異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り

銀塊 メウ

文字の大きさ
321 / 407

第320話 最上階を通るには……

しおりを挟む

「タクト階段を登り切るなよ」
 アンディーは真剣な顔をしていた。と言うことはその言葉には意味がある。

「アンディー視えるのか?何色なんだ?」
「手前から徐々に赤みがかっている。奥は真っ赤を通り越して赤黒視える。間違いなく死ねるね」
「そうか……それは相当ヤバそうだな」
「もちろん、私でも楽しめない脅威だよ」

 俺はアンディに言われた通り、最上階には上がらず階段からその階の様子を見る。その階には何もなくただただだだっ広いだけ、でもその奥には扉が見えた。恐らくあそこがヘルホールから脱出口、ザックリだけど100m先ってところか。


「ん~……アンデラさんが何もしないとは思えない。それにこの部屋には不思議な気配が満ちている。なんだろう?」

 父さんは俺の横に立ちアゴに手を立てて考えている。元常闇のメンバーである父さんでも分からないみたい。


「何しているの?早く行きましょう」
 キョウカが俺の真後ろまで来て、なぜ進まないのか聞いてくる。

「どうもこの階は入るだけでも危ないらしいんだ。それが何でかはサッパリなんだけど。あとそろそろアイリスを離してやれ」

「何を怖気づいているのよ!そんなんじゃ~出られないでしょ。それにアイリスちゃんがかわいいんだから仕方ないじゃない」

 そう言いながらアイリスを降ろし、キョウカは魔眼を使い最上階を視る。

「これは……」
 キョウカは呟くように言って眉間にシワを寄せる。

「入らないで正解よ。たぶん扉に行く途中に死ぬわ」
 キョウカには分かったようだ。あんまりいい話は出なさそうだと俺は身構える。

「どうやったかは分からないけど、これは古代に失われたと言われるかなり希少な魔法、私も少しは使えるけど、これは別次元ね」

「キョウカ、それはどんな魔法だ?」

「う~んそうね。言うのは簡単だけど、私も絶対の自信がないから確認も込めて試しましょう」

 キョウカはポケットから紙を出すと、それに魔法をかけて紙飛行機を折る。

「いーい、しっかりと見ているのよ!」
 スーッと紙飛行機は飛んでいく。
 何事もないように飛んでいた紙飛行機に異常が起きたのはすぐのことだった。
 
 飛んでいた飛行機は変色しながら奥に進む、突然紙が破れだし落下するも地面に着く前に塵と化す。

「キョウカ……実験は成功か?」
 明らかに入るのが危険なのは分かった。問題はどう解決するか、頼む!キョウカなんとかしてくれ!

「成功よ。最悪だけどね。これは時魔法、この先に進めば進むほど時間の流れが早くなっている。出口の扉
まで行く間に、ここにいるみんなはおじいさんとおばあさんになるわね」

「キョウカ、冗談を言う余裕があるってことは、何か解決する方法があるんだよね?」

 恐る恐る聞いてみる。なぜなら俺にはそんな強力な魔法を何とかする方法を持っていない!頼む!

「私が冗談を言うタイプに見える。はぁー冗談を言わないとやっていけない気分になるほど追い詰められているのよ!こんなに強力な時魔法を見たのは初めて、対策としては自分の周りに時魔法の逆行する結界を張るか、時魔法を維持している核を破壊するかだけど、時間を遡られる魔法なんて大魔導師である私でも出来ないわ!核についてもこの奥にあると思うから手の出しようがないの、完全に手詰まりよ!」

「そんなに怒っていうなよ。別に責めてないぞ!」
 キョウカは自分にも使えない魔法が使われていたからなのか、喋りながらだんだんイラつきだしており、このままだととばっちりが来そうだったので釘を刺しておく。

「フン!私だっていつかは使えるようになるんだから!あのアンデラって人には負けていないわよ」

 キョウカって負けず嫌いだったのか、気は強そうだけど意外だ。こちらの世界に来て魔術師としてのプライドが出来たのかもな。

「キョウカさん、気にしなくていいと思いますよ。アンデラさんは魔術師ではありません」
 そこに父さんが会話に入って来た。

「え!?ブラックさん違うんですか?ならこれは別の人が……」

「ん~それはなんとも言えませんが、これはもしかしたら古代の遺産、神具と言われる道具を使ったのかもしれませんね」

 それを聞いたキョウカは納得したようで機嫌を直していた。それは良かったのだが問題はキョウカでもどうにもならない魔法がかけられた場所をどうやって通ればいい?

 頭を巡らせるも良い方法が思いつかない。
 この際配管で空間転移を………あ!?なんでこんな簡単なことに気が付かなかったんだ。俺はみんなに話をする。

「あんたバカ?」
「はい、すいません……」

 心底呆れた顔でキョウカに罵倒され、俺は反射的に謝る。

「そんなことここに閉じ込められた時にすぐに思いついたわよ!ただね~ここは元の世界と断絶された異界なの、空間転移は出来るでしょうけど出られるか分からないし、運が悪ければ異空間の果ての果てに飛んでいくわよ。リスクが高過ぎるわ!」

「はい、すいません」
 ちゃんとした理由を聞くと余計に落ち込む。そうだよね~そんな簡単なこと誰でも思いつくもんね~。

 ガックリしていると背中がゾクッとして、目の前に居るキョウカの顔が強張っている。……ヤバい。

「キョウカ、あのさ……」
「ちょっと待って私に言わせて!さっきのは悪くない考えよ!考えてみれば、私が扱う空間転移とあなたの使う配管の空間転移は必ずしも同じではないわ。いえ!タクトはすごいからきっと空間転移で脱出出来るわよ!」
「えーーホント、そんなに褒めてくれると嬉しいな~アハハハ……」

 背中に感じていた寒気が徐々に消えていく。キョウカ悪いけど、母さんの前で俺を罵倒するのは止めてね。

 この後、階段に座りみんなでこの場所を通る方法を話し合ったが解決策はなかなか出なかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...