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第1章 始まり 始まり

第3話 首都セントラル

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ゲーム時間、朝11時。

私は、約束通り(Tを着て)ギルドホールの受付にいた。
目の前には、黒髪ロングのイズナさんとセミロングのヒナセさんがいる。

「あのー、すみません」

まず、左側にいたイズナさんがまず言葉を発した。
どうやら今回はストーリモードではないらしい。自由に身体が動いている。

「MaRiKu様ですね。昨日さくじつはギルド試験の合格おめでとうございます」

「MaRiKuさん、おめでとうございます!」

イズナさんと対象的に、ヒナセさんは身体を前に乗り出し言葉を発した。

「ありがとうございます。あの、ムネチカさん、、、えっと、ギルド長はいますか?」

「ムネチカは、現在四大ギルド会議アララギサミットに出席しているため不在です。住居の件でしょうか?」

(このゲームのAIすごいなー、選択肢なしで違和感なく会話できるのはもちろんだけど、言葉遣いとか仕草とかキャラ別に設定されているし、、、)

「あ、はい。住居の件で来ました。ギルド長に昨日、ギルドホールの受付に来るように言われていたので、、、」

頭の中では饒舌に語っているにも関わらず、目の前のAIに緊張し口は不甲斐ない働きしかしてくれない。

「その件ですね。大変申し訳無いのですが、緊急かつ重要な会議であるとのことで、欠席できないそうです。イズナからはもしMaRiku様が来られたら住居まで代わりにご案内するよう、言付かっております。私共がご案内させていただいてもよろしいでしょうか」

「はい。(もちろんその方が何倍もいいです)大丈夫です」

「ではご案内いたします。ヒサセ、ここは任せても大丈夫?」

「うん、大丈夫よ。姉さん。MaRikuさん。また今度ね!」

(この二人、姉妹だったんだ。しっかり者のお姉さんと、お転婆の妹って感じだな)

イズナさんはカウンターから出てくると、出口に向かって歩き出した。
僕はその後ろをとぼとぼと付いていく。
ギルド塔の外に出ると視界が光に包まれ、身体の自由がきかなくなった。

(ストーリーモードはないと思ってたのにまたこれか)

視界が段々とクリアになっていく。

身体が周りを見渡すと、平面の広場のようなところに、真後ろにある職人ギルド塔と同じ大きさの塔が3基と、中央にはひときわ大きな塔が見れた。
身体は見渡す動作をした後、身体が開放され、先程まで誰もいなかったところにキャラクターがポツポツと現れた。
各キャラクターの頭上にはキャラクター名や、NPCといった表記がされている。

(今までは、チュートリアルモードみたいなもので関係のないキャラは除外されていたのかな)

「MaRiku様、人が多いので見失わないよう付いてきてください」

謎は解けないままであったが、声によって現実に戻される。
私がスタスタと近づくとイズナさんは進行方向に向きを変えて歩き出した。

ピコン

今まで姿が見えなかった相棒が姿を現す。

(このドローン、見えない時はどこに隠れてるんだ?)

後ろに付いていきながらそんなことを考えていると、相棒がマップを映し、次の文を表記した。

『首都セントラル職人ギルド、2がマップに登録されました』

『首都セントラル、がマップに登録されました』

そして、自分が歩いているところのマップが狭い範囲ではあるが、少しずつ更新されているのがわかる。

(このゲーム、自分でマップを更新していくのか。面白いなぁ)

ゲームの仕組みについて関心したり考え事をしていると、自然と歩くスピードは遅くなってしまう。
ふと前を見ると、歩くのが遅くなってしまっている私をイズナさんはチラチラ見つつ、歩いたり止まったりしているのがわかった。

(この気を使わせすぎないように話しかけたりせず、気づかれないようにする。まさに神エスコート。やばい、最高です。そして私の語彙力もやばい)
私の中でイズナ様の評価は鰻登りであった。

「クリコネ!」

(ん、なんかクリコネって聞こえたような気が)

「もう少しで到着します」

そんな疑問はイズナ様によってかき消される。
しばらく(さすがに遠すぎ)水路沿いの大通りを歩くと、城門が見えてきた。
その城門のすぐ近くに住居はあった。

「ここがMaRiKu様の住居です。」

2階建てで西洋風のレンガ建築。

(うわ、おしゃれだなぁ~。こんな建物に僕がお店開いていいんだろうか。まぁでも、まて、それよりも)

「(地図見た時にも思ったけど)ここって周りあんまり建物がないんですね」

「はい。人通りはなかなかありますが、ギルドに近いほうが便利ですし、こういうところは不便なことが多々あるんですよね。」

(え、何その情報。知らんかったー)

「あと、ギルド近くの建物とだいぶ雰囲気が違う気がするんですが」

「そうですね。ギルドのすぐ近くの建物は、クランホームと呼ばれ、職業関係ない小規模のチーム、つまりクラン用の建物です。参加したいクランには申請を行うことができます。クランを作るのにはクランマスターライセンスが必要ですが」

(ライセンス?初期ジョブにはなかったやつだな、、、どうやって取るんだろうか。)

「それは、どうやって取得するんですか?」

「それは、、、特別な条件が必要です。としかお答できません。申し訳ありません」

(それはまた残念。クランホームがあれば、ギルド近くで便利かと思ったのに、、、)

「では、最後に、このお店の名前を決定していただきます」

ピコン!!

ダイアログと、キーボードが表示された。

(どうしようかな~ここはわかりやすく魔法の仲介人~とかどうかな。で、後半は少し凝って、好きなものとか縁起の良いものにしたい。休むのが好きだからGWがある5月の早月(さつき)かMay(メイ)、、、なにかの意味と掛けたいな、、、よし)

『魔法仲介人 ”冥”』

結局、商人冥利に尽きるいう言葉をとり、”冥”と”メイ”をかけことにした。

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クリコネ図鑑(ドローン内アプリ)
NPC図鑑 NEW‼
『イズナ・ジム・キラッセ』
『ヒナセ・ジム・キラッセ』
職人ギルドの受付役で双子の姉妹である。
なのでほとんど分単位の違いでしかないのだが、ヒナセがイズナのことを姉と呼び、イズナも何故かそれを受け入れている。
また、性格も正反対で言葉遣いもイズナの方が丁寧なため、周りの人間からは年齢の違う姉妹だと度々間違われている。
また、ムネチカが父であるという事実もセントラル内ではセントラル7不思議に入っているとかいないとか。
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