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第302話 イリスと仲良し作戦
しおりを挟む俺は幻術のダメージが大き過ぎて本当は逃げ出したかったけどまともに動けず、目の前に女神が二人座ると言うあり得ない状況に陥っていた。
「アタタ……身体がまだ痛い気がする」
「しばらくは我慢することね。傷は実際にはないことを意識しなさい。そうすれば早く痛みが引くはずだから」
「う~そう言うことか、所詮これはボクの思い込みみたいなもんだからな、早く忘れれば痛みも引くか……」
でも、そんなに簡単に行くわけもなく、あれ程強烈なイメージをどうすりゃ忘れられるんだよ。
「イリス会いたかった~」
ヘカテー様は再びイリスに抱き着く。
「ヘカテー久し振りね。そろそろ帰った方がいいんじゃないかしら」
イリスさん、ヘカテー様今来たばかりですけど?
「いやーん!冷たい~!流石はクールビューティーイリスちゃんね!」
こっちは冥界の管理者なのにポジティブ、暗い感じとか全くしないけど、ホントこの人誰なんだよ!
「はぁ~言うだけ無駄ね。タクトを使って私の領域に入って来るなんて考えたわね」
「んふふ、そうでしょ!この為に使徒にしたんだから役に立ってもらわないと、契約による縁の繋がりを利用した逆召喚よ!面白いでしょ」
「えぇ悪くないわ。でも…私の領域に許可なく入ることは女神であっても許されることではなくてよ」
ひぃ~!?何だこりゃ~!
イリスから恐ろしく濃縮された魔力を感じる。
「うふっ…惚れ惚れしちゃう。あ~イリス、あなたを私の物にしたいわ~」
こっちはマイペースと言うか自己中と言うか、このままだとイリスがヘカテー様とケンカすることに!?
マズイ!マズイ!この二人がケンカしたら国とか普通に滅ぶぞ!なんとしても止めねば!
「あー、あー、ちゅうも~く!」
俺は出来るだけ大声で二人の意識をこちらに向けさせる。
この後どうする!現状ケンカになりかかっているが、実際怒っているのはイリスだけ、つまりイリスの機嫌さえ取れればこのケンカを止められる。
いつもなら高級な紅茶でも出せば九割方は機嫌を持ち直すが今回は難しいだろう。ならば!
「お二人共!久し振りの再会を祝ってこれでもどうでしょうか!」
俺はドンッと瓶を机に置いた。そして即座に栓を抜く。するとフルーティーな香りが周りを包み込む。俺が開けたのは白ワインでアロマティックワインと言われる香りを楽しみ癒される飲み物、今この時この香りはイリスの鼻腔をくすぐり徐々に凝り固まった顔をほぐしていく、フッフッフッ、イリスの顔はすでに怒りの顔から無表情を飛び越え笑顔に変わろうとしていた。
「ササッ、イリス飲もう飲もう!」
俺は手早くイリスにグラスを渡しワインを注ぐ。ここまでこればイリスの手は自然と動きワインは口の中へと、へっへっへ!勝ったな!
イリスは一口飲んで頬を綻ばされる。
あは~ん……チャ~ス!
俺はササササッとヘカテー様の横に行き耳打ちをする。
「ヘカテー様チャンスで御座います。イリスをご覧下さい。ご機嫌で御座いますよ。これはチャンスです!ここで一気に距離を詰めてしまいましょう」
「えぇぇーーどうすれば良いのかしら?イリスと仲良くなるにはどうすれば良いの!」
ヘカテー様はすがるように俺に助けを求めてきた。フッ、もちろんそれを断るなんてことはしない。これはオレにとってもチャンスなのだ!選択を誤るな!
「お任せ下さいヘカテー様、ボクの言う通りにすれば全て上手くいきます。良いですか?耳の穴をかっぽじってよ~く聞くように!」
ヘカテー様は必死に耳をほじる。
いや、本当にやらなくても、言葉のチョイスを間違いたと思いつつも、美人が必死になっている姿は少し笑えた。
「ヘカテー様、イリスは基本的にオシャレな物が好きです!あの見た目で意外かと思うかもしれませんが骨董品が好きで綺麗な物も好きですが渋いのいけると言うなかなかの感性の持ち主、何か良いものはお持ちてはありませんでしょうか」
「うっ…う~ん、そう言われてもな~、一体どんな物が良いのかさっぱりじゃ」
う~ん…う~ん…と頭を悩ませるヘカテー様、こう言う人は考え過ぎた結果何も出ないタイプだな。仕事でもいたな~頑張りが報われない人。
「仕方ありませんね!ここはボクが人肌脱ぎましょう!ボクは準備してまいりますので、ヘカテー様はイリスのお相手をお願い致します」
「え!?良いの~、私がイリスとお話して」
いやんいやんっとブリっ子風に身体をクネクネさせながら喜びを表現するヘカテー様、可愛いとは思うけど、さっき殺されかけたので白けた目でしか見られなくなっていた。
「はい!でもその前にアドバイスさせて下さい!イリス様は意外とお喋りなんです。だから出来るだけ話を聞いてあげて下さい。そして適度に相槌を入れ、相手の立場に立って気持ちに寄り添う。あと適度に質問を入れるのも良いでしょう。これを守ればヘカテー様の好感度はアップ間違いなし!そして最後にはヘカテー様からのプレゼント、これで相思相愛間違いなし!」
それを聞いたヘカテー様は、「ハァーー」っと天に召されるように感激されていた。
フッ…チョロい。
しかし油断は出来ない。一つのミスが死に直結するこの方は安心が全く出来ない。ここは慎重かつ大胆に行わなければならない。
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