72 / 359
第71話 女神は友達?
しおりを挟む改めて考えてみた。
イリスは神であり怒っているのであれば、すでに手遅れで諦めるしかない。それならばもう受け入れよう。
半ば投げやりになった俺は普段通り話をするように聞いてみた。
「イリスって……女神様なのか?」
イリスの表現が明らかに変わった。
「あなた、今更そんなこと聞くわけ?もっと早く気づけたでしょう。普通は私のオーラを見て感じればすぐにわかるのよ。なんで気づかないのよ!」
イリスに眉間に手を当て呆れられた。
確かに思い介せば不思議なことはいっぱいあった。
「いや~ここに来る時ってさ~いつも突然だったし、結構バタバタしてたからさ~あんまり気にならなかったと言うか、気が付かなったと言うか……アハハ」
「何がアハハよ!呆れて物も言えないわね。もしかしたらそれがあなたの特別なところかもしれないけど……」
俺は鈍感過ぎて女神様に皮肉を言われた。
「その……申し訳ありでした。今思えば失礼なことばかりしてしまい。どう謝罪すれば良いか……」
俺はどうすればいいかあたふたしながら頭を下げる。
「良いわよ!そんなこと、気にしてないわ……なにその顔……」
俺は女神様がそんなあっさりと許してくれると思わず、ポケッとした顔で呆けてしまった。
「え!?良いのですか?」
「別に構わないわ。それに敬語は不要よ。あなたは確かに私の使徒だけど、そもそもあなた私に対する信仰心ないでしょ!」
ギクギク!?……う、う~ん……俺って転生してから教会に行ったのは何回くらいあったっけ……
「え……ちょっと待って!多分祈ったことあるから思い出すね」
「良いわよ!無理して思い出さなくても、私が覚えているから、ここ最近で言えばマルクトと戻ってからの2回だけよ!」
さ~せんでした!
………思い出すまでもなかった。
「でも……敬語で話さなくて良いって言うのは……」
「良いって言ってるでしょ何回も言わせないで!それにあなたは私の友達なんでしょ。それなら敬語なんておかしいじゃない」
イリスは少しからかう様な口調で言った。
「なるほど、それもそうだな。ありがとうな!イリス」
「ん~やっぱり何か新鮮ね!悪くないわ」
イリスは少しだけ笑顔を見れる。
「それでイリス、この後はどうすれば良いんだ?ジャクソン村みたいにまた神託でもあるのか?」
「いいえ、今はまだ良いわ。だた気になることはあるわね」
「気になること?」
「ジャクソン村の件は何者かが関与した可能性があるわね。しばらくはあなたも警戒してなさい。もしもがあるかもしれない」
「それってつまりこの町も危険かもってこと?」
「そう言うことよ。何か分かったら知らせるから、今はあまり気にしないことね」
「うん、分かった。ありがとうイリス」
俺はこの後、初めてこの空間を普通に出ることが出来た。
…………▽
翌朝になり、朝から騒がしいことになっていた。
「どうしての?こんなに朝早くから」
睡気まなこを擦りながら玄関を出るとノルンが居た。
今日もテンションが高く、こっちは寝起きでそのテンションについていけない。
「ジャクソン村の件よ!私に教えなさい!」
あ~そう言うことね。
なんでこんな朝から来たのか分かった。
「分かったから、まだご飯を食べてないんだ。もしかしてだけどノルンもまだ?」
「うん、頂けるかしら」
ニッコリと笑顔で遠慮なく答える。
普通ならちょっと図々しいヤツだなと思われるかも知らないが、ノルンは子供の頃から遊びに来てご飯をよく食べに来ていた。だから父さんも母さんも特に気にしない。
その後、他愛もない話をしながら食事をして、部屋に戻ると、例の話について色々とノルンに質問された。
「えー二人共ズルいズルい!そんなに楽しそうなことをして、なんで私を呼んでくれなかったのよ!」
「ノルン……どの辺が楽しそうに聞こえたのかな~、こっちは死ぬ思いで戦って来たんだけど」
「良いじゃん死ななかったんだし!あ~あ~そんなに強そうな魔物を相手にしたのか、良いな~」
ノルンは俺の気持ちを全然理解してくれなかった。
俺はガックリと肩を落とす。
