無感情な兎が恋をしたようです

sora

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失くしたモノ

1話 兎が失ったもの

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私には、感情がない。

いつからだっただろうか。

私は、
「嬉しい」とか
「悲しい」とか
どーゆーのだったかさえも

忘れてしまった。

心が、壊れてしまったのだろうか。

なら、壊れたままでいい。

辛い思いをしなくてすむから。

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こんにちは。
兎田 萌です。
中学2年生。
お父さんは既に亡くなっていて、
家にはお母さんだけ。
毎日毎日、普通の生活を送っている。
今日もほら、普通に時間がすぎてゆく。

学校終わり

「ねぇねぇ。兎田さんってさ、いっつもぼーっとしてて、何考えてるのか分かんないよね~!」

女子たちがまた言ってる。

どーでもいっか。

家に。帰ろう。

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「ただいま。」

「・・・」

あぁ、またか。
お母さんは私をよくシカトする。
そっちの方が楽でいいけどね。
さぁ、今日も早く寝て、普通の毎日を・・・

「ねぇ、萌。」

「なに。お母さん。」

「なんで、あなたは感情を表さないの。お母さん、そんな子に育てた覚えないわよ。」

「なんで急に・・・。」

「あなたは、お父さんが亡くなってからも、無表情、無感情、無感情!もっと、お父さんのために泣いたりとか、ないの!?」

「ごめん・・・なさい。」

「もう、いいわ。部屋に行ってなさい。」

仕方ないじゃない。

”感情が、無いんだから。”
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