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第二章
豚の生姜焼きと、大澤の心情⑤
「お待たせしました」
キッチンに置いてあるコンパクトサイズのダイニングテーブル。
そこに、山田さんの作った料理が並べられていく。
箸置きに、箸が置かれる。当然俺の家にはなかったから、彼女が持持参したものだ。
てきぱきとした手つきであっという間に完成した、二人分の手作りの食事。こんな光景はいつぶりだろうか。
それなりに恋愛もしてきたつもりだが、この部屋に女性を招いたことは多分一度もない。
自分から俺にアプローチしてくるような女は、外見に自信があってプライドの高いタイプがほとんどだ。
家でくらい俺も、鎧を脱いで寛ぎたかった。
そう考えると、今まで付き合ってきた子達には心を開ききれていなかったのかもしれないと思った。
山田さんには、不思議な魅力がある気がする。戦意を削がれるというか、実家感なんて言うと失礼だろうか。
「いい匂い」
ふわりと鼻腔をくすぐる、甘い生姜の香り。
「豚の生姜焼きです。お肉が好きだとおっしゃっていたので」
「うん。それに生姜焼きも結構好き」
「よかったです」
安心したように笑う山田さんは、素直で可愛い。
「ビールにも合いそう。飲んでも大丈夫?」
「さっき冷蔵庫を開けさせてもらった時、一応ビールグラスを冷やしておきました。勝手をしてしまったかなと思ったんですけど」
「いや、嬉しいよ。ありがとう」
「はい」
俺が肯定の言葉を口にするたびに、山田さんはいちいち嬉しそうだった。
よっぽど社内で否定されてきたのかと思うと、あの掴みどころのない飄々とした庶務課の部長を今すぐぶん殴ってやりたくなった。
「いただきます」
「いただきます」
自分の部屋に誰かがいることに、若干の違和感を感じている。
それでも思ってたよりずっと、マイナスの感情は湧かなかった。
キッチンに置いてあるコンパクトサイズのダイニングテーブル。
そこに、山田さんの作った料理が並べられていく。
箸置きに、箸が置かれる。当然俺の家にはなかったから、彼女が持持参したものだ。
てきぱきとした手つきであっという間に完成した、二人分の手作りの食事。こんな光景はいつぶりだろうか。
それなりに恋愛もしてきたつもりだが、この部屋に女性を招いたことは多分一度もない。
自分から俺にアプローチしてくるような女は、外見に自信があってプライドの高いタイプがほとんどだ。
家でくらい俺も、鎧を脱いで寛ぎたかった。
そう考えると、今まで付き合ってきた子達には心を開ききれていなかったのかもしれないと思った。
山田さんには、不思議な魅力がある気がする。戦意を削がれるというか、実家感なんて言うと失礼だろうか。
「いい匂い」
ふわりと鼻腔をくすぐる、甘い生姜の香り。
「豚の生姜焼きです。お肉が好きだとおっしゃっていたので」
「うん。それに生姜焼きも結構好き」
「よかったです」
安心したように笑う山田さんは、素直で可愛い。
「ビールにも合いそう。飲んでも大丈夫?」
「さっき冷蔵庫を開けさせてもらった時、一応ビールグラスを冷やしておきました。勝手をしてしまったかなと思ったんですけど」
「いや、嬉しいよ。ありがとう」
「はい」
俺が肯定の言葉を口にするたびに、山田さんはいちいち嬉しそうだった。
よっぽど社内で否定されてきたのかと思うと、あの掴みどころのない飄々とした庶務課の部長を今すぐぶん殴ってやりたくなった。
「いただきます」
「いただきます」
自分の部屋に誰かがいることに、若干の違和感を感じている。
それでも思ってたよりずっと、マイナスの感情は湧かなかった。
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