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第313話 懲りない冒険家
しおりを挟む「アーーーお~ち~る~」
廊下を歩いていると落とし穴に引っかかる。なんちゅう古典的な罠まで用意しやがって!
「タクト~だいじょうぶ~?」
エメリアが落下する俺の首根っこを掴み落下の速度を減速、ゆっくりと降りるが母さんは大丈夫だろうか?
「え~うっそ~!」何あの動き!?
母さんは四方の壁を順番に蹴りながら徐々に降下している。母さんそんなこと出来るの~?びっくりなんだけど……
「はぁ~……下がっちゃった」
落とし穴で誰も怪我をしなかったのは良かったけど、父さん達からは離れてしまった。エメリアの話だと父さん達は上の階に居るらしいから早く上に行きたいんだけど……落ちるばっかりもう二回目である。
「さて、どうしようかな。上がる階段どっちだろう?」
落ちた後部屋から出ると長い通路があるだけで、どっちに上がれる階段があるか分からない。テキトウに歩いて探すのはいい加減疲れた。なんとかして最短ルートで行きたい。
「あああああああああああ…………」
ん?……叫び声が聞こえた方を向くと、ゴロゴロと人が転がって来たので見送った。
「てぇ!なんで見送るのさ~!普通止めるものじゃないのか~い!」
また現れたか!どこぞの冒険家、毎度毎度神出鬼没過ぎるだろう。コイツ俺を追いかけているんじゃないだろうな~
「アンディーだって分かったからスルーしたんだよ!普通だろ」
「Oh No、タクトは相変わらず連れないな~、こんなところで会えるのも運命ってヤツだろ。ここは助け合うべきでは?」
相変わらずのマイペース、何で何事もなかった様に話しかけれる。その前に何か言うことはないのか!
俺はため息をしてから気を取り直して話を進める。
「アンディーお前はここで何をやっているんだ?」
ここは間違って来れるような所ではない。何か目的があってのことのはず。
「フッ!タクトくん、まだ私のことを分かっていないのかい、私は冒険者だよ。冒険しに来たに決まっているじゃないか」
はぁ~……と気のない返事を返した後、もう少し詳しく話を聞く。
アンディーは懲りずに危険を追い求めていた。この最近王都で様々な話が飛び交う中、気になって来てみたらしい。そしてアンディーのスキル『スレッド』でここを見つけた。アンディーは脅威を色で認識出来る。この場所が赤みがかっていたので入ってみたらいつの間にかここに閉じ込められたとのこと。正直アホである。
「そのうち死ぬぞ!ほどほどにしておけよ」
「もちろん死ぬつもりは毛頭ないさ。私としてもここをそろそろ出たいと思っていた。出口はどこか知っているかい」
「知らないよ!ボク達はここに閉じ込められて数時間だ!どうせアンディーの方が長いんだろ」
「もちろん!十日以上前に入っている。すごいだろ!」
自信満々に言うアンディー、そんなの自慢になるか!と言ってやりたいが、認めるべき部分もある。俺達が襲われた数々の罠を潜り抜け十日間も逃げのびた。確かにすごいことではある。
「ん!ちょっと待て!と言うことは、アンディー結構この建物のこと詳しいんじゃないか!」
「もちろん!私は冒険者だよ!この十日間でマッピングは完璧さ!」
「おお!スゲー、それなら上に行く階段の位置も分かるよな!」
「ノープロブレム、そんなの私にとっては当たり前さ!」
ナイス!ナイス!ナイス!
俺はアンディーを初めて尊敬するぜ!
これなら父さん達を追いかけれる。
「アンディー助かったよ!お前はサイコーだ!」
俺は感動のあまりアンディーを抱き締める。
ちょっとらしくない行動をしてしまった。
「タクトくん、こんな熱い抱擁をしてくれるのはとても嬉しいんだが離れてほしい。目の前が真っ赤に視える。このままだと死んじゃう」
何言ってるんだコイツ?そう思いアンディーの視線を追うと母さんが居た。いつもと違って張り付いたような笑顔を向けている。死んじゃうは言い過ぎだとは思うけど怖かったのですぐに離れる。
「あれ?でもさ~マッピングが完璧ならさっさと出ればいいじゃん!なんで出ないの?」
「いや~ま~完璧って言ったのは訂正させて貰うよ。まだ行っていない場所はある。たぶんその先に出口はあるんだ」
「う~ん、意味が分からないな~。今の言い方だと出口の近くまで行ったんだろ。なんで行かなかった?」
当然の疑問だ。つまりアンディーは出られるのに出なかったことになる。そこには何か理由がある。
アンディーは諦めたように言った。
「真っ赤なんだよ!出口と思われる道が、行けば必ず死ぬと断言出来る。死ぬと分かって行くほどバカではないのでね。色々と探っていたんだ」
「なるほど理解出来たよ。それで出口はどこにあるんだ?」
「最下階か最上階、そこに大きな扉がある。たぶんそこが出口だ。今なら最下階の方が近いがとうする?」
「それはダメだ!上の階に仲間が居るんだ。助けないで出るつもりはない」
「なるほど面倒事だな。とは言っても私には選択肢はないからな。私一人では出ることは出来ない。協力させて貰うよ。タクトくん」
アンディーが握手を求めて来たので、俺はそれに黙って応じた。みんな待ってろ!今行くぞ!
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