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第86話 美鈴の策略

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 上条村と下条村に隣接する中条なかじょう市は、人口10万人の街になっている。
 中条市でも、ひときわ大きな家に紅葉は潜伏している。
 すでに家主もその家族もいなくなっている。
 家の中は、紅葉が上条村からさらってきた若い男が働いている。
 男たちは、紅葉の血を飲まされ、下僕となり、人間離れした身体能力を持っている。
 男たちは週に1人若い女性を攫ってきて紅葉への供物としている。
 紅葉は戦力を揃えたが、あの逢神たけると鈴鹿を相手にするには、男たちは弱すぎると考えている。
 こうして、紅葉は2人に復讐を誓ったのだが攻めあぐねている。
 彼女は、テレビを何気なく見る。
 人間のことには興味のない紅葉はテレビを見ないのだが、今回はたまたますることもなくスイッチを入れたのである。
 そこには、特番をやっている。
 レポーターが影に引きずり込まれる事件があったようだ。
 紅葉の目は、テレビの登場人物に目を見開く。
 逢神たけるが出ている。
 紅葉はテレビを切ろうとしたが思いとどまる。
 テレビを見て何か攻略法はないかと思ったのだ。
 そして、場違いな登場人物に目が行く。
 人ではない、神の使いの美鈴である。
 紅葉は男たちに美鈴を調べるように指示する。
 彼女は何とかして美鈴を攫い人質にして、たけるを罠にはめることを考える。
 たけるは鈴鹿と組むと厄介だが、彼1人だけなら何とかなると考える。
 男たちはテレビ局を調べ上げて、たけるが週に1回情報番組のオカルト相談コーナーに生出演をしていることを掴む。
 男たちは、番組を見て、毎週、美鈴がたけると一緒にオカルト相談コーナーに出演していることを確認する。
 彼らは、テレビ局を張り込み、番組が終わって出てきた美鈴の後をつける。
 彼らは、人間離れした身体能力を使い、気づかれないように後をつける。
 しかし、角を回ると男たちは美鈴を見失う。
 男たちは仕方なく紅葉の元へ帰って行く。
 彼らは気づいていない、逆に美鈴につけられて紅葉の居場所を教えてしまったのだ。
 翌週、たけると鈴鹿がオカルト相談コーナーに出演するためにテレビ局に行く。
 いつものように控室に行くと美鈴がすでに来ている。
 美鈴がたけるに言う
 「良い知らせがあるぞ。」
 「何ですか。」
 「紅葉の居場所が分かった。」
 「すごいですね。どこですか。」
 「教えればおぬしらは飛んで行ってしまうからな。」
 「そりゃそうですよ。」
 「奴らを罠にはめるぞ。」
 「奴らとは?」
 「紅葉は男を10人手下に使っている。」
 「そのようなものは敵でないですよ。」
 「奴らは、わしを狙っておる。」
 「人質に取るつもりですね。」
 「おまえもわしが人質になるほど弱いと思っているのか。」
 「そうではありませんが、相手はあの紅葉です。」
 「まあ良い。わしを捕まえに来たところを罠にはめるぞ。」
 「俺と鈴鹿で何とかして見せます。」
 「今回は、わしも加わるから安心せい。」
 「美鈴様戦うのですか。」
 「そうじゃ。天狐の力思い知らせてやる。」
たけるは紅葉が手を出してはいけないものに手を出してしまったと思う。
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