異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り

銀塊 メウ

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第245話 ローラン卿の逃走

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 とある森の中を暴走するかの如く凄まじい速さで駆け抜ける数台の馬車が走っていた。その後ろを黒い鎧を来た騎士に追っている。

 騎士達は普通の人間ではなかった。下半身が馬の姿をしており、いわゆるケンタウロスと言う者である。馬の脚力を持った騎士がグングンと馬車に接近する。

「何者かは分からんが、足止めはいるか……」
 一台の馬車から大剣を担いだ男が窓から上半身を出し後ろを見て呟く。

「行くのか?パルコ、お前まで行ってしまえば私を守るものがおらんくなるがな」

「ローラン卿、そこは我慢して貰いたい。貴方様なら自分の身は自分で守れるでしょ」

「ハッハッハ、とても主の居る騎士のセリフとは思えんな!」

 ローランはこの危機的状態で笑った。命がかかっている故かより強く生を感じでいた。上下関係など気にせず同じ志を持つ仲間が居ることが嬉しかったのだ。

「パルコ、死んでくれるなよ!」

「ローラン卿お任せ下さい」

 ローラン自身はかつて凄腕の剣士であった。老いて全盛期の実力はなかったが、それでもかなりの実力者、後ろを走る怪物は見ただけで分かってしまった。かなりの強さを持っていると、パルコはもちろん強い、それでもあれだけの数を相手にすればほぼ間違いなく殺される。それだけの戦力差がある。そしてパルコ自身も気づいていた。

 それでも私や国王の為に命を賭して戦う。
 それが騎士である教示である。

 パルコは馬車から飛び降りると着地と同時に横薙ぎに大剣を振り斬撃で大地を引っ剥がす。衝撃で後ろから来る化け物の動きを止めた。

「ここからは通しはせん!通りたければ俺を倒してからにしてもらおうか!」

 パルコは剣を構え大きな闘気を纏う。
 そこに群れるように化け物達は突撃していた。


……………▽

「があっ……ぐっ……ううっ………」
 馬車の中では立派な服装の壮年の男が横になり苦しんでいた。傍には高級な服装の綺麗な女性と聖職者の男が居た、聖職者の男は苦しんでいる男を魔法で治療していたが効果は薄かった。

「あなたしっかりして、意識をしっかり持つのよ」
 女は男の手を握り声をかけ続ける。
 男は苦しさのあまり声を出せなかったが、しっかりと女の手を握り応える。

「王妃失礼致します。ローランで御座います」
 
 馬車は大きく2室に分かれており、扉の外から声をかけられる。女性は返事を返し扉を開いた。

「王妃、国王のご様子は………」

「ローラン……残念ですがハドの容体はあまり良くありません、ハドに刺さっていた短剣には猛毒が塗られておりました。治療によって進行は抑えていますが、この毒は大司教クラスの者が扱う聖魔法でしか治療は困難のようです」

「そうですか……クッ、リワ殿が生きておられれば」
 
 城で襲撃された際に王宮専属治療師のリワ大司教が殺されてしまった。今治療を行っているのはリワ大司教の弟子のコラフ、彼のお陰で王が命を取り留めることが出来ている。だが治すことは出来ない。王の命は
あと僅か……


「王妃、追っての気配が複数あります。このままでは追いつかれてしまいます……私も出撃させて下さい!」

「な!?何を言っているのです!あなたまで出てしまったら誰が私達を守るのです」

「王妃残念ながら追ってに追われながらこれ以上逃げることは出来ません。我々が食い止めている間にお逃げ下さい」

「せめてローラン貴方だけでも」

「申し訳ありません、コラフですら止まらなかった相手です。私が出なければ刹那の時間すら止められないでしょ、王妃なにとぞ出撃の許可を!」

「…………分かりました。私の我儘を許して下さいローラン、貴方はいつも私達の為に尽くしてくれました。少々甘え過ぎましたね」

「いえ、そのようなことは……」

「ローラン、それでは宜しくお願い致します」
 王妃は深々と頭を下げる。

「御意」
 ローランは短く答え、急ぎ準備を整え出撃した。


……………▽ 

◆ローランの視点

 ローランは数人の兵士を連れ敵を迎え撃つ。

「ほう!ローラン様が出てこられましたか、これはいよいよ大詰めですな」

 他の騎士と違い一回り大きく顔を見せているこの男、間違いない!我々を裏切りボルジアについた国王軍の師団長ラゴゥ、剛腕で大剣を扱う暴れ者と称された人物である。

「ラゴゥ、お前は何をしてしまったのか、本当にわかっているのか?」

「分かっておりますよ。新たなる国王を迎えるために古き王とそれに使える者の掃除を行っているのですよ。新たなる王政の為に消えよローラン!」

「そうか、お前の考えは分かった。しかしその様な姿にされてまで使える必要があるのか!」

 ラゴゥの姿はすでに人ではなかった。
 ラゴゥの下半身は獅子に変わっており、どうやったかは分からないが、魔物と合成されているように思えた。

「フン!そんなことか、くだらぬ!俺はこの世で最強の戦士となるのだ!姿などどうでも良い。無駄口はこのくらいにしよう………いや、一つ忘れておったわ。土産だローラン」

 ラゴゥは背中に背負った物をこちらに投げた。

「なぁ!?……貴様!」

 こちらに投げつけられたのは、四肢がぐちゃぐちゃに曲げられ血だらけになったパルコだった。

「パルコ!死んではならんと言ったであろう!起きるのだ!頼む……」

 私は願うようにパルコに問いかけると、僅かに唸る声が聞こえた。良かった。まだ生きておる。しかしこれほどの怪我、すぐに治療を行わなければ死んでしまう。

 しかしこの男がそうはさせまい。
 あえてパルコを殺さず私の前に持ってきたと言うことは、私の冷静さを失わせるためか、私は静かに精神を統一させ、目の前の化け物と化した男と対峙する。

「おう!嬉しいぞローラン、我が剣を受けてみよ!」
 凄まじい力と速さで振られた剣が私を襲う。流すように剣を受けたにも関わらず、腕が痺れる。これはもしも直撃を受ければ即死する。

 この男は魔物の力を取り込み完全に人外の者となってしまっていた。
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