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第七章「信頼できるトモダチ」
③
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ーー次の日の放課後、わたしは嫌がるロン君を無理やり引っ張って家まで連れてきた。
今日一日周りからの視線が痛すぎて、めちゃくちゃ過ごし辛かった。そしとそれは、ロン君も一緒だったと思う。
担任の汐留先生や他の先生達が気をつかってくれて、昨日の件についてはおもしろおかしくウワサしないようにって、注意もしてくれた。
友達もそばにいてくれたし、誰かになにかされることはなかったけど。
「三ツ星さんってやっぱり、人狼なのかな…」
みんなの中では、先輩達が流したあのウワサの信ぴょう性が増したみたいだ。
お父さんとお母さんは、私と一心君を心配して数日間お店を休みにしてくれた。
いつもと違って静かな店内にロン君を案内すると、彼はブスッとした様子でカウンター席に腰かける。
「わざわざこんなところまで連れてきて、なんの用?二人で俺のこと責めるため?」
いつもの張りついた笑顔は、どこにもない。なんとなくだけど、わたしはこっちのロン君の方が話しやすいと思う。
いつもの作り笑顔は、彼の本当の気持ちを隠してる気がするから。
一心君も、無表情でテーブル席に座った。
「いろいろ聞きたいことはあるけど、一番はお礼を言いたかったの。学校じゃみんなの目もあるし、ゆっくり話せないから」
「お礼?一体なんの?」
「わたしを助けようとして、追いかけてきてくれたでしょう?」
落ちる直前に聞こえた、わたしの名前を呼ぶ声。あれは確かに、ロン君のものだった。
「ありがとう、ロン君」
「…別に」
ブスッとしたその言い方が、一心君そっくりで。わたしは思わず、クスッと笑ってしまった。
それからロン君は、昨日起こった出来事をわたし達に話してくれた。
まず、わたしの背中を押したあの女子は、一心君達と同じ【ウルフマン】のメンバーだったらしい。二人と面識はなかったみたい。
今のグループのリーダーは、ロン君のお父さん。指示されてやったのかどうかは、分からない。
「今グループは、半々に分かれてる。父さんのやり方に賛成してる側と、反対してる側。どっちにとっても、一心は重要な存在ってわけ。賛成側からすればジャマだし、反対側からすれば新しいリーダーになってもらいたいってとこかな」
「一心君が、新しいリーダーに…」
「なんといっても、あの心吾(シンゴ)さんと心さんの息子だからさ」
ロン君は、わざと茶化した言い方をする。一心君はずっと黙ったまま、テーブルを睨みつけていた。
「ロン君は、大丈夫なの?」
「は?俺?」
「だって、お父さんに反対してる人もいるんでしょう?キケンな目にあったりしない?」
詳しいことは、わたしにはよく分からない。だけど中には、カゲキな手段を使おうとする人もいるかもしれないから。
「…ホント日向ちゃんって、おめでたい思考してるよね」
シンと静まり返った店内に、ロン君のかわいた笑い声が響く。
「俺だって、日向ちゃんを追いつめた張本人なんだよ?そんなヤツの心配するなんて、どうかしてるって」
「だって、一心君がロン君を信じてるから。だからわたしも、同じように信じるよ」
なんとなくだけど、そう感じる。もしかしたら一心君は、ロン君がいるから心さんはまだ安全だって、思えるのかもしれないって。
なにかあったらきっとすぐ知らせてくれるって、そう思ってる気がする。
「…お前、逆なんだろ」
さっきまで黙ってた一心君が、ポツリとそんなセリフを呟いた。
「コイツや俺がなにかされないように、見張ってたんだろ?」
「えっ、ええ…っ!」
わたしは驚いて、思わず声を上げる。わたしのことを嫌いだと思ってたロン君が、本当はわたしを守ってくれてたってこと!?
