異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り

銀塊 メウ

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第292話 少年の正体

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◆アーチの視点

 なになになに!?今度は何よ!
 スカーレットさんの行動には何度驚かされないといけないわけ!でもこの人は無意味なことはしない。
 

「えっ!?……ボクに何か?お姉さんのこと知らないよ」
 少年は首を傾げる。

「私も知らないわ。あなたはここで何をしているの。答えなさい!」

 スカーレットさん!?
 少年に高圧的な声で命令する。
 ちょっとそれはやり過ぎだよ。

 子供はびっくりして怖くてシクシクと静かに泣く。

 あ~もう!やっちまったよ。

「あの~、どう言うつもりですか、子供ですよ!そんな言い方ないんじゃないですか!」

 少年と一緒に居た若いシスターが庇うように前に出て、スカーレットさんを苦言する。

「あなたは黙っていなさい。私はその子と話をしているの、邪魔よ!」

 シスターは威圧され、うっ!となるが引かない。

 あ~もう!流石に止めないとマズイよね。

「あの~スカーレットさん……そのくらいにしません。みんな困ってますよ~」

 私は勇気を振り絞って抗議する。

「……………………」

 ひぇ~~何も返ったこないよ!?怒ってる?

「あっ…あの」
 私がもう一度声をかけようとすると肩を叩かれたので振り返るとティアが首を振っていた。

「ティアでもさ~」

「スカーレットさんには考えがあると思ってその子を確認したんだけど……その子から魂を感じないのよ」

「え!?それっておかしいよ!魂がない人なんていないよ!さっきみたいな分身でもないと……え!?嘘!」

 もしかして分身体、見た目じゃ全然分からないけど、ポーラン司教の件を体験したばから、否定はしきれない。でももしそうなら、わざわざこんなところに分身体を侵入させる目的は、情報収集…監視…それとも誰かの殺害……

 私は自然と戦闘態勢を取っていた。


「ちょっと待ってくれ、そんな訳がないだろ。この子は子供だぞ!それに魂がないなんて」

 ポーラン司教もおかしいと訴える。だけど言った!ティアは少年には魂を感じないと、熟練の聖職者は人の魂を見ることができ彷徨う魂を天へと返す。ティアは若輩ながらもその高い資質からスキルを習得している。だから彼は何かおかしい。



「あなた匂うのよ」
 
 いつの間にかミルキーさんが少年の横に移動している。何をするつもり?

 スーッと少年に手を伸ばす。


「触らないでくれる。お嬢さん」
 少年はミルキーさんの手首を弾く。
 
 さっきまでと違い冷たい声色が変わっている。


「あ!?…え?……クリスくんどうしたの?」
 シスターは少年の変貌に驚いていた。


「シスターのお嬢さん世話になったよ。しばらく居るつもりだったけど残念。帰らせてもらうよ」

「クリスく…ん………ガハッ」
 少年の腕がシスターに突き刺さっていた。


「あなた何やってるのよ!」
 私は急いで二人の方へ走ると、シスターが倒れそうになったので支える。シスターは気を失っており、刺された場所を見ると不思議なことに傷はなく血も出ていなかった。

 少年の方へ視線を向けると車椅子には少年は座っていなかった。怪我で足を悪くしていたのは嘘の様に普通に歩いていた。

 
「預けていた物を返して貰っただけだよ!ボクは礼を尽くすタイプだから、シスター…あなたは殺さないであげるよ!運が良かったね」

 純粋な少年の笑顔にも関わらず、私にはもうその顔は禍々しい不気味な顔にしか視えなかった。


「なんて禍々しい魔力、一体今までなんで気が付かなかったんだ!?」

 驚愕するポーラン司教、私も驚いていた。だって普通気配を消すにしても僅かに漏れる物、それにここは王都の教会、少なからずティアの様な探知スキルを有している者は絶対に居た。それでも今の今までバレずにいたことは人々の中に潜んでいても気づけない。いつ寝首をかかれてもおかしくない危険な状態と言っても過言ではない。


「恐らく……先程そちらのシスターから取り出した物、それがあなたを隠していたのですね」

 ティアが難しい顔をして考えながら喋る。


「んー!そうだね!もうバレちゃったし隠しておく必要もないか、良いよ教えてあげる。ボクは優しいからね!まずはこれを見てもらおうかな」

 少年は手に持っている紫色の水晶を掲げる。


「この水晶は魂の鳥籠、かつてボクが集めた多くの者達の魂が入れられている。ボクの目的は魂の収穫と教会の妨害、この水晶には実はさっきまでボクの魂も入っていたんだよ!さっきボクには魂を感じない。そう言ったけど、その通りさ。この少年は遠隔で操っていた。シスターの中からね!この水晶は中に入っていれば一切魂の気配を出さない。最高の隠れ蓑になるわけさ!………さてそろそろ良いかな。なんでボクがこんなにべらべらと自分の話をすると思う?」

 
 少年が言っている言葉の意味が私には最初分からなかった。でも異常な状態にすぐに気がつく。

………身体が動かない!?


「クックックッ、異変には気がついたかな?そうだ!自己紹介がまだだったよ。ボクは死の商人ペンダリー、魂を狩る者、この水晶は鳥籠だと言った。ではどうやって捕らえているのか、ボクは優しいから教えちゃうよ。この水晶の光を三十秒見ると身体の自由を奪われ、三分で幻、夢の世界へと誘い、十分で魂をこの水晶に吸い込む。君達に今から起こることさ、これの欠点は集中して水晶を見せること何だけど、みんな呆気ない。光る物があれば自然と見てしまう。あとはどうやって時間を稼ぐか、ちょっとお喋りするだけで引っかかる………」

 べらべらべらべらと勝ち誇った様に話し続ける。
 腹立たしいことこの上ない!だけど実際身体が動かないと、逃げるどころか視線すら外せない。このままじゃ………

 
 もうすぐ三分が経過するのだろう。頭がぼーっとして何も考えられなくなって来た。

 私は夢の中へと落ちて行く…………
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