勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

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第3章 ヴァルハラ王国侵攻

第10話 ヴァルハラ王国王都前攻防戦

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 ロックたちは、ヴァルハラ王国に気づかれることなく王都まで1日の距離まで近づいたが、とうとう城の索敵の兵に見つかってしまう。
 バシュラール魔王国軍の襲来は、すぐにベンヤミンに伝えられる。ベンヤミンはバシュラール魔王国軍に1日の距離まで誰も気づかなったことに部下を無能とののしる。
 副騎士団長には、直ちに1000の城の兵を率いてバシュラール魔王国軍を討つように命令する。副騎士団長はベンヤミンに上申する。
 1000の兵で出撃すると王都ががら空きになります。王都で籠城戦をした方が良いと思います。」「お前は命令に従っていればよい。我々には神セベクがついているのだぞ。」
 「私が籠城をおすすめしたことを覚えておいてください。」「しつこい。」
1000の兵は王都を追われるように出撃する。副騎士団長は王都から少し離れた丘の上に陣を張る。半日後、ロックたちバシュラール魔王国軍が現れる。
 副騎士団長はバシュラール魔王国軍を見て驚く、人間と魔物の混成部隊に加えて総数が100程度の軍勢なのである。副騎士団長は伏兵を考えた。そこで丘の上で待ち構えることにする。
 カールはオーガとゴブリン部隊を前面に展開して、ディートハルトの部隊は回り込んで側面を攻撃するように指示する。
 副騎士団長は、バシュラール魔王国軍が二手に分かれるところを見て目を疑う。そして、決断する。全軍を魚鱗の陣形にして前方のバシュラール魔王国軍に突撃をかける。
 オーガはヴァルハラ王国軍が前進を始めると走り出して自軍から突出する。オーガは自分の剣・大刃を右手で持つとヴァルハラ王国軍に突入して、大刃を振りまわす。
 大刃は長さ2メートル、重さ25キロの大剣である。敵兵を鎧ごとつぶして跳ね飛ばしていく。オーガの一振りはたとえ剣で受けても剣を折り、兵を砕く暴力の塊である。
 オーガの突入でヴァルハラ王国軍は混乱する。兵たちは避けようにも陣形の中で後ろから押されてかわすこともできない。オーガは敵軍の中に血肉の道を開いていく。
 そこへゴブリン部隊が衝突する。数は50人ほどしかいないが力と剣技で数の差を問題にもせずに押していく。
 副騎士団長は後方にいる兵を200づつの遊撃隊を2つ作って迂回させてバシュラール魔王国軍の本陣を狙う。左側に迂回した遊撃隊がディートハルトの部隊に捕まる。
 45人のマッチョ兵が遊撃隊の兵を切り刻んでいく。マッチョ兵は力だけでなく剣技も優れている。遊撃隊の兵は対抗できずにいる。
 副騎士団長はバシュラール魔王国軍の兵の技量の高さを認める。だが本陣には6人しかいない。遊撃隊が本陣に届けば200の兵でつぶすことが出来ると考える。
 右へ迂回した遊撃隊はロックやカールたちに近づいている。ロックが言う。
 「仕方ないな。僕が相手をしようか。」「お待ちください。婿殿が動かれる必要はありません。私にお任せください。」
炎神パイロウスがロックの前にかしずいて言う。パイロウスが立ち上がり、向かってくる遊撃隊に向き合う。パイロウスは右手を横に振る。
 すると遊撃隊の兵たちが炎を上げて燃え出す。炎は骨まで灰にして消える。ほんの数秒の出来ごとだった。ロックは感心して言う。
 「すごい、さすが炎神だよ。」「ほんの児戯です。」
副騎士団長はバシュラール魔王国軍にかなわないと判断して退却の指示を出そうとするがオーガがすぐ前に迫ってきていた。副騎士団長は、覚悟を決め剣を抜く。
 オーガの大刃が副騎士団長に迫る。副騎士団長はかがんで大刃をかわすとオーガの心臓に向けて突きを繰り出す。しかし、剣は届かなかった。
 オーガの左手が副騎士団長の両腕を掴んでいる。
 「おまえ、遅い。」
オーガは副騎士団長に言うと宙高く放り投げる。副騎士団長は地面にたたきつけられて命を落とす。指揮官を失った軍はバシュラール魔王国軍の敵ではない。1000の兵は全滅する。
 オーガが言う。
 「強い奴はいないのか。」「このままいけば魔族が出てきますから、きっと強いですよ。」
 「そうか楽しみだ。」「勝てるか心配ですが。」
 「俺が負けるというのか。」「はい。」「・・・・・」
オーガはカールを睨みつける。オーガはカールに何か言いたげだがこらえている。カールは無視して軍を進軍させる。
 ベンヤミンは物見の報告から1000の兵が、100程度のバシュラール魔王国軍に全滅させられたことを知る。
 「バシュラールの兵は化け物か。神セベクにお願いせねば。」
ベンヤミンは教会へ急ぐ。バシュラール魔王国軍に対抗できるのは神の使徒しかいないと考える。
 「神セベクよ、バシュラール魔王国軍が攻めてきました。王都の1000の兵は全滅です。」「魔王ロックはいるのか。」
 「はい、勇者たちは負けたようです。一兵卒まで化け物です。どうかお力を貸してください。」「我らが直々に魔王ロックに手を下すとしよう。」
 「おお、神セベク。御身自ら奇跡を起こしていただけるのですね。」「奇跡ではないぞ。我らの勝ちは必然だ。」
ベンヤミンはセベクの言葉に安心する。
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