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第八章 リルとの別れ……魔王ガルドとの戦い
第257話 魔王ガルドとの闘い⑤
しおりを挟むガルド王はもしかしてまだ助けられる
のか?
俺の中で助けたいと思う気持ちが
膨れ上がる。だけど、それはどうすれば
良いのか分からない。さっきみたいに
もっと大きなダメージを与えるば
元に戻るのか!
しかし考える余裕はそうはくれなかった。
魔王から迸る魔力は凄まじい勢いで
上がっていく。
『ドラゴンイーター』
魔王の魔力が黒い龍に変わり宙を
舞って襲って来た。
筆で描くは黒き龍………『ヤマタノオロチ』
俺はそれを迎え撃つ!
黒き龍と黒き龍がお互いを喰らいあう!
激しい衝突のすえ龍は消滅した。
マズイ……大技は魔力を使い過ぎる。
これ以上は魔力切れの恐れが………
MP∶2800536/20125000
この量だと、あと3回分くらいか
……それなら!
やるしかない!あと一撃!魔王に
叩き込むめれば良い!
『呪詛 神撫手 黒曜線』を叩き込む。
それで奴の魔王の称号を消し、
奪ったスキルや魔王専用のユニークスキル
……全スキルを消してやる!
実際そこまで都合よく行くかは
分からないが、もうそれしかない。
『ブラックフィールド』
無数の墨帯を部屋中に飛ばし張る。
そして俺はその帯を使って飛んだ!
神撫手は接近しなければ効果を発揮
出来ない術、まずは奴に接近しなければ
ならない。
火や氷…雷など様々な属性の攻撃に加え、
影や幻術、空間干渉など、奪った
特殊スキルによる遠距離攻撃を躱さな
ければならなかった。
魔力をあまり消費出来ない中での
接近は困難を極めた。
………と言うか
「無理だーー!こんなのどうすれば
良いんだよ!」
「だから……一人では闘わないでって!」
「ご主人様、私もいます!」
「蒼字(そうじ)くん、私も役に立って
見せる!」
みんなが再び立ち上がり、俺が魔王に
接近する為の手助けをしようと奮起して、
魔王の攻撃を防いでくれた。
みんなありがとう!絶対に魔王を倒して
見せる。
帯を足場に跳ねながら接近、
残り十メートルにまで行き、いけると
思ったその時だった。ゾワリと寒気
がして居た場所を飛び退く。ボオンっと
圧縮した空気が通り抜けた。
魔王を見ると拳を突き出していた。
もしかして………冷や汗が出てくる。
ボオ!ボオ!ボオ!と拳から放たれた
空気の弾丸が俺の耳元を通り過ぎた!
内心ギャーと叫びたい気分だけど、
それどころじゃない!飛び退き躱すので
手一杯だ!
「なに!?」
魔王の攻撃を躱すのに集中し過ぎたのか、
魔王がいつの間にか消えていた。
そして気がついたときには魔王は俺の横に
移動し、鋭い拳が俺の腹部を貫く!
「グハッ!」
凄まじい勢いで吹き飛び地面を転がる。
そこにさらに上から重い蹴りが俺の胸を
圧し潰し地面が衝撃で砕けた。
ダメだ……殺られる………
俺の意識は朦朧として動けない。
魔王が拳を振り上げそれを叩き込もうと
している。もう俺の身体にそれを耐える力は
残っていない。
HP:3500/353000
うぉー死んでたまるかーー!
声には出ていなかったが気合を出し
俺は抗う。
「ガルド……動くな!」
その声が聴こえ、魔王はガクガクと
痙攣するような動きで攻撃を止める。
『竜装体術………
青色の長い髪をなびかせながら
………竜神の怒り…………
その美しい成長した横顔を見せ
…………逆鱗正拳』
俺の為に駆けつけてくれた!
とてつもなく重い拳が魔王の胸を貫く!