「そうじゃなきゃ、やり方が遠回りすぎる」
そう言われてみれば確かに、ロン君からは直接何かをされたことなんてなかった。
しょっちゅうわたしのところに来てたのは、周りの人達を嫉妬させるためなんかじゃなくて、あの女子からわたしの身を守るためで、先輩達に呼び出された時そばにいたのも、ずっと様子を伺ってくれてたってこと…?
目をまん丸にしながらロン君に視線をやると、ものすごく嫌そうにチッ!っと舌打ちされた。
「勘違いしないでくれる?俺、人間は大っ嫌いだから。一心のためになると思うことをやってるだけだし、アンタなんか眼中にないからね」
「は、はい。分かりました…」
「フンッ」
そこまで人間が嫌いなのに、一心君のために学校にまで通って、頑張ってたんだ。
そう思うと、勝手に頬がゆるんでしまう。
「ちょっと!なにニヤニヤしてんの!?」
「アハハ、ごめんね」
あんなに怖い目にあった後なのに、不思議ともう平気。二人がいてくれるからなんだと思うと、ロン君のこともやっぱり憎めない。
「お前は昔から、やり方が分かりにくい」
「一心に言われたくないんだけど」
一心君、ロン君の前だと素をさらけ出してるように見えて、ちょっとだけヤキモチやいちゃうかも、なんて。
「わたし、なにか作ってくるね!」
パチン!と手を叩いて、イスから立ち上がる。
「もちろん、ロン君もたべていってね?」
「は?俺は別に…」
「いいからいいから!」
わたしがいたら、できない話もあるかもしれない。そう思って、わたしはタタッとその場から離れたのだった。
「…ねぇ一心。日向ちゃんってホント、変わってるよね。どこにでもいる、普通の子に見えるのに」
「……」
ロン君がわたしの背中をジッと見つめてることにも、そんな彼に一心君が複雑そうな表情を向けてることにも、わたしは全然気づかない。
よし、なにを作ろうかって、そのことで頭がいっぱいだった。
キッチンに到着したわたしは、お母さんから買ってもらったタブレットスタンドに、タブレットをはめる。これすごく便利で、レシピを見ながら作るためにいつもキッチンに置いてるんだ。
「よし。パニーニを作ろう!」
パニーニっていうのはイタリアのホットサンドみたいなもので、パニーノとも言うらしい。波型の鉄板で長細いパンを挟んで、温かくして食べる。
といってもウチに専用の鉄板はないから、普通に売ってるロールパンとフライパンで、簡単パニーニ風サンドを作る。
まず用意するのは、ロールパン。横に切り込みを入れるんだけど、全部切らないで少しつなぎ目を残しておく方が、具が挟みやすい。
パンが用意できたら、中にマスタードを塗って、半分に切ったハムとチーズを挟んで、ケチャップをかける。
そうしたら熱したフライパンにバターを溶かして、パンを投入。フライ返しで押しつけるようにして、焼き目がついたらひっくり返してまた押しつける。
焦げないように気をつけながら、ぺったんこのカリカリになったら出来上がり。
半分に切ると中からチーズがとろけて、思わずつまみ食いしたくなるくらいおいしそう。
「よし、二人のところに持っていこう!」
エプロンを外しながら、わたしはウキウキした気持ちで再びお店へと戻った。
「おいしい……」
初めはいらないってキョヒしてたロン君も、一心君がパクパク食べてるのを見て、おそるおそる手を伸ばす。
一口かじって、目を細めたまま驚いたようにそう呟いた。
「ホント?よかったぁ!」
ホッとして、笑顔がこぼれる。ロン君はわたしからプイッと視線を逸らすと、勢いよくパニーニ風パンを食べてくれた。
あっという間に彼のお皿はキレイになって、まだ残ってるわたしのパンをジーッと見つめてる。
「よかったら、これも食べる?」
「しかたないから食べてあげ……ウッ!」