「タクト、レベルを上げに行くわよ!」
ノルンはまた唐突なことを言い出す。
「えーまた~……勝手に行ってら怒られるよ」
「そ、それは覚悟のうえよ!い~い、タクトだけズルいわ。私も魔物と戦ってレベルアップするのよ~」
ま~何を言っても止まらないし、今の俺なら問題ないだろう。
「それじゃ~フォルドの森でレベルアップと行きますか!」
「なによ!今日は聞き分けが良いじゃない!そうこなくっちゃ。じゃ~まずは準備ね!魔導ショップに行くわよ~タクト」
俺は手を引かれそのまま家を出た。
…………▽
「おはよう!おじさんいくつかポーションを頂きたいんたけど!」
ドタドタと騒がしく店に入り、ノルンは大声で注文をする。
「はぁ~あ……なんだよ昨日はプレーが長くってあんまり寝れてないんだ!あんま騒ぐな!」
おじさんはガシガシと頭をかきながら半裸で出て来た。完全に寝起きだ。
ノルンは両手を腰に当てて、
「も~うなんて格好してるのよ!そんなんで客商売なんか出来るの~」
「嬢ちゃん、この店は客が店を選ぶんじゃなくて、俺が客を選ぶのさ、ぎゃ~ぎゃ~騒ぐなら出て行ってくれ!」
「なんですって!」
ノルンもおじさんも口が悪いうえに態度がデカいから言い合いになりやすいんだよな~
「ノルン、おっさんとはボクが話すから、少し外で待ってて!」
ノルンは「え~」っと言いながらも外に出て行ってくれた。
「よ~坊主、お前も大変だな、あんなじゃじゃ馬娘を相手しないといけないのか」
「ま~確かに大変だけど、仕方ないさ」
「領主の娘だからか?」
「いや、そんなの関係ないよ」
「へぇーもしかして惚れた弱みってやつか?え~この野郎~教えろよ」
「おっさんくっつかないでよ!汗臭いんだから」
おっさんが俺に肩を組みからかって来やがる。
軽く殴って黙らせた。
「ま~実際どうか分からないけど、ノルンはボクにとって大切な人だから、それなりの対応をしないとね」
「アタタタタ……なるほどそうかい。ポーションは何本いる?二人なら一人三本で六本あれば十分だと思うが」
おっさんはゴソゴソと棚からポーションの瓶を取り出しカウンターに並べる。
「うん、ありがとうおっさん、あとこれの換金もお願いできるかな~」
俺はこの間仕留めたウルフガーゴイルの魔石を売るためにおっさんに見せる。
「お~なんだまた面白い物か?……………おぇ!?また坊主はなんてもんを持って来るんだよ」
おっさんはワナワナと手を震わせ、その魔石を確認する。
「どう?この魔石売れるかな?」
「あ~もちろん……と言いたいが、この店ではそれを買い取るだけの資金がね~……くっそ~メッチャ欲しいけどな~でも無理だ~そんな魔力を内包した魔石」
もの凄く悔しがるおっさん。
「………そんなにか、ちなみにいくらくらいで売れるの?」
「う~んそうだな。一千二百万ウェンってところだ」
「うわ!?すごいや!」
あの魔石がそんなに高く売れるとは思いもせず、これでまた食費が浮く。
おっさんは突然カウンターに頭をつき「坊主!すまね~、お願いだ!その魔石を俺に譲ってはけれないか、それがどうしても欲しんだ!」
俺はあまりの突然な行動にびっくりする。
「おっさん、まずは頭を上げてください。そうじゃないと話が出来ないよ!」
「あぁ……そうだな。頼む!俺に譲ってくれ、金は必ず払うから、な!」
う~んどうしようかな、そもそもおじさんはまだ俺に借金がある身な訳で、さらにつけって言うのは流石に容認するのは難しい。それにしても、なんでこんなに必死なんだろう。ドラゴンの牙の件もそうだけど、かなりの借金をしているけど。
「あの~その前になんでそこまでするんですか?」
おっさんの顔が一気に暗くなる。
「ま~そうだよな。こんなことを頼むのに、何も説明しないって言うのは…ないわな。分かった!ちいっと恥ずかしいが俺の話を聞いてくれるか?」
「うん、お願いおっさん」
俺は流れでおじさんのこっ恥ずかしい話とやらを聞くことになった。
25
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる