超熱血格闘家がもしスキル0で転移したら

希塔司

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第4話「やりこみしかない、押忍!」

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 以前女神に言われたこと、おれたちにはスキルを付与することはできない。しかしおれたちには成長限界突破できる力を授けてくれた。仮にレベルをひたすらあげたとして、このスザクに勝てるかどうかはわからない。だが今はこれに賭けるしかない。

「スザク、お願いします。どうか1日待ってもらえないでしょうか?」

  おれは土下座をして地面にひたすら頭をつけた。ここは一度退いてレベルを上げていくしかない。

「「「はぁー!!?」」」

  ベラさんも正俊もそしてスザクもこの行動に驚きを隠せなかった。

「何を血迷ったことを、戦う相手に命乞いをするなど恥知らずなことをして何になる?」

「そうだよ!あんた一体何を考えてるわけ!?」

「まぁみんな落ち着いて。
 まずはスザク、お前の望みは強いやつと繰り広げられる死闘だろ?そしておれたちは体術使いだ。つまり強くなれば文字通りお前を殺せる切り札になる存在になるかもだろ?」

「確かにそうだが、我にとってメリットになりえる存在になるのか?」

  これはきた!っと心の中でガッツポーズをした。人一倍努力するのは負けなかったおれだからこそ交渉の余地がある。最初に話した時、もしかしたらと思ったが手応えはやっぱりあった。

「あぁ、もちろん。」

  悪い笑みをすることでスザクの中に眠る渇望を呼び起こす。

「くくく、ふはははは!
 気に入った!いいだろう、時間をやる。それまでに我を倒せるくらい強くなってみせろ。それを条件なら今一度この橋を往復することを許可しよう。」

「マジか!お前いいやつだな!そしたらもう一つ聞きたいんだけど、体術使いが鍛えるにはどんなモンスターなら倒せるんだ?」

「なんだ、そんなことも知らないのか。」

「転移されたばっかだから知らないんだ。」

「ならここから北に2つモンスターの巣がある、ゴブリンとオークの巣だ。そいつらなら体術が効く、そこで鍛えればいいだろう。」

「すまねぇな、やっぱ本当はいいやつだろお前。普通敵にそんなこと教えねぇだろ?」」

「勘違いするな、我は強者との戦いに心を躍らせるのだ。お前が我をたぎらせるのがいけない。次に戦う時は本気で戦いあおうではないか。楽しみにしてるぞ?」

  そう言ってスザクは飛び去り、どこかへ行った。まぁまさかこんなに上手くいくとは思っていなかったけど。

「おいどうすんだよ、3日後までにあいつより強くならなきゃなんないって無理だろ!?」

「そうよ!スザクが今までどれだけの冒険者を倒してきたと思ってるの!?ハッキリ言うけど無駄死にするのがオチよ!」

  確かにベラさんが心配するのはわかっている。スライムすら倒せないおれたちが最強格のスザクを倒すなんて地球に隕石が落下するくらいの天文学的確率だ。だがおれには作戦がある。

「まぁ荷物を届けたら、ベラさんは先に街に戻って報告してほしい。そしてしばらくは洞窟こもりになるからスザクを倒すまで待ってて欲しい。あ、正俊はもちろん一緒だからな?」

「はぁ!?ふざけんなよおれはあんなバケモノと戦わねぇよ!」

「何言ってんだ、おれたちも同じくらい強くなりゃいいだけだろ?ほら、荷物届けたらいくぞ。」

「やめろ!あ、ベラさぁーん!!」

  そうしてベラさんと別れ、おれたちは荷物を届けるために先を急いだ。

「大丈夫なのかなあいつら...」

  ベラさんはおれたちが見えなくなるまで橋口で佇んでいた。



      ーーーーーー

 荷物を渡し、おれたちはゴブリンとオークの巣に向けて歩いていた。その時にスザクはどうしたのかと聞かれ事情を話すと、街の人は倒してくれるならとなんと食糧などの物資をいただいた。本当にありがたいな。

「マジふざけんなよな、あんなやつに一体どうやって戦うんだよ?」

「まぁ落ち着けよ、スザクと戦うとはいってもいつ戦うとまでは決めなかっただろ?」

「まぁ言われてみれば確かにな。」

「考えてみろよ、これはおれたちが強くなるためのチャンスだろ?ここでゴブリンやオークを倒しまくってレベルを上げんだよ!女神も言ってただろ、おれたちは成長限界突破できるようにしたって!」

