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終章 八月
夜明けのひかり その24 完結
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夜明けのひかり その24(最終回)
病室の窓はとても大きくて暑い外の景色をとてもよく伝えていた。それでいて中は冷房がよく利いていてそとの暑さは伝わってこない、なんとも都合の良い空間だ。その部屋にいるのは「最上さつき」と「湯殿たもと」のふたり。同一人物だけど、まったくの別人。
「さつきちゃん」
「どうしたんですか、たもとさん」
「実はね、私とひーくんは今日で帰るんだよ」
「・・・・・・そうなんですか?!初耳ですよ!」
「ごめんね、もうちょっと長くいられたら良いんだけど帰らなきゃいけないんだよ」
「・・・・・・そうですよね」
時間移動で誤魔化しているとはいえ、もうかなり長い時間をこちらで過ごしている。普通の学生がこんなに長く無断で旅行していればみんな探しているだろう。
「ねぇさつきちゃん」
「なに、たもとさん」
「退院したら夏休みはどう過ごすつもりなの?友達とは出掛けたりするの?」
「友達・・・?」
「そう、友達」
「・・・・・・」
やはり、さつきちゃんは黙り込んでしまう。わかっていたことだけど私がそうだったように仲の良い友達は少ないようだった。
その時病室の扉が開かれて二人が入ってくる。よこちゃんと湯田川さん。ふたりはさつきちゃんの寝ているベッドのそばまでやってきた。大丈夫?痛くない?などと声をかける。さつきちゃんは大丈夫と笑う。
実はこの二人は私が呼んだのだ。ゼロから友達を作るのは大変そうだけど、よこちゃんとはそれなりに面識があるはずだし、湯田川さんは結構社交的でいて優しいし。
「退院したらどこか遊びに行こうよ」
「受験生なのに大丈夫?」
「う、いや大丈夫だよたぶん」
「勉強会」
「そうだね、勉強会もいいかもね、さつきちゃんも来なよ、一緒にやろうよ」
「ありがとう!」
病院の外は見た目通りの暑さだった。短い影の下を選んで歩く。待ち合わせの喫茶店につくと既にひーくんと九尾さんはやって来ていた。涼しい店内で話していた二人のところに行くとどっと疲れが出た。
「たもとちゃん、やりたいことは全部済ませた?」
「済ませたよ」
「じゃあ、もうそろそろ元の世界に帰ろうね」
喫茶店を出て、また町を歩き、お城の跡を通ってとある神社に出る。一人の女性が座って待っていた。九尾さんは彼女と話し出したので、私とひーくんは後ろで待っていた。三分ほどで話がつき、私たちは元の世界に帰ることになる。目をつむって意識が一瞬飛び、そしてまた目を覚ますと見覚えのある風景が広がる。
「はい、これでおしまい。二人とも気をつけて帰ってね、喧嘩しちゃだめよ」
挨拶をして家路につく。途中のコンビニで新聞の日付を見る。旅立った日付と同じだった。まだ夏休みまで何日かあるのを少しだけうれしく思いながら、夕焼けの中を歩いていった。
夜明けのひかり 完
病室の窓はとても大きくて暑い外の景色をとてもよく伝えていた。それでいて中は冷房がよく利いていてそとの暑さは伝わってこない、なんとも都合の良い空間だ。その部屋にいるのは「最上さつき」と「湯殿たもと」のふたり。同一人物だけど、まったくの別人。
「さつきちゃん」
「どうしたんですか、たもとさん」
「実はね、私とひーくんは今日で帰るんだよ」
「・・・・・・そうなんですか?!初耳ですよ!」
「ごめんね、もうちょっと長くいられたら良いんだけど帰らなきゃいけないんだよ」
「・・・・・・そうですよね」
時間移動で誤魔化しているとはいえ、もうかなり長い時間をこちらで過ごしている。普通の学生がこんなに長く無断で旅行していればみんな探しているだろう。
「ねぇさつきちゃん」
「なに、たもとさん」
「退院したら夏休みはどう過ごすつもりなの?友達とは出掛けたりするの?」
「友達・・・?」
「そう、友達」
「・・・・・・」
やはり、さつきちゃんは黙り込んでしまう。わかっていたことだけど私がそうだったように仲の良い友達は少ないようだった。
その時病室の扉が開かれて二人が入ってくる。よこちゃんと湯田川さん。ふたりはさつきちゃんの寝ているベッドのそばまでやってきた。大丈夫?痛くない?などと声をかける。さつきちゃんは大丈夫と笑う。
実はこの二人は私が呼んだのだ。ゼロから友達を作るのは大変そうだけど、よこちゃんとはそれなりに面識があるはずだし、湯田川さんは結構社交的でいて優しいし。
「退院したらどこか遊びに行こうよ」
「受験生なのに大丈夫?」
「う、いや大丈夫だよたぶん」
「勉強会」
「そうだね、勉強会もいいかもね、さつきちゃんも来なよ、一緒にやろうよ」
「ありがとう!」
病院の外は見た目通りの暑さだった。短い影の下を選んで歩く。待ち合わせの喫茶店につくと既にひーくんと九尾さんはやって来ていた。涼しい店内で話していた二人のところに行くとどっと疲れが出た。
「たもとちゃん、やりたいことは全部済ませた?」
「済ませたよ」
「じゃあ、もうそろそろ元の世界に帰ろうね」
喫茶店を出て、また町を歩き、お城の跡を通ってとある神社に出る。一人の女性が座って待っていた。九尾さんは彼女と話し出したので、私とひーくんは後ろで待っていた。三分ほどで話がつき、私たちは元の世界に帰ることになる。目をつむって意識が一瞬飛び、そしてまた目を覚ますと見覚えのある風景が広がる。
「はい、これでおしまい。二人とも気をつけて帰ってね、喧嘩しちゃだめよ」
挨拶をして家路につく。途中のコンビニで新聞の日付を見る。旅立った日付と同じだった。まだ夏休みまで何日かあるのを少しだけうれしく思いながら、夕焼けの中を歩いていった。
夜明けのひかり 完
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