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第三章
アサリのお味噌汁と、甘い一夜⑯
「山田さん、今日ってなにか予定ある?」
だし巻き卵に箸を入れながら、大澤係長が私に尋ねる。
(山田さん、か…)
元に戻るに決まってる。私だって朝一番大澤係長って呼んだし、名前で呼んでと言われてもきっと無理だ。
ーー来未
甘ったるくて優しい、響き。
その声とセットでまた昨日の係長の顔が浮かんできて、顔に出ないよう必死に奥歯をギューッと噛んだ。
「今日は、特に予定はありません。今日というか、毎日ですけど…アハハ」
恥ずかしくて誤魔化したけど、大澤係長は特に気にしていないみたいだった。
「山田さんさえよければ、どこか出かける?」
「えっ」
「よければだけど」
「で、でもせっかくの休日を私なんかと過ごすなんて…」
嫌な言い方をしてしまったかもしれない。だけど、仕事もしてない私と完璧な大澤係長じゃ、どう考えてもつり合わない。
「いや、考えてみれば山田さん嫌だよな。部署は違えど元上司だし、気遣うか」
「い、いえそんなこと…っ」
なんとなく、微妙な空気に包まれる。
私が余計なことを言ってしまったせいだと、ガックリと肩が下がる。
係長と過ごす毎日は、自分でもびっくりするくらいに楽しい。
それでも、ふとした瞬間に思ってしまう。
私と係長は、住む世界が違うって。
職をなくした私を不憫に思って、住まわせてくれた。
昨日のこともきっと、係長にとっては流れというかその場の雰囲気っていうか。そういうものの一環なんだと思う。
(昨日のけことは、どんな気持ちで)
恋人でもなんでもない私には、そうして係長の気持ちを確認する資格すらない。
それに私自身だって、自分の気持ちが分からない。
係長のことは尊敬してるし感謝もしてる。本当に素敵な人だとも思う。
だけど、それだけ。
(恋愛感情なんて、持っちゃダメ)
昨日のことはいい思い出として、胸にしまわなきゃダメなんだ。
だし巻き卵に箸を入れながら、大澤係長が私に尋ねる。
(山田さん、か…)
元に戻るに決まってる。私だって朝一番大澤係長って呼んだし、名前で呼んでと言われてもきっと無理だ。
ーー来未
甘ったるくて優しい、響き。
その声とセットでまた昨日の係長の顔が浮かんできて、顔に出ないよう必死に奥歯をギューッと噛んだ。
「今日は、特に予定はありません。今日というか、毎日ですけど…アハハ」
恥ずかしくて誤魔化したけど、大澤係長は特に気にしていないみたいだった。
「山田さんさえよければ、どこか出かける?」
「えっ」
「よければだけど」
「で、でもせっかくの休日を私なんかと過ごすなんて…」
嫌な言い方をしてしまったかもしれない。だけど、仕事もしてない私と完璧な大澤係長じゃ、どう考えてもつり合わない。
「いや、考えてみれば山田さん嫌だよな。部署は違えど元上司だし、気遣うか」
「い、いえそんなこと…っ」
なんとなく、微妙な空気に包まれる。
私が余計なことを言ってしまったせいだと、ガックリと肩が下がる。
係長と過ごす毎日は、自分でもびっくりするくらいに楽しい。
それでも、ふとした瞬間に思ってしまう。
私と係長は、住む世界が違うって。
職をなくした私を不憫に思って、住まわせてくれた。
昨日のこともきっと、係長にとっては流れというかその場の雰囲気っていうか。そういうものの一環なんだと思う。
(昨日のけことは、どんな気持ちで)
恋人でもなんでもない私には、そうして係長の気持ちを確認する資格すらない。
それに私自身だって、自分の気持ちが分からない。
係長のことは尊敬してるし感謝もしてる。本当に素敵な人だとも思う。
だけど、それだけ。
(恋愛感情なんて、持っちゃダメ)
昨日のことはいい思い出として、胸にしまわなきゃダメなんだ。
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