ロン君がこちらに手を伸ばした瞬間、一心君が手の平で彼の顔を思いっきり押さえつけた。
「いったいな!なにすんの一心!」
「お前はうるさいから、もう帰れ」
「はぁ!?日向ちゃんがどーしても来てほしいって言うから、俺はわざわざ来てあげたのに!」
「もういいから、さっさと帰れ!」
二人とも立ち上がって、言い合いをはじめた。なにがどうして急にこうなったのか、全然分からないから、オロオロすることしかできない。
「ふん、もういいよ帰るから」
ロン君は一心君に向かって、ベーッと舌を突き出した。
「あっ、ありがとう。ホントにいろいろ」
「そうだよ日向ちゃん。もっと俺に感謝してよね」
「そんな必要は全くない」
「もう!一心はさっきからなんなの!」
プリプリ怒ってるロン君は新鮮だ。やっぱり二人は、仲良しみたい。
ロン君はそのままお店を出ようとして、直前でピタッと足を止める。
「…ちゃんと守れなくて、ごめんね」
振り向かないままそう言って、答えるヒマもないまま彼は行ってしまった。
キレイになったお皿を片付けながら、ついフフッと笑ってしまう。二人がどんな会話をしてたのかは分からないけど、モヤモヤがなくなればいいのにって思う。
「……」
パシッ
急に、一心君に手をつかまれる。ビックリして顔を上げると、拗ねたように唇を尖らせた一心君と視線が絡んだ。
吸い込まれそうなくらい、キレイな瞳。
しかも、めちゃくちゃ距離が近い。
「あ、あの…っ、一心、君…?」
心臓が猛ダッシュしはじめて、ドキドキしてどうしようもできない。最近、一心君に触れられるといつも、自分が自分じゃなくなったみたいに感じる。
上手く、しゃべることすらできない。
「…これは、俺が片付けとく」
一心君はそう言って、パッとロン君のお皿を取ると、自分の分と一緒に持っていってしまった。
「ぷはぁ…っ、ビ、ビックリしたぁ……」
なぜか息を止めていたわたしは、ドキドキと一緒に思いっきり空気をはき出したのだった。
今日一日周りからの視線が痛すぎて、めちゃくちゃ過ごし辛かった。そしとそれは、ロン君も一緒だったと思う。
担任の汐留先生や他の先生達が気をつかってくれて、昨日の件についてはおもしろおかしくウワサしないようにって、注意もしてくれた。
友達もそばにいてくれたし、誰かになにかされることはなかったけど。
「三ツ星さんってやっぱり、人狼なのかな…」
みんなの中では、先輩達が流したあのウワサの信ぴょう性が増したみたいだ。
お父さんとお母さんは、私と一心君を心配して数日間お店を休みにしてくれた。
いつもと違って静かな店内にロン君を案内すると、彼はブスッとした様子でカウンター席に腰かける。
「わざわざこんなところまで連れてきて、なんの用?二人で俺のこと責めるため?」
いつもの張りついた笑顔は、どこにもない。なんとなくだけど、わたしはこっちのロン君の方が話しやすいと思う。
いつもの作り笑顔は、彼の本当の気持ちを隠してる気がするから。
一心君も、無表情でテーブル席に座った。
「いろいろ聞きたいことはあるけど、一番はお礼を言いたかったの。学校じゃみんなの目もあるし、ゆっくり話せないから」
「お礼?一体なんの?」
「わたしを助けようとして、追いかけてきてくれたでしょう?」
落ちる直前に聞こえた、わたしの名前を呼ぶ声。あれは確かに、ロン君のものだった。
「ありがとう、ロン君」
「…別に」
ブスッとしたその言い方が、一心君そっくりで。わたしは思わず、クスッと笑ってしまった。
それからロン君は、昨日起こった出来事をわたし達に話してくれた。
まず、わたしの背中を押したあの女子は、一心君達と同じ【ウルフマン】のメンバーだったらしい。二人と面識はなかったみたい。
今のグループのリーダーは、ロン君のお父さん。指示されてやったのかどうかは、分からない。