ドゴーンと音を出し魔王は地面に足跡を残し
吹き飛ぶが倒れることなく攻撃に耐える。
「蒼字(そうじ)さん助けに来ました!」
振り返るその女性は美しくカッコよく
成長したものだ。こんな非常でも
ついつい見惚れてしまった。
「リル、ありがとう……助かった」
俺はゆっくりと立ち上がり笑顔で返す。
「それで……アストロン逃げろって言ったけど
どうして戻ったんだ!」
苦々しい顔をして、もう一人居た。
「うるさい!黙れ!お前なんかリルの
頼みじゃなかったら助けになんか来る
もんか~」
アストロンはもの凄くイライラしていた。
俺ももっと文句を言ってやろうと
思ったけど、これ以上は面倒ごとになると
思い黙る。
「も~う蒼字(そうじ)さんはいつも
無理ばっかりし過ぎなんですから~」
リルに抱き締められ、胸にむにゅっと
柔らかい感触が当たる。これは俺が
頑張ったご褒美か!そう思い堪能しようと
思ったが、お兄さまが拳を振り上げて
いたので仕方なく離れる。
「まったく苦労して逃がしたのに戻って
来るなんて…………リルらしいかな
……元のリルに戻れたんだな!」
「はい!蒼字(そうじ)さんとみんなの
おかげです!
今からは私も闘います!」
リルは拳を構え闘気(オーラ)を
高めるのだが、さっき闘って分かって
いたはずなのに一瞬腰が引けた。
その膨大な闘気(オーラ)に………
リルは俺以上にレベルが上がっているんだ!
「リル……俺はガルドを救いたい……奴の動きを
止められるか!」
リルは俺の言葉を聞いて驚く。
「蒼字(そうじ)さん…あなたはどこまで
無茶するんですか、そんなこと考えている
余裕……ないですよね?
……本当にあなたは優しい人です。
そして…だからこそ
私はあなたについて行きたいです!」
リルは魔王に向き直す。
「兄さん!私が攻撃してガルド王を
止めます!だから援護をお願いします!」
「あ~分かった!リル……修行した時のことを
思い出せ相手の動きをすべて見るには目だけ
ではダメだ!
五感のすべてを研ぎ澄ませ!」
「分かった!兄さん行来ます!」
『竜走踏破』
リルの足にグッーと力が加わり
爆発的な勢いでガルド王に向かって
飛んでいき拳を振り上げた。
「うりゃー!」
ガルド王は竜装を纏い腕を交差させ
受け止める。しかしそんなことは
お構いなしとガルド王は呆気なく
吹き飛んで行き壁に叩きつけられめり込む。
リルが追撃を試みようと再び足に力を
入れた時だった。地面が大きく揺れ、
リルの足元が突き上がった。
リルは上に飛ばされ、なんとか空中で
体勢を整えると周りには鳥形の石で
出来た魔物が攻撃を仕掛けてくる。
リルは空中で上手く未動きが取れず
鳥形の石がリルにぶつかり続けていた。
「リルーー!!」
俺はリルを助けるために飛び上がろうと
しているとアストロンに止められた。
「待て!リルはあの程度でダメージを
受けない!お前はお前の役目を果たせ、
リルを信じろ!」
ぐぅ!……俺は踏みとどまる。我慢しろ!
我慢しているのは俺だけじゃない。リルを
信じるんだ!
アストロンも歯を噛み締め耐えている。
そしてリルはそれに応えるように、
自分が健在なことを証明するのだ!
リルは空を蹴り一気に地面に降り立つと、
拳に闘気(オーラ)を集め空中を飛んでいる
鳥形の石で出来た魔物に向けて突き上げた。
その衝撃波はたった一撃ですべての魔物
と天井を吹き飛ばす。
おいおいなんて威力だよ。天井が綺麗に
なくなった空が見える。………リルなら魔王も
倒せるんでは……
俺は驚きを通り越して呆れていた。
リルはガルド王に向けて闘気(オーラ)
を込めた拳を突き出し闘気(オーラ)を
飛ばす!それを連打連打連打する。
ガルド王の周りにある壁が砕け煙が舞う。
リルは見えなくなったガルド王に
警戒しつつ、自分の周りの警戒を怠らな
かった。
ガルド王はリルの後ろに瞬間移動し、
リルに手を伸ばしていた。リルは即座に
察知し、ガルド王の腕を掴み投げ飛ばした。
「ドン」と地面に叩きつけられた魔王は
砕けた。
リルはその瞬間……気がつく、
こいつは偽物たったと、
リルにガルド王の魔の手が伸びる。
「ガルド王…お前には攻撃する瞬間の隙が
なければもう俺の幻術は一瞬として
効かないだろう。それが
今だ!『ルージュプリズン』
ガルド王の意識を赤く光る鏡の中へ
落とし閉じ込める。
「ガルド王の動きが止まった!ここだ!」
アストロンが叫ぶ!
俺は筆に全ての魔力を込め走り出し、
『呪詛 神撫手 黒曜線』で魔王の
称号を消す!
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