「なるほど、確かにしばらくこもればどこまで強くなるか...」

「やってみようぜ正俊!」

「おう!」

  そう、スザクは致命的なことを見落としていた。日時をしっかりと決めなかったことだ。待ってろよ、必ずお前を倒せるくらいに強くなってやるからよ。

  そう思いながらまずはゴブリンの巣に向かっていく。ゴブリンとオークどちらが強いかを聞いてまずは弱いゴブリンから殲滅できるようにしようと決めた。

  すると巣に向かう道中にもゴブリンが数体ずつ出現していった。種類も様々でウォリアータイプ、メイジタイプ、タンクタイプなど普通のRPGとは少し違う分類がされている。

「こいつらと戦闘を繰り返してくってことか?」

「あぁ、ひたすら倒してレベルを上げていく。元の世界で流行っていたチート能力が付与されたり突然特殊能力に目覚めたりなんてそんなことありえねぇからな。」

  随分メタいような話だが実際おれたちが付与されてないんだからそうなんだろうな。

「じゃ、いっちょやってやりますか!」

「あぁ!」

  こうしておれたちのレベリングの日々が始まった。

  おれたち2人は胴着の帯を締め直し、気合いを入れ直していく。

「しゃあ!気合いれてー!」

「押忍!!」

「いーち!」

  掛け声と共にまずはゴブリンの懐に入り正拳突きをかます。ウォリアータイプのゴブリンはなんとたった一撃で倒してしまった。

「あれ、なんかクソ弱くね?w」

「スライムとは大違いだな!」

  そう、スライムはあくまで体術が効かない敵だから倒せなかった。ゴブリンは物理攻撃は普通に効くモンスターだからこそやっと実感できた。これならいけると。

「よっしゃ!次だ!」

「にー!」


  続いてタンクタイプのゴブリンに向かって前蹴りを放つがさすがはタンクタイプ、持って入る盾や着ている鎧はなかなかに硬い。だが重量の関係で反撃はできないようだ。

「思うように動けないならどんどんいくぜー!」

  隙を与えないように追撃に次々と肘打ちや回し蹴りなどを放っていく。防戦一方のタンクタイプにトドメの一撃として脇腹に蹴りを放つと腹を抑えて悶えながら倒れていった。

「手応えあり!」

 そして最後にメイジタイプのゴブリンに間合いを詰めようとしたがメイジタイプらしく火や雷の魔法で距離を取りながら攻撃してくるため隙がない。

「おりゃぁー!」

 正俊が近くにある幅2.5mほどの岩を持ち上げてゴブリンに投げつけたことでメイジタイプは岩に潰れて倒された。

「やったぜー!」

 ピロンと音が鳴りながらそう言った。この音はレベルが上がった音だ。

「正俊、レベルが上がったみたいだぜ!やっぱり恩恵があるっぽいな、数匹倒しただけでレベルが上がるな。」

「だな、巣でたくさん倒せばマジで強くなりそうだな!ちなみに何か特技系とかってなんか手に入れた感じか?」

「今確認してみる。」

 そう言いおれはメニューを開くと、修得表という欄が追加され【!】マークで通知がされている。それを開くと、限りなく下に広がる表が表示される。
 各項目ごとに自分のステータスや戦闘中に発揮されるバフ効果など様々な恩恵を得られるようになる。これが成長限界のもう一つのメリットだとは思わなかった。

「なんかこれってやりこみみたいで面白そうだな!もしかしてこれもあの女神から受け取ったものだったり?」

「多分な、まさかジャンルとしてはやり込み系だったのは予想外だったけどおれらには向いてるのかもな。目標立てようぜ、限りないこの表を際限なく解放させようぜ!」

「だな!レベルが上がった時にもらえるポイントを振ると解放だな、5ポイントだから最初のやつを互いに解放できるな!」

 おれたちはレベルアップでもらえたポイントで最初の項目を解放した。互いに解放した能力は違う。おれは闘気、正俊は武気という項目を解放した。

「へー!お互いに違う能力になってんだな。
なになに、武気は...すげぇ!鎧や盾とかの防具を内側から破壊できるって!んでその防具を破壊できるってよ!勝利は?」

「おれはー...拳や蹴りに闘気をのせることで攻撃範囲が広がるみたいだな。」

 互いに最初の項目からものすごい恩恵を受け取れた。明らかに強くなれる実感が得られるなら確かに楽しく鍛えられそうだ。

「よし!この調子で巣に乗り込もうぜ勝利!」

 正俊も楽しくなってきたのか、少年のような無邪気な笑顔をおれに振り撒く。まったくしょうがないやつだな。

「あぁ!」

 そうしておれらは巣に向けて走って向かっていった。
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