「今グループは、半々に分かれてる。父さんのやり方に賛成してる側と、反対してる側。どっちにとっても、一心は重要な存在ってわけ。賛成側からすればジャマだし、反対側からすれば新しいリーダーになってもらいたいってとこかな」
「一心君が、新しいリーダーに…」
「なんといっても、あの心吾(シンゴ)さんと心さんの息子だからさ」
ロン君は、わざと茶化した言い方をする。一心君はずっと黙ったまま、テーブルを睨みつけていた。
「ロン君は、大丈夫なの?」
「は?俺?」
「だって、お父さんに反対してる人もいるんでしょう?キケンな目にあったりしない?」
詳しいことは、わたしにはよく分からない。だけど中には、カゲキな手段を使おうとする人もいるかもしれないから。
「…ホント日向ちゃんって、おめでたい思考してるよね」
シンと静まり返った店内に、ロン君のかわいた笑い声が響く。
「俺だって、日向ちゃんを追いつめた張本人なんだよ?そんなヤツの心配するなんて、どうかしてるって」
「だって、一心君がロン君を信じてるから。だからわたしも、同じように信じるよ」
なんとなくだけど、そう感じる。もしかしたら一心君は、ロン君がいるから心さんはまだ安全だって、思えるのかもしれないって。
なにかあったらきっとすぐ知らせてくれるって、そう思ってる気がする。
「…お前、逆なんだろ」
さっきまで黙ってた一心君が、ポツリとそんなセリフを呟いた。
「コイツや俺がなにかされないように、見張ってたんだろ?」
「えっ、ええ…っ!」
わたしは驚いて、思わず声を上げる。わたしのことを嫌いだと思ってたロン君が、本当はわたしを守ってくれてたってこと!?
「そうじゃなきゃ、やり方が遠回りすぎる」
そう言われてみれば確かに、ロン君からは直接何かをされたことなんてなかった。
しょっちゅうわたしのところに来てたのは、周りの人達を嫉妬させるためなんかじゃなくて、あの女子からわたしの身を守るためで、先輩達に呼び出された時そばにいたのも、ずっと様子を伺ってくれてたってこと…?
目をまん丸にしながらロン君に視線をやると、ものすごく嫌そうにチッ!っと舌打ちされた。
「勘違いしないでくれる?俺、人間は大っ嫌いだから。一心のためになると思うことをやってるだけだし、アンタなんか眼中にないからね」
「は、はい。分かりました…」
「フンッ」
そこまで人間が嫌いなのに、一心君のために学校にまで通って、頑張ってたんだ。
そう思うと、勝手に頬がゆるんでしまう。
「ちょっと!なにニヤニヤしてんの!?」
「アハハ、ごめんね」
あんなに怖い目にあった後なのに、不思議ともう平気。二人がいてくれるからなんだと思うと、ロン君のこともやっぱり憎めない。
「お前は昔から、やり方が分かりにくい」
「一心に言われたくないんだけど」
一心君、ロン君の前だと素をさらけ出してるように見えて、ちょっとだけヤキモチやいちゃうかも、なんて。
「わたし、なにか作ってくるね!」
パチン!と手を叩いて、イスから立ち上がる。
「もちろん、ロン君もたべていってね?」
「は?俺は別に…」
「いいからいいから!」
わたしがいたら、できない話もあるかもしれない。そう思って、わたしはタタッとその場から離れたのだった。
「…ねぇ一心。日向ちゃんってホント、変わってるよね。どこにでもいる、普通の子に見えるのに」
「……」
ロン君がわたしの背中をジッと見つめてることにも、そんな彼に一心君が複雑そうな表情を向けてることにも、わたしは全然気づかない。
よし、なにを作ろうかって、そのことで頭がいっぱいだった。
キッチンに到着したわたしは、お母さんから買ってもらったタブレットスタンドに、タブレットをはめる。これすごく便利で、レシピを見ながら作るためにいつもキッチンに置いてるんだ。
