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第93話 ルナの葛藤…そして抱き締めた
しおりを挟む「まずは二人を見せて貰うわね」
「はい…宜しくお願いします」
聖女様は木を背に倒れているアーチさんとレアリーさんの傍に寄り、彼女達の治療にあたる。
それにしても、どうも先程のルナさんと聖女様のやり取りが気になる。聖女様ならあの二人を治せる気がするのに、それをルナさんは止めようといていた。なんでなんだ?……考えても分からないしここはアイリスにでも聞いてみるか。
「アイリス、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、聖女様ってもしかしてどこか悪いところでもあるの?」
「う~うん、そんなことないよ。でもここ最近年齢のせいか疲れやすくなったって言ってたなの!だから私がお手伝いするために呼ばれたなの」
「そっか!アイリス教えてくれてありがとう」
俺はアイリスの頭を撫でると嬉しそうにしている。
そうか、聖女様もお年を召して力が弱まっているのかもな、それで無用な負担をかけないからみんなが気遣っているんだな。そっか……なら俺も出来ることがあったら手伝おうっと!
◆ルナの視点
なんと言う失態だ!
私は隊を率いて聖女様と愛しの妹アイリスの護衛任務にあたっていた。しかし想定外のトラブルが発生した。長年私の右腕として苦楽を共にしたアーチとレアリーそれに他の部下達が反乱を起こした。私はそれを止めるためアーチとレアリーを相手にした。どれだけ声をかけても止まろうとはしない彼女達。こうして説得している間にも聖女様やアイリスが襲われている。この二人は私が認めた実力者、手加減しては倒すことは出来ない。優先順位を考えれば彼女達を殺さなければならない。そう分かっていたはずたった。でも出来なかった。彼女達は私にとって特別だったから。
なんとか殺さずに無力化することが出来た。だが時間がかかり過ぎていた。幸い聖女様とアイリスは無事だったが、私が私情を挟んだために聖女様達に危険を及ぼした。それは聖騎士団として許されることではない。そして私はまた過ちを犯そうとしている。アーチとレアリーを助けるために聖女様の命を縮めるような事を……一体私は何をしているんだ!
「聖女様、やはり……この二人をお捨て下さい。あなた様はこの世界にとって特別な存在なのです。命を削るようなことはお控え下さい」
「う~んおかしいわね。悪魔の気配はないし、彼女達は聖痕まで受けているのね。私これ好きじゃないのよね」
「聖女様おやめ下さい!もうこの二人は……」
「あら!何をやめるのかしら、ルナあなたこそ諦めるのをやめた方がいいんじゃないの?大丈夫よ!あなたの判断は間違っていないわ!それに私にもしものことがあっても私にはあなたの妹さんみたいな立派な後継者候補がいるもの問題ないわよ」
「そんな……聖女様……」
私はなんて愚かなんだ。そして聖女様はあなたはやっぱり慈悲深き聖女様です。
「それにしても、どうしましょうか、悪魔の仕業かと思ったけど、何者かのスキルね。ステータスを確認しても操られていることと、その力が闇属性と言うことしか分からないわ。仕方がないから状態異常の解除魔法でもかけてみようかしら」
「はい…宜しくお願いします」
私は全てを覚悟することにした。
それなのにーあの男は~!
「あの~聖女様?それって闇魔法なんですか?」
この男、聖女様の邪魔をするんじゃない!
妹のアイリスが気に入って………じゃなくてほんのほんのほんの少し気にかけている男、こんな男の何が良いのやら!そもそも男なんて意味もなく女を下に見る無駄に偉そうなアホ!…………いけない、また変な思い込みは捨てろとお父様に叱られますわね!でもこの男は止めないと!
「ちょっとあなた、聖女様に軽々しく声をかけないで、張っ倒しますわよ!」
男は怯えている。ゴホンちょっと強く言い過ぎました。あとでアイリスに怒られそうです。
「ルナちゃん、女の子はもっとお淑やかに、いくら騎士でもあなたは女性なのだから、それを忘れてはダメよ!」
「はい、すいません」
う~……しまった。聖女様に怒られてしまった。
「タクトくん、どうしたの?何か言いたいことでもあるかしら」
男は私に警戒しながら喋り始める。
「あの~闇魔法だったらやってみたいことがあるんですけど、宜しいですか!」
「宜しくない!ガルルルル」
「コ~ラ!ルナちゃん、ダメって言ったでしょ!」
「はい……すいません」
またやってしまった。どうにもこの男のことになると我慢が出来ない。どう言うことだ?
男は怯えながら、二人の傍で腰を下ろす。こいつ、もしも二人にいやらしいことでもしたら斬り刻んでやる。
男はおもむろにあまり見たことのない入れ物から、これまた見たことのない物を取り出した。何なのあれ?
「う~ん少し離して当てた方が良いかな。怖いからちょっとずつにしよ~」
男は何かぶつぶつと言っている。
何をもたもたと~
私はイラついていた。
そうこうしている間に二人が目を覚ましてしまった。
「ガア!グリルルルル」
「キイィィーギィー」
「二人共……」
二人にはすでに理性が残っていないのか、獣の様に唸る。
すまない。私がお前達を守らないといけないのに!
私は彼女達のあまりの変わり様に涙が流れた。
「スイッチON」
男は何事もないように訳の分からないことを言って光を放つ!すると二人は徐々に落ち着きを取り戻し穏やかな顔に変わったように見える。
「ヤベ!そろそろやめておこ」
男は道具から出ている光をとめる。
「うっ……あ~清々しい~」
「はぁ~気持ちがいい~」
二人は先程までとはまるでかけ離れた表情、言葉を発した。なに呑気なことを言ってるのよ!と怒りたい気分など全くわかず、私は駆け寄り二人を抱き締めていた。
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