上 下
24 / 33
肆章 冷エタ“ネザー”山脈

ろく 冷えた身体二つ。

しおりを挟む
あ~あ……期待していたのに。

彼女の心であるサクラは、全知神の友人であるシンと、創造神の弟であるクウマは死亡。

……あの子、そんなに……。

じゃなくては、あんなにあっさり死ぬことはですから。

僕が

まぁ、いいですけど。

……

☆☆☆☆☆☆☆

なんの苦難もなく、頂上までやってこれた。

目の前には、2体のリュウ。

小さめで赤い鱗の竜が、カリス。

大きめで青い鱗の龍が、ネザー。

実の両親を手にかけるのは少しだけ、嫌なところもあるが

まぁ、致し方ない。

だって、

殺さなきゃ、ダメ。

『………?』

名前を呼ばれた。

突然の事で少し動揺してしまった。

…が、相手から

………そうか。

きっと私を

わかるのだ。

なぜなら、

『ねぇ、ユキミ。もしも……聞いて欲しいの。』

爆竜ドラゴン状態は解かないまま、カリスは話を始める。

私は、何も動かない…、密かにを始める。

……始められない。

ネザーはまだ何も言わない。

『ユキミ………もしもユキミが良ければ……………私たちと一緒に、?』

カリスは涙を浮かべるも、その涙の粒は瞬く間に蒸発する。

……やはり、

ネザーは重い口を開ける。

『……おまえが……ユキミか。…ふふ…………。』

……やはり、

…いまから、私は………ことになる。

辛いなんて思っていない。

嫌だなんて…思わない。

………感情はもうとっくに捨てたはず。



包丁を強く握りしめる。



視界がぼやける。


……………あれぇ……おかしいなぁ…。



…どうして…………



……………。

もう誰も信用しないって誓ったのに………


……苦しいなぁ………嫌だなぁ…………

…………雨が降らないはずなのに…

……。


「おかあさん……おとうさん……………………何言ってるのか分からないけれども、私は………この世界ループだけは………ごめんなさい……ごめんなさいっ…!!!」

………刹那の時が過ぎて

いつの間にか、私は。

蒸発が間に合わないほどに、涙が溢れ

……気がつけば、辺りには

2…倒れていた。

…………首からは、血を流していた。

……私は…………私は……………!!

………!!

彼らは…………………遺言も何も残さずに

せっかく強化をして、私を倒そうとしていたくせに………っ!!

……………彼らは………

彼らは…………、選択肢を与えていた………っ!!!

準備をする必要無く………力づくで倒す必要もなく………

ただただ、首を差し出して………!!

『もしも勇気が出ないなら、帰ろう…ユキミ。』

そう、カリスおかあさんは言って…

『でも、先に進むのならば…。』

そう、ネザーおとうさんは言った……!!

…………どうして………




……どうしてこうも…優しいの………!!

………もう私は、ユキミじゃないのに……っ!!

既に私は……殺人鬼ユキなのに……っ!!

彼らは…………私をユキミと呼んでくれた…

………………過ぎたことはもう………

どうしようもない。

サクラも……パパとママも…………

………どうしてこんな私を…………!!

うっ……うぅ………どうしで………!

ごんなどうしようもな゙いわたじを…………っ!!

…………………


…………………………………


……………泣いてても仕方ない……

どうせ全て蒸発してしまうのだから。

…頭ではわかっていても

………涙は止まらない。


…………………


…………………………………


……行こう。

………もう…………

しおりを挟む

処理中です...