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7話 図書館の幽霊
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九郎とあやめは、食後、コーヒーを飲みながら話をしている。
「社本さん、レポートは終わった。」
「まだ、終わっていないわ。」
「良かったら、図書館で一緒にレポート書かない。」
「図書館て、大学の図書館?」
「そうだけど。」
「あそこ出るそうよ。」
「何が出るの。」
「幽霊よ。」
「怖いの。」
「怖くないわよ。一緒にレポート書きましょ。」
「うん、助かるよ。1人だと集中できなくて。」
「おかしなの。1人で集中するものよ。」
「最近、集中できないんだ。生活が変わったからかな。」
九郎の場合、玉枝が原因なのは言うまでもない。
午後の講義が終わった後、九郎とあやめは図書館へ行く。
図書館は4階建で1階は雑誌が置かれラウンジになっていて、2階から4階は、それぞれの分野の本が備えられている。
2人はレポートに関連した本が2階に置かれているため、2階でレポートを書き始める。
九郎は本棚の通路の奥に長い黒髪で顔を隠した霊がいるのを確認するが、彼は霊が見えないふりをする。
それは、九郎がいつもしていることである。玉枝の時は、驚いて反応してしまったのである。
九郎とあやめは向かい合って座り、レポートを書いている。
玉枝が九郎に言う
「黙っていないで、あやめちゃんに話を振りなさいよ。」
九郎は玉枝に答えず、黙ってレポートに集中する。もっとも、あやめの前で玉枝と話をするわけにはいかない。
しばらくするとあやめが突然立ち上がり、九郎に声をかける
「翼・・・君、よ、よこ・・・」
九郎が顔を上げるとあやめは青い顔をして目を見開いている。
彼は不審に思い、左横を見ると黒い髪で隠された顔があり、髪の間から見開いた血走った目が見える。
突然のことに九郎は肝が冷え後ずさる。通路の奥にいた霊がいつの間にか九郎の横に来ていたのである。
さらにあやめにも見えているらしい。
霊は、青い炎に包まれもがきながら消えていく。玉枝が燐火を使ったのだ。
「九郎ちゃんに手を出そうなんてとんでもないわ。」
玉枝は憤慨している。
九郎は、すぐに落ち着くとあやめに言う
「大丈夫、霊は消えたみたいだよ。」
あやめも落ち着きを取り戻し
「今の翼君がやったの。」
「何のこと。」
「青い炎よ。お祓いしたの。」
「僕じゃないよ。突然、霊が青い炎で燃えだしたんだ。」
九郎は玉枝が霊を退治したことをあやめに言うことはできない。
特に怨霊と同棲して世話を焼かれて、添い寝や混浴しているとなど言ったら軽蔑されるに違いない。
「翼君、お祓いできることを隠しているのね。」
あやめは目を輝かせて言う
「僕はお祓いできないよ。」
「隠さなくてもいいのに。」
「正直に言うけど馬鹿にしない。」
「翼君のことバカにするわけないわ。」
「僕は、霊とか妖怪とかが見えるんだ。」
「それで、お祓いもできるようになったの。」
「見えるだけだよ。お祓いはできないよ。」
「そうなんだ。私の家、神社だから少しそういうことに興味あるの。」
「あまり、良いものではないよ。いつも、見えないふりをしているんだ。」
「大変なんだね。」
あやめには、九郎のしている苦労は理解できないが、大変だと考える。
その後2人はレポートを終わらせる。
九郎はあやめに礼を言う
「ありがとう。おかげでレポートが出来たよ。」
「私は手伝っていないわ。」
「集中できたのは、社本さんのおかげだよ。」
「遅いから帰りましょうか。」
「うん、そうだね。」
2人は一緒に家に帰ることになる。
「社本さん、レポートは終わった。」
「まだ、終わっていないわ。」
「良かったら、図書館で一緒にレポート書かない。」
「図書館て、大学の図書館?」
「そうだけど。」
「あそこ出るそうよ。」
「何が出るの。」
「幽霊よ。」
「怖いの。」
「怖くないわよ。一緒にレポート書きましょ。」
「うん、助かるよ。1人だと集中できなくて。」
「おかしなの。1人で集中するものよ。」
「最近、集中できないんだ。生活が変わったからかな。」
九郎の場合、玉枝が原因なのは言うまでもない。
午後の講義が終わった後、九郎とあやめは図書館へ行く。
図書館は4階建で1階は雑誌が置かれラウンジになっていて、2階から4階は、それぞれの分野の本が備えられている。
2人はレポートに関連した本が2階に置かれているため、2階でレポートを書き始める。
九郎は本棚の通路の奥に長い黒髪で顔を隠した霊がいるのを確認するが、彼は霊が見えないふりをする。
それは、九郎がいつもしていることである。玉枝の時は、驚いて反応してしまったのである。
九郎とあやめは向かい合って座り、レポートを書いている。
玉枝が九郎に言う
「黙っていないで、あやめちゃんに話を振りなさいよ。」
九郎は玉枝に答えず、黙ってレポートに集中する。もっとも、あやめの前で玉枝と話をするわけにはいかない。
しばらくするとあやめが突然立ち上がり、九郎に声をかける
「翼・・・君、よ、よこ・・・」
九郎が顔を上げるとあやめは青い顔をして目を見開いている。
彼は不審に思い、左横を見ると黒い髪で隠された顔があり、髪の間から見開いた血走った目が見える。
突然のことに九郎は肝が冷え後ずさる。通路の奥にいた霊がいつの間にか九郎の横に来ていたのである。
さらにあやめにも見えているらしい。
霊は、青い炎に包まれもがきながら消えていく。玉枝が燐火を使ったのだ。
「九郎ちゃんに手を出そうなんてとんでもないわ。」
玉枝は憤慨している。
九郎は、すぐに落ち着くとあやめに言う
「大丈夫、霊は消えたみたいだよ。」
あやめも落ち着きを取り戻し
「今の翼君がやったの。」
「何のこと。」
「青い炎よ。お祓いしたの。」
「僕じゃないよ。突然、霊が青い炎で燃えだしたんだ。」
九郎は玉枝が霊を退治したことをあやめに言うことはできない。
特に怨霊と同棲して世話を焼かれて、添い寝や混浴しているとなど言ったら軽蔑されるに違いない。
「翼君、お祓いできることを隠しているのね。」
あやめは目を輝かせて言う
「僕はお祓いできないよ。」
「隠さなくてもいいのに。」
「正直に言うけど馬鹿にしない。」
「翼君のことバカにするわけないわ。」
「僕は、霊とか妖怪とかが見えるんだ。」
「それで、お祓いもできるようになったの。」
「見えるだけだよ。お祓いはできないよ。」
「そうなんだ。私の家、神社だから少しそういうことに興味あるの。」
「あまり、良いものではないよ。いつも、見えないふりをしているんだ。」
「大変なんだね。」
あやめには、九郎のしている苦労は理解できないが、大変だと考える。
その後2人はレポートを終わらせる。
九郎はあやめに礼を言う
「ありがとう。おかげでレポートが出来たよ。」
「私は手伝っていないわ。」
「集中できたのは、社本さんのおかげだよ。」
「遅いから帰りましょうか。」
「うん、そうだね。」
2人は一緒に家に帰ることになる。
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