異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り

銀塊 メウ

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第212話 ラキの決断そして聖女の決断

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「バネス師匠、今日も宜しくお願いします!」

「今日も元気ですね!ラキは、でも師匠はやめませんか?私はそんな呼ばれ方をする程の腕はありませんので……」

「いえ!バネス師匠はとても強かったです!それに習う者として当然ことかと思います!」

「う~ん、ラキはとても真面目ですね~まだ9歳とは思えません。しっかりとしています。……分かりました。では修練を行います!まずは昨日教えた型を見せて下さい」

「はい!宜しくお願いします!」

 私はギャング達に襲われバネス師匠に救われた。バネス師匠はイリス教の司教で各町の旅をしているらしい。ただ後で知ったことだが、実際は教会の査察をしており困りごとがないか?もしもあればそれを解決するために働きかけていた。

 私は教会のみんなが笑顔で幸せに暮らせる環境を作りたい!その為にはどうしても力が欲しい!もう理不尽な暴力には負けたくありません!だから私は頭を下げバネス師匠に弟子入した。最初は中々承諾をえられなかったけど、首を縦にするまでずっとついていったら根負けして教えてくれることになった。

 私はバネス師匠に聖騎士団式柔術を習う。
 バネス師匠は親切丁寧に教えてくれた。お陰で私はメキメキと力をつけていく。

 そしてある日……事件が起きた。

「ラキ、なぜあの様な危険なことをしたのですか!」
 いつも優しいバネス師匠が怒っている。でもそれは仕方ないことだと私は黙って叱られていた。
 
 私は教会にいつも来る邪魔なギャング達を一人で全滅させた。殺してはいない。だけど二度と立てないようにしてやった。

「良いですかラキ、あなたはなぜ力を欲したか!拳を振り上げる理由を履き違えてはいけません!まずはよ~く考えなさい!分かりましたねラキ」
 
 真剣な眼差しでバネス師匠が私の目に訴えている。

「大丈夫です!師匠、私は家族を守る為に拳を振るいました。決して私利私欲の為に師匠が与えてくれたこの力は使いません!だから信じて下さい」

 師匠は私を抱き締めて一言言った。
「分かりました。私はラキを信じます。ですがもう一つだけ、その中にラキ自身も入れて下さい。あなたも幸せにならなければ、みんなも幸せになりませんよ」

 私はその意味を理解し頷く。

 それからは穏やかな時間が長く続いた。
 師匠も長くはとどまれないと出て行ってしまわれたけど、私にしっかりと基礎を教えてくれたのでそこからは自らの技を磨いた。

 それから5年後、師匠が教会に来てくれた。
 一度イリス教の本山マーリンに来てみないかと誘われた。正直私はそれ程興味がなかったけど、神父様とシスターに見聞を広める為にも言っておいでと言われたので渋々行くことにした。

………▽
 
 すごい!あれが聖騎士団。
 
「ラキは相変わらず変わっていまね!普通は大聖堂に行きたいと言うものですけど、まさか訓練所に行ってみたいとは………」

 師匠はガッカリしているけど、私は訓練している騎士の人達が格好良く見えて心が躍っていた。

「ラキ……そろそろ行かないかな……」
 師匠が困った顔をしていたから仕方なく訓練所をあとにすることにした。 

 私達は訓練所を横切っていた時……

 あ!……あの子綺麗、それにすごく速い。
 
 私とたいして歳の変わらない少女が大人の騎士相手に模擬戦で圧倒していた。私はその子がなんとなく気になった。

…………▽

「ラキ、君にどうしても会わせたい人がいてね。そろそろ来られると思うんだけど」

「私にですか?」

 大聖堂の中に一人の女性が待っていた。
 会った瞬間に私の中で何かが熱くなった。

「初めましてラキ、私はアンティア・メリダと申します。宜しくね!」
 この女性がイリス教の聖女様……見ただけで分かる。他の人とは全然違う。

「どうしたの?私の顔に何か付いているかしら?」
 聖女様は微笑む。

「すいません、何でもありません」
 いけない!?ついつい見とれてしまった。
 私は頬を赤くして照れていた。

「ふふっカワイイはラキ、……う~ん……話しを聞いてもしかしたらと思ったけど、間違いなさそうね!あなたには才能……資質があるわ」

「本当ですか!?聖女様」
 いつも冷静な師匠がすごく驚いている?
 私に何があるって言うの?

 聖女様はこちらを向く。

「ラキ、あなた……ここで働かないかしら?」
 
 私は突然の申し出に驚く。
 聖女様は続けて話しをしてくれた。私には特別な力があり、それは聖女になる為に必要な力だと、だからここで聖女になるための修練を積みなさいと、この話はとても良い話だと私自身強く思えたけど、私には教会のみんなが居る。みんなとは離れたくない。そう思った。

「本当に申し訳ありません。とても良い話なのですけど私にはみんなが……」

「そ~う……それはとても残念です。ですが気にすることはありません。誰しもが自分にとって何が大切なのかを判断し決断するのです。それがラキの答えなのです」

「はい………」
 私は聖女様の誘いを断り教会へと帰った。

…………▽

「ええ!?……ラキ、それはちょっとな~」
「ラキは本当にそれで良かったの?私達のことを重荷に思って欲しくないのもう一度考え直して」

 神父様は驚き頭を抱えて困っていた。
 シスターは私のことを心配して早口で話し、私を聖女様の下に戻る様に説得してくれてる。

「神父、シスター、これもラキが決断したことです。あまり彼女を責めないであげて下さい」
 
 師匠は私の決断を受け入れてくれた。
 本当は師匠も聖女様の下で私が修練してほしいと思っているはずなのに、それでも私の思いを理解してくれたのだ。

 神父様、シスター、師匠……みんな私のことを思って言ってくれている。私は本当に幸せだ。

 私が幸せを噛み締めていたときだった。一人の女性が教会に入って来た。
 その人が入って来ただけで、教会の空気が一段と清浄化されていく。

「え!?なんでここに……聖女様が!?」
 私が驚いていると聖女様は以前と変わらず私に微笑みかけてくれた。
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