輪廻の契り

６ らぎの記憶

　らぎが不老不死となり、やがてアンドロイドへと変わるまでには、果てしない時間と苦悩があった。

　最初に感じたのは、肉体の限界。りりんに触れたことで不老不死になった身体は、りりんと離れている間に、怪我や病気から逃れられず、時代が進む中で、人間という枠を超えていった。

「りりんにもう一度会いたい」その一心で、壊れた内臓を人工物に置き換えながらも、生きることをやめなかった。

　時には記憶を失いそうになりながらも、彼はりりんとの記憶だけは必死に保存し続けた。数百年の旅路の果てに、彼はりりんの眠る場所へと戻ったのだった。

「俺には、りりんしかいなかった……」

　そしてその手でりりんを再び目覚めさせた時、彼はもう人ではなかった。けれどその心は、間違いなく、彼のままだった。