「よし。パニーニを作ろう!」
パニーニっていうのはイタリアのホットサンドみたいなもので、パニーノとも言うらしい。波型の鉄板で長細いパンを挟んで、温かくして食べる。
といってもウチに専用の鉄板はないから、普通に売ってるロールパンとフライパンで、簡単パニーニ風サンドを作る。
まず用意するのは、ロールパン。横に切り込みを入れるんだけど、全部切らないで少しつなぎ目を残しておく方が、具が挟みやすい。
パンが用意できたら、中にマスタードを塗って、半分に切ったハムとチーズを挟んで、ケチャップをかける。
そうしたら熱したフライパンにバターを溶かして、パンを投入。フライ返しで押しつけるようにして、焼き目がついたらひっくり返してまた押しつける。
焦げないように気をつけながら、ぺったんこのカリカリになったら出来上がり。
半分に切ると中からチーズがとろけて、思わずつまみ食いしたくなるくらいおいしそう。
「よし、二人のところに持っていこう!」
エプロンを外しながら、わたしはウキウキした気持ちで再びお店へと戻った。
「おいしい……」
初めはいらないってキョヒしてたロン君も、一心君がパクパク食べてるのを見て、おそるおそる手を伸ばす。
一口かじって、目を細めたまま驚いたようにそう呟いた。
「ホント?よかったぁ!」
ホッとして、笑顔がこぼれる。ロン君はわたしからプイッと視線を逸らすと、勢いよくパニーニ風パンを食べてくれた。
あっという間に彼のお皿はキレイになって、まだ残ってるわたしのパンをジーッと見つめてる。
「よかったら、これも食べる?」
「しかたないから食べてあげ……ウッ!」
ロン君がこちらに手を伸ばした瞬間、一心君が手の平で彼の顔を思いっきり押さえつけた。
「いったいな!なにすんの一心!」
「お前はうるさいから、もう帰れ」
「はぁ!?日向ちゃんがどーしても来てほしいって言うから、俺はわざわざ来てあげたのに!」
「もういいから、さっさと帰れ!」
二人とも立ち上がって、言い合いをはじめた。なにがどうして急にこうなったのか、全然分からないから、オロオロすることしかできない。
「ふん、もういいよ帰るから」
ロン君は一心君に向かって、ベーッと舌を突き出した。
「あっ、ありがとう。ホントにいろいろ」
「そうだよ日向ちゃん。もっと俺に感謝してよね」
「そんな必要は全くない」
「もう!一心はさっきからなんなの!」
プリプリ怒ってるロン君は新鮮だ。やっぱり二人は、仲良しみたい。
ロン君はそのままお店を出ようとして、直前でピタッと足を止める。
「…ちゃんと守れなくて、ごめんね」
振り向かないままそう言って、答えるヒマもないまま彼は行ってしまった。
キレイになったお皿を片付けながら、ついフフッと笑ってしまう。二人がどんな会話をしてたのかは分からないけど、モヤモヤがなくなればいいのにって思う。
「……」
パシッ
急に、一心君に手をつかまれる。ビックリして顔を上げると、拗ねたように唇を尖らせた一心君と視線が絡んだ。
吸い込まれそうなくらい、キレイな瞳。
しかも、めちゃくちゃ距離が近い。
「あ、あの…っ、一心、君…?」
心臓が猛ダッシュしはじめて、ドキドキしてどうしようもできない。最近、一心君に触れられるといつも、自分が自分じゃなくなったみたいに感じる。
上手く、しゃべることすらできない。
「…これは、俺が片付けとく」
一心君はそう言って、パッとロン君のお皿を取ると、自分の分と一緒に持っていってしまった。
「ぷはぁ…っ、ビ、ビックリしたぁ……」
なぜか息を止めていたわたしは、ドキドキと一緒に思いっきり空気をはき出したのだった。
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