異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り

銀塊 メウ

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第310話 恐ろしい状況

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◆タクトの視点

「その2人はギガース族の生き残りです。昔捕らえ調教を施していますが私の言うことしか聞かない狂暴かつ残忍な獣、相手のことなど何も考えない者達で御座います。お気をつけて下さい」

 目の前にその大男が立っている。
 ギガース族、聞いたことがあった。確か巨人の末裔と言われている種族で、その昔この国の支配権を奪う為に少数にも関わらず国に戦争を仕掛けた愚かな者達、でも一人一人の戦闘能力が高く思いの外苦戦したそうだ。流石に数の力には勝てなかったらしいけど、その恐ろしさは今でも語り継がれている。

 でもま~、見た目からしてこんなのに勝てるヤツいるのかって普通は思う。殴られたら車と衝突するのと変わらない衝撃が来るんだろうな。怖いな。

 ヘルメット、手袋、安全靴で戦闘開始だ!

 保護具を着用していると、真横を突風を放ちもう一人の大男が通り抜けた。振り返ると母さんが壁に叩き付けられていた。

「母さん!?……コノヤロー!」
 俺は母さんに駆け寄ろうとすると大男が俺を叩き潰そうと腕を振り上げる。

「タクトあぶない!」
 エメリアが飛び出し大男の胸の辺りに激突し体勢を崩す。俺は手袋から空間障壁を放ち大男のアゴを攻撃、突き上げる。さらにトドメとばかりにエメリアがその小さな身体から考えられない重い一撃を頭に落とす。

 大男は倒れ、え!?……立ち上がりやかった!?


「その者達の恐ろしいのは力もですが最も恐ろしいのは耐久力です。倒れてもすぐに立ち上がり敵に喰らいつく。まさに化け物ですよ。油断しないことです」
 
 アンデラは余裕顔で話しかけて来た。
 コンニャロ~!その澄まし顔を歪ませてやる!

 俺はハンマーを取り出し振り被る。

「喰らえ!ハンマークラッ……!?」

 腕が振り下ろせない!?
 見るといつの間にか腕に鎖が巻き付いていた。

 この鎖、コイツらを拘束するのに使っていただけじゃなく、武器だったのか!?

 ヤバい反応が遅れた!?
 俺の目の前に巨大な拳が迫っていた。


……………▽


◆ミルキーの視点

 この大男、私に触れて何の反応もない。
 私は掴まれた瞬間から『ペイン』を発動している。痛みを伝えているはずなのにこの反応、本当に嫌になる。このクズ共め! 

「痛感を遮断している」
 私はボソッと声を漏らす。

「ほぉー分かりますか、そうでしたね。あなたもまた闇に住まう者」
 それなりに離れているのに耳がいい、感心したようにアンデラは声を上げた。

「元です!勘違いしないで、私はあなた達とは違う」
 私は即座に否定する。もうあの世界には絶対戻らない。

「無駄な足掻きですね。この世界に足を入れれば出ることは出来ない。特に足どころか全身を突っ込んだあなたには……」

 私の目が自然と鋭くなる。コイツの言っている意味が痛いほど分かるから、多くの同胞が抜け出そうとして死んでいった。そして深く入り込むほどに抜けようとする意思すら奪われていく。誰も生きて出ることの出来ない世界、でも私はそれでも否定する。今ある私の小さな世界を守るために。


 この大男を見据える。
 この男は痛みを感じない。これは魔法によるものか、それとも外的要因、頭をイジられたか、麻薬による麻痺か、どちらにしても非人道的なことが行われたはず、嫌な気分よ。

 ペインが効かないこの状態からこの馬鹿力の拘束を解くのは難しい。私にとっては苦手な相手ね。

 私はどうやって抜け出そうかと思考を巡らせていると、視界に恐ろしい状況が入る。

 タクちゃんがもう一人の大男に殴られそうになっていたのだ。それに気がついた瞬間、思考が停止し身体が勝手に動き出す。全力で魔力を闘気に変え右腕に集中、さらに腕に纏った闘気を鋭く研ぎ澄まし形状を刃物に変える。

 私は腕を一振りで大男の指を切断、背中側にある壁を蹴り、大男のアゴを膝で蹴り上げ拘束から脱出する。

(タクちゃんに手を出すなー!)
 私はタクちゃんの下へ急いで向かう。


……………▽

◆再び戻りタクトの視点

 ヤバい!?頭が吹き飛ぶ!……大男の拳が迫る!

「タクトをイジメるなー!」

「エメリア!?」

 エメリアが拳の側面からぶつかり攻撃を防いでくれた。


「バキッ」……………「え!?」

 大男はもう片方の拳でエメリアを殴り地面に叩き落とした。地面にヒビが入るほど強く叩きつけられエメリアは何度も跳ねて転がっていった。死んでしまった………と俺の頭をよぎる。

 カーっと頭が熱くなり冷静さを失った俺は何も考えず身体を動かす。

 拘束された腕の手首を動かしハンマーを投げ、もう片手で受け取りそのまま振る。

「ガンッ」
 大きな音と衝撃が起き大男は吹き飛んで行った。

 俺は急ぎエメリアに駆け寄り声をかける。

「エメリア大丈夫か!?」

(くそー!俺のせいでエメリア……ゴメン…………ん?)

 エメリアはムクッと立ち上がり頭を両手で擦る。

「ううっ……いたい、タンコブできたよ~いたいいたい!」

 エメリアは泣き声で俺に飛びついて来たので、優しく抱きかかえる。

 あれ?あんなに強く叩きつけられたのにタンコブ程度で済んだの?エメリア頑丈過ぎじゃな~い!?驚きである。

 俺はエメリアの頭に絆創膏(ばんそうこう)を貼りこれで取り敢えず大丈夫。でも戦いはまだ終わっていない。結果的には大した怪我ではなかったけど、よくもエメリアをやってくれたな!絶対許さん!

 俺は怒りを込めて大男を見る。
 しかし、一気に熱が冷めていった。
 なぜなら、二人の大男は壁の角に縮こまって震えていたから……えーっとなにがあったの?
 
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