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第349話 王都奪還作戦開始
しおりを挟む「皆様、この作戦が始まれば時間との勝負となります。つつがなく作成を遂行するため最終確認をそれぞれで進めてください」
王都奪還作戦が始まろうとしている。
作戦参加者は教会に集合している。
バロンさんと父さんは最後の調整とそれぞれのリーダーとなる方に話しをしに行っている。
はぁ~ソワソワする。戦場に出る前ってこんな感じか~今まで感じたことがないや。このまま戦場に出るのはマズイよな。早く落ち着かせないと。
俺がソワソワしているとそこにバロンさんがやって来た。
「やぁ!タクトくん調子はどうかな」
「バロンさん、体調は問題ありませんけど、ちょっと緊張してきました。ハハッ」
「そうなのかい?以前ノルンが攫われた時にタクトくん一人でシャンクス侯爵のところに突っ込んでいったじゃないか、それに比べればなんてことないと思うけど?」
「あの時は勢いで行っちゃったから、こんなこと考える余裕も時間もなかったんですよ!だから今日は心臓がバックバクですよ」
「嬉しいね!つまりそれだけノルンのことを想ってくれたわけだ。タクトくんノルンのことはいつでも貰っていっていいから私に言ってほしい」
「バロンさん、そんなこと言ったらノルンに怒られますよ」
「そうかな~私は喜ぶと思うけど、ま~この話はまた今度にして、今日は生き残るための話をしようか、タクトくんには王城に向かってもらうけど、君には敵主力を相手にしてもらう。正直な話、子供である君にこのようなことを頼むのは間違っていることは分かっている。だけど君の力は強大だ!君が居ると居ないでは戦局に大きく影響するだろう。だから………」
「バロンさん、良いですよ!そんなことは気にしてはいませんから、それよりも気にるのは逢魔の扉の先にある何か、これを既にボルジア公爵が開けていたら……」
「でもそれはないはずだ。彼は鍵である太陽の指輪を持ってはいない。安心し過ぎるのも良くはないだろうけど、大丈夫だと思うよ」
「えーそれは分かってるんですけど」
嫌な予感がするんだよな~。あのアトラスと言う少年を思い出すと、何か想定外のことをやって来そうな気が………いや、今は考えても仕方ないことか、とにかくその場所を先に抑えておきたい。
「不安な気持ちは分かる。だが今は気持ちを切り替えなさい。もうじき移動を開始する」
バロンさんの口調が変わった。いけない!俺がウジウジと考えてるから怒らせてしまったか。
「はい!すいませんでした。余計なことを言って」
「いや、分かってくれれば良い。タクトくん……戰場では迷うなよ!一瞬の迷いがその後を左右することがある」
重い言葉だ。これは幾つもの戰場を経験した者の言葉、俺程度ではまだまだその真意は汲み取れきれないだろう。しかしバロンさんの言葉の想いを受け取り、気合が入った。俺は今から戰場に出ると。
「それでは王城と大聖堂のメンバーにそれぞれ分かれてください」
父さんの号令で俺とカンナの傍に集まって行く。
なぜかと言うと空間転移が出来るのは俺達だけだから。
俺について来るメンバーは王城に向かい。
カンナについて行くメンバーは大聖堂に向かう。
一時的にカンナと別れるのは俺としては戦力ダウンに繋がるがこればかりは仕方がない。
「それじゃ~行きますかー!」
俺は気合いを入れて配管を設置、大人数が移動できるように直径十メートルまで穴を広げた。
バロンさんの号令で一気に穴の中へ進む。
移動する先は王城の敷地内、衛兵が見回りをしていると思うが、見つけ次第ビスでロック(空間固定)してやる!
配管の中を走り抜け出た先には……
「な!なんだこりゃ~」
周りが真っ白になっており視界がかなり制限されていた。他の人達も驚いているが、すぐに戦闘態勢を取り周りを警戒していた。
「これはたぶん……キョウカ、これって魔法だよな」
俺は魔法の専門家であるキョウカに確認を取る。
キョウカは俺の横に移動、相変わらずのスタイリッシュなスーツ姿は異世界では違和感バリバリであるが、大魔導師スキルを授かった。天才魔導師様だ。
「えぇ、これは魔法で霧を作ったのね。気をつけて毒ではないけど、この霧から術者はすでに察知しているはずよ!いつ攻撃が来てもおかしくないわ」
キョウカはそう言って袖から魔法の杖を出す。
この世界ではロッド、腕ほどの長さの杖で魔法の力を宿した王笏のようなものが一般的であるが、キョウカの魔法の杖はハリーポッターで使われるような、短くて手に持ちやすい杖を使用している。
「了解!警戒を怠るなってか」
全員が警戒しながら歩き出そうとした時だった。遠くから声が聞こえる。しわがれた、かすれた様な老婆の声が、どこからか全く分からない。俺には全方位から聞こえる様に感じたが、それはないだろう。なぜならこの声は数人どころではない何十人もの声で聞こえたから、そんな人数の婆さんがこんな所に居るわけがない。
「タクト耳を閉じて、この声も魔法よ!」
「なんだって!?」
キョウカの指摘に驚きつつもすぐに言われた通りに耳を塞ぐ。この声を聞いたらどうなるかは分からないが、魔術師がすることだ。恐らく聞けば催眠術をかけられ操れれるか、それとも混乱状態にされ仲間同士で
争わされるかもしれない。耳を閉じた状態で戦わないといけない。かなり危険な状態だな。
真っ白な景色の中で老婆の笑い声が不気味に響き渡っていた。
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