異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り

銀塊 メウ

文字の大きさ
282 / 359

第281話 一人だけ生かします

しおりを挟む

◆エリックの視点

「あなたが……死の商人だと言うのてすか?」

「その通りですよ。信じられませんかな?ま~それは構いませんよ。私はあなた達の魂さえ頂ければ良いので」

 死の商人がコツンっと強く杖で床を叩くと黒く変わった床や壁が波打ち、中から人形の黒い何かが身体の半身を出し絶叫した。

「うっ……ぐっ……」
 
 その声は不快な極まりなく身体が震え上がる。そして身体の力がはっきりと抜けていくのが分かった。

「あ!?……そんな……」
 声がする方を見るとラウラが膝を着いて驚いている。なんてことだ!ラウラは立ってすらいられなくなってしまったのか!?初手から魔法をかなり使っていた。だから私以上に体力が残っていないのだ。


「このままでは……」
 私は剣を構えると死の商人を守るように鎧騎士が
私の前に立ち塞がる。

「ラウラ立てるか?」

「もちろんですわ!このくらいで~」
 ラウラは立った……でも足元がふらふらとおぼつかない。これでは戦うことも逃げることも出来ない。

 
「ラウラそこに居ろ!私が殺る!」
 全身に闘気を巡らせ瞬間的にパワーとスピードを
向上させる。

『オーラバースト』

 上段からの一撃で鎧騎士を切断、もう一体の鎧騎士が近づいて来たところを横薙ぎで腹部を切断し上半身がゴロンと落ちて転がる。

「あとはお前だけだ!」
 死の商人に一瞬で接近。

「ほう、速いですね」
 表情がまったく変わらない。少々不気味だ。早く倒してしまおう。

「ここまでです!」
 下から振り上げるように胸を斬り裂いた。
 死の商人はバタリと倒れ闇に沈んていく。


「……………終わった」
 ボソリとひとりごとが漏れた。


「えー終わりましたね」
 背後から黒い気配が突然現れ、振り向くと腹部に激痛が走った。

「がぁっ!?」
 そこに居たのは無表情な男、ゆっくりと視線を下げると短剣があり、それが私の腹部に刺さっていた。

 そんな……倒したはず………



◆ラウラの視点

 え!?………兄様?
 死の商人を圧倒していたエリック兄様、その後ろにヌーっと黒い塊が浮かんで来たと思った瞬間、その姿が一瞬で変わり、その者の手には短剣が!?急いで声をかけようとしたけど力が入らない。その一瞬の遅れが絶望となる。
 
 
 エリック兄様の服が真っ赤に染まり、顔色は青白く変わり目が虚ろになっていた。

「にいさまーー」
 私の叫び声が響く。


「ラウラ!…………大丈夫だよ。ワタシは生きている」
 エリック兄様は刺された腹部を押さえながら、私に心配をかけまいと必死に痛みに耐えながら声を出していた。
 


「さて、勝負は決しました。一人は重傷で動けず、もう一人は立つので精一杯、さて、お二人にチャンスを上げましょう。お二人の望みを教えて下さい」

 コイツ何を言い出すんだ!理解が出来なかった。

 死の商人はずっと無表情だった顔をこれでもかと言うほどに満面な笑顔に変え聞いてきた。

「「………………」」

「お二人共何も言わなくて良いのですか?助かるかも知れませんよ」
 
「おまえは……なにを言って……いるんだ!私達を見逃すとでも言うのか……」

 私は痛みに耐えながら言葉を発した。

「もしかして信用されていない。確かにもっともなことです。ですが本当ですよ。ただし助けるのはどちらか一人だけとさせて頂きます」

「キサマ!私に妹を裏切れと言うのか!」
 あまりのことに怒りを抑えられず、普段使わない言葉で叫ぶ。


「はて?何を怒っておられるのでしょうか。ん~!ではそこのお嬢さん、あなたはどうでしょうか」

 死の商人は私からラウラへ回答者を変える。

「あなたふざけ過ぎですわよ!私がエリック兄様を殺されるのを黙って見ているとでも、あり得ませんわ!」

 ラウラ……そうな風に言ってくれるなんて、こんな時でも嬉しいよ。ありがとう。


「ん~……なぜでしょうか?助かりたくないので?ん~そんな訳がありません!………そうか!分かりました。どうやらあなた達には危機感が足りないのですね」

 死の商人はそう言うと杖を振り上げた。すると私とラウラの真上の天井から黒い刃物が大量に現れる。

「分かりますね。これをあなた達に落とします。少しずつ落としますのですぐには死ねません。とっても痛くて苦しいでしょう」

 この男なんてことを!?そんなことさせなうぐっ!
 カラダが動かない………血を流し過ぎた。

「さ…て…と!どちらからにしましょうか」

 死の商人の視線がラウラに向かおうとした時、私の口から自然とその言葉が出てしまった。

「助けてくれ……ラウラを傷つけないでほしい」
 絞り出すように心の叫びが出る。


「ほう……自分ではなく、妹さんをですか?素晴らしい……素晴らしいですよ!やはりあなた達は期待通りの方のようだ。では妹さんに死んでももらおう」

 はぁ?……なんだって……

「何を…言っているんだ、おまえは……約束が違うではないか!」

「約束?あー約束ですね。一人だけ生かします。ですがどちらにするかは私が決めます」

「何だと!?」
 

「そーです!その表情素晴らしい、期待を裏切られ苦しむ姿何度見ても良い。この後妹さんが無残に切り刻まれ死んでいく姿をあなたは傍らで見るのです。その時の負の感情、魂が私の糧となる。な~に約束はちゃんと守りますよ!あなたは生かして差し上げます。心は死んでしまうかも知れませんがね~ふふっふふふふ」

「やめろ……やめてくれーー」
 私の叫びは死の商人には届かず虚しく響く。


「それでは行きたいと思います。まずは1本、小さなナイフで行きましょう。狙いは……あなたの綺麗な瞳です」

 死の商人はラウラの瞳に目に指を指す。
 ラウラは恐怖で涙が溢れた。
 
 死の商人はコンっと杖を突くと、1本の黒いナイフがラウラの目を目掛けて落ちて来た。

 やめろーー 
 黒いナイフがゆっくりと落ちていくように見えた。私はなんて無力なんだ、妹を守れないなんて…………




「キューイーーーン…………パクッ」

 そこに通りすがりの小さなドラゴンが、落ちて来たナイフを口でキャッチ、私は呆然と綺麗な翼で飛ぶその姿を追うと、後から呑気な声が聞こえて来た。


 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...