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第231話 宝物庫の宝
しおりを挟む◆パズムの視点
ボクは主様からの命でこの場所を守って三百年、竜人(ドラゴニュート)でも特殊な個体であるのボクでも長く寂しく感じていた。でも稀に遺跡の奥へ行く扉を見つけボクの試練を受ける者が現れる。本当に滅多にいないけど、今日三十年振りに人が現れた。変なエルフだった。ここまで来るのに死ぬほど危険なトラップが仕掛けられていたはずなのだが、ボロボロの姿ではあったものの楽しそうに笑顔で現れ、さらにトラップの感想まで言う始末、頭がおかしいエルフだ。それでも久しぶりの人間、話はすると自然と話は盛り上がった。
ボクはテキトウにあしらって、殺さずにエルフを外へと吹き飛ばした。するとそれから直ぐのこと、あのエルフは懲りずにまた現れた。しかも今度は大人数、ボクは興味なさげに対応したけど、内心はワクワクして鼓動を抑えるのに必死だった。わ~こんなに人がいっぱいだ~どうしよう緊張する~。
しかし浮かれてばかりではいられない。ボクは主様からここを守るよう任されているのだから、殺しはしないが、また出て行って貰おう。
なかなか良いスキル持ちの様だ。ボクの見えざる爆弾を回避し風の結界を抜けて来た。でもボクは倒せないよ。
「うん、それでさ…で!……こうして……そうそう……こうすれば……そう言うことよ!………宜しく!」
試練を受けていた四人がコソコソと集って話をしている。なんかムズムズする。そこにボクも参加したい。
「いけない!集中しないとアイツらは敵だ!」
そうこうしているうちに準備が整ったのか、こちらを気合の入った目つきで見る四人、そろそろ仕掛けて来るかな。
「良し!行くぞ!アンディ」
「教皇のおっさんミスんなよ!」
教皇とエルフがそれぞれ左右から走って来た。教皇の方は今度はトラップのエアボムを躱している。あのエルフに事前に聞いているか、だけど無駄だよ。遅いがエアボムを移動出来る。
「のぉあああ!」
教皇は再び吹き飛び壁に激突する。
でもあのエルフは躱すか、やはり見えている。移動するエアボムから逃げながらこちらに向かって来る。ならば『ブラスト』で吹き飛んで貰おうか!
『ブラ…ブヘェ!?』
何が起こった。突然頬に衝撃が!
ボクは衝撃で吹き飛ばされながらも、その原因を見てボクは驚愕した。
いつの間に現れた!?
そこには少女とタクトと言う青年が居た。どうやって接近した!?何も感じなかったぞ!
分からない!だけどこれ以上はさせないよ!
急いで風の結界を張り直す。
「これで安心…ブヘェ!?」
なぜだー!?また殴られた!
「ダーマちゃんナイス!そのまま結界を相殺しておいてねぇ~」
風の結界の間にに変な盾が入れられている。アレのせいで結界内を入られたか、しかし問題はなぜ攻撃を受けるまであの二人を認識出来ない。
「どうだ!パズム、びっくりしたか?アイリスの透明化スキルは見えないだけじゃなくって認識阻害能力も有してるんだぜ!」
そう言うことか、だから気がつくことが出来なかったのか、しかしなぜタクトはそれをボクに教えた?
「パズムさん、降参して貰えないかな?」
「へっ?、なんで降参……!?」
手足が動かない!?いつの間にか拘束魔法をかけられたのか?
ニッコリと笑顔で喋るタクトを見て負けを認めることにした。
「まさか……してやられましたよ。このボクがこうもあっさりと、生きていれば主様に叱られますね」
ボクはあの日のことを思い出す。
主様からこの地を任された時を、とうとうこの日が来てしまいました。主様申し訳ありません。
ボクの頬に涙がつたう。
「あの~、ボク達訳あってお金が必要ではあるんですけど大切な物があれば言って下さい。それは取らないんで」
ボクの情けない姿を見せてしまったせいか、タクトは優しい言葉を言ってくれる。しかしそれは違う。
「タクトさん、気にしないでくれ、ボクはこの試練を突破した者に宝を託すように言われている。だから宝をすべて君のものだ。遠慮は要らない!持っていってほしい」
これがボクの思い、そして主様の願い。
タクトは最後まで遠慮して断っていたが、タクトの仲間達とボクで説得した。
「それでは宝物庫へ案内しよう」
…………▽
◆タクトの視点
金銀財宝とはこのことか!眩しい!
パズムさんに連れて来られた部屋に入ったらザ!宝と言える金目の品々、これは余裕で必要な資金が手に入る。
「遠慮しないで下さい!すべて持って行って下さい」
パズムさんは試練を突破されて落ち込むかと思ったけど、思いのほか嬉しそうだな?なんてだ?
「あの~やっぱり全部じゃなくても……」
「まだ言ってるんですか?タクトさん、かまいません!そもそも主様からは試練を突破した者に渡せと言われているって言ったではないですか!もー意地でも持って帰って頂きます!」
やべぇ!遠慮し過ぎて逆に怒られた。
ただ実は遠慮しているだけじゃないんだよ。
なぜだろう~勘が言ってるイヤな予感がすると。
「さー奥へ、そこにあるのはオマケみたいなものです。この奥に守りし宝があるのです」
パズムさんに無理やり引っ張られ隣の部屋に連れて行かれる。
その部屋は十畳ほどのそれほど広くない部屋で、そこにはポツンとお宝ではなく小さな卵が置かれていた。
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