしょうか。」「まだ決めていませんが、皆さんの生活が困らないようにするつもりです。」
 「町は良いのですが、村は徴兵のため、農作物の収穫が遅れてしまったようです。」「食糧難が来るというのですか。」
 「はい、おそらくですが、冬を越すために食料が足りないと思います。」「分かりました。ディルクさんを民衆の代表として話し合いの席に着いてもらいたいと思います。」
 「私がですか。」「はい、民衆との橋渡し役が必要です。僕の言ったことはみんなに広めてください。」
 「分かりました。微力ながら頑張ります。」
ロックたちは民衆の中に協力者を作ることに成功する。ロックたちは城に留まることになる。まだ、王族の処罰とバシュラール魔王国の立ち上げが残っている。
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