死に戻りぽっちゃり双子、悪役お姉様を味方につける。

清澄 セイ

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第三章「仲間を増やそう大作戦」

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「なんだか、悪女みたいには見えないわね……?」
「弟妹にも冷たく当たっているという噂は本当なのか?仲が良さそうに思えるが」
 ざわざわと騒ぎ出す周囲を見て、作戦は大成功だと二人はご満悦の表情を浮かべる。本当のリリアンナは表情豊かで弟妹を溺愛する心優しい人なのだと、皆にも分かってほしかった。
 これは死亡回避とは関係のないことかもしれないけれど、自分達を守ってくれた姉が悪女だと勘違いされたままなのは、どうしても嫌なのだ。
 そうして少しずつ本当の姿を知ってもらえれば、いつか両親の誤解も解けるはず。まだ幼く純粋な双子は、そんな儚い未来を夢見ている。
「だけど、これは僕達の本心だからね?」
「そうよ!演技なんかじゃなくて、本当にお姉様が大好きなの!」
 ふっくらもちもちの頬を赤く染め、瞳をうるうるさせながら懇願する可愛い弟妹を、誰が邪険に出来ると言うのだろう。すっかり能面モードが機能しなくなったリリアンナは、堪らず二人を思い切り抱き寄せる。
「私も大好きよ、ルシフォード!ケイティベル!」
 滑らかなアッシュブラウンの髪が顔にかかって、少しくすぐったい。いつの間にか周りの目などどうでも良くなった三人は、しばらく幸せそうに身を寄せ合っていた。


♢♢♢
 本日も桃色のお揃いの衣装に身を包んだリリアンナ、ルシフォード、ケイティベルの三人。屋敷を出る前にこれでもかというほどに弟妹を褒めちぎったリリアンナは、まだまだもっと足りなかったと内心後悔しながら、豪奢に光り輝く宮殿を見上げた。
「いつ見ても凄いね……」
「お花のいい香りがするわ」
 ぽっちゃり双子はキョロキョロと視線を彷徨わせ、くんくんと鼻を引くつかせる。相変わらず見た目だけは完璧悪女なリリアンナだが、最近ではそれもすっかり崩壊し掛けている。
 今日は数ヶ月に一度義務的に呼ばれる、彼女の婚約者レオニルとの面会日。顔を合わせたところで大して会話も弾まず適当にお茶をするだけの時間なので、リリアンナはそれをいつも申し訳ないと感じていた。
 レオニルに特別な感情はないが、婚約者である以上完璧にその役をこなそうと必死に努力してきた。その結果淑女としての振る舞いは素晴らしく、先に控えている妃教育についても自信がある。けれど内向的で不器用な性格が災いして、友人はおろか世間話をする付き合いすら出来ないまま。悪女としての評判だけが広まっていき、それを否定する気概もない。
 確かに彼は自分に冷たいが、それも致し方ないことだとリリアンナは諦めている。自分だけなら、それで良かったのだ。
「安心して、きっと私が上手くやるから」
 今は愛する弟妹の命が掛かっていると、並々ならぬ気合いを胸に燃やしている。

 ルシフォードとケイティベルの記憶では、十歳の誕生日パーティーが催された夜、リリアンナはレオニルとの婚約を円満解消し、新たに外国の第二王子であるエドモンドと婚約を結び直すと宣言した。そして、ケイティベルがレオニルの新しい婚約者にすげ替えられた。
 あの時は何が何やらさっぱりだったが、今はリリアンナが外国への輿入れを泣いて嫌がった妹の為に動いたのだろうと理解出来る。問題はなぜ、レオニルがそれを了承したのかという点。今回はそれを探る為、三人はまるで物語に名探偵を気取るようにびしっ!とポーズを決める。お付きの侍女だけが、意味が分からないという表情で大きく首を傾げていた。
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