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第37話 天神様2

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 翌日、たける、鈴鹿とカメラマンは岬町へ行く。
 まずは天神様に行く、すると騒ぎが起きている。
 たけるが聞き込むとテレビ局のカメラマンが境内から姿を消して連絡が着かないらしい。
 彼は美鈴が事態が進行中と言っていたのを思い出す。
 彼は境内を見渡すが何も見つからない
 「鈴鹿、何かあるか。」
鈴鹿に聞くが彼女も
 「何もないわ。」
と言う。
 3人は町を歩いてみる、鬼神様の時のこともあり3人をマークするマスコミが数人ついて来る。
 たけるは町の人に聞き込みをするが何も情報はない。
 彼は氏子総代に会おうとしたが留守である。
 当日は何も情報を得られずに終わる。
 ホテルに泊まろうとしたがマスコミ関係者で部屋が埋まっており、隣町のビジネスホテルに泊まることにする。
 2日目、また1人マスコミ関係者が姿を消す。
 これで子供を入れて6人が行方不明と言うことになる。
 たけるたち3人はこの日も天神様の境内を見てから町を周る。
 そして、氏子総代の所を訪れるが留守である。
 この日3人はホテルに泊まらない。
 天神様の社に身を潜めて境内の様子をうかがう。
 深夜、若者と老人が天神様を訪れる。
 たけるの血が騒ぐ早く刀を出して、その刀に鬼の血を与えろと・・・
 彼は鈴鹿に言う
 「あれは間違いないな。」
 「ええ、鬼気を隠しきれていないわ。」
彼女は答える。
 たけるは心に呪われた鬼切りの刀の名をつぶやく
 「来い、羽左衛門ノ贄ノ夜叉」
虚空から護符に包まれた鞘に収まった刀が虚空から浮かびあがる。
 彼は刀を手に取ると電気が走るようにしびれるが、構わず鞘から抜きはらう。
 すると彼の心は鬼への憎しみで満たされる。
 鈴鹿も虚空から大通連を抜き出す。
 2人は境内に飛び出る。
 若者は驚き
 「何なんだ。」
と言いながら刀を持っていることに気づき青くなる。
 老人は全てを理解しているように逃げ出そうとする。
 それを鈴鹿が神速で回り込み阻止する。
 たけるは言う
 「人間にばけているとはな。」
若者は
 「あんた何言っているんだ、あの人は氏子総代だぞ。」
 「そうか、道理で会えない訳だ。」
たけるが言うと若者がたけるの前に立ちはだかる
 「どけ、鬼をかばう気か。」
若者の手足は震えている。
 たけるは若者を突き飛ばし、老人に切りかかる。
 しかし老人は素早い身のこなしで刀を避ける。
 そして体が肥大化してゆく着ている服が裂けこぶだらけの肉体が出てくる。
 頭には2本の角が生え、爪は鋭く伸びている。
 鬼はたけるに向かって右腕を振り下ろすが右肩から切り離され、右腕は転がる。
 たけるは鬼が右腕を振り上げた瞬間に切っていたのである。
 次に鬼は後ろに飛んでたけるから距離を取ろうとするが上半身と下半身が分かれて内臓をぶちまける。
 切り口からは体液が吸われるように干からびていき、激痛を伴う
 「ぎゃああー」
鬼は叫び声をあげる。
 たけるは腕を切った後、胴を横に薙ぎ払っていたのである。
 それは鬼の目にも見えない速さである。
 鬼は干からびていきミイラのようになる。
 たけるは呼吸を整え、刀を鞘に収める。
 すると刀は虚空へと沈んでいく。
 いまだ、たけるの心の中は鬼への憎しみで満たされている。
 彼は憎しみの沼の中でもがく、そして沼から這い上がる。
 彼の足元では若者が腰を抜かしている。
 たけるは相談者の家に報告に行くことにする。
 朝になり彼は相談者と面談する
 「昨夜、天神様で鬼を切りました。」
 「鬼ですか。」
 「はい、氏子総代に化けていました。」
 「かたきは取ってくれたんですね。」
相談者は泣き出す。
 もう、たけるにできることはない。
 たけるの鬼退治の映像は公開され、行方不明事件は鬼のせいとされる。

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