もしも生まれ変わるなら……〜今度こそは幸せな一生を〜

こひな

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幕間 〜過去〜

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あの日ホーグワット伯爵家に産まれた子は、それはそれはとても可愛い子だった。
母親の色彩を写しとり、背中にはホーグワット家の子に時々現れるという羽根のような痣がある……産まれた子供だけ見たらとてもとてもめでたい出産だった。


「ダンブレア夫人……セシルの状態は?」


夕方に産気づき、子を産み落とすまで半日ほどかかり、思わぬ難産だった……で終わるはずの出産は今思わぬ事態を迎えていた。


「主治医の先生と…先生の伝手で先程王宮の治癒師の方が到着され治癒にあたっております……ですが……」


『羽根のような痣のある子供』
この子の出産に関するリスクが、こんなにも高いとは伯爵家当主も知らなかったことらしい。いつものような覇気もすっかりなりを潜め廊下をウロウロする様を見ると、この方も普通の男性なのだと実感する。


「旦那様……文献には対処法など書かれてはいないのでしょうか?」


すでに3人目の出産ということもあり、古い文献などはすっかり調べ尽くされているだろうとは思うが、確認の意を込めて聞く。
代々特殊な血を生むと言われる家では、火事などで焼失しない限り、『血』についての言い伝えなどが残っているのが普通だ。
それはここ、ホーグワット家でも当たり前なのだが……


「100年程前にも産まれていたようだが何も。家系図で見ても母親が亡くなった記録はない。むしろ反対で、産まれた子供と共にいた精霊が母親を癒したと……」


それだけ言って俯いてしまった。
無理もないことだとは思う。ただでさえ出産については男性は蚊帳の外なのだ。
出産後の原因不明の容態の急変となるとできることなど何もないのだ。


「カーミラ様とユアン様はどうされていますか?何かあればすぐにお呼びいたします。今はお二人に付いていて頂けると良いかと思います」


そういって部屋での待機をお願いしたが、夫人の今の状態をどう説明したら良いのか……先生と治癒師の方の話を聞くと思案してしまう。


『出血はとうに止まっている。あとは……体力か?夫人の魔力が赤子に流れてしまうのを断ち切ることができない。通常ならへその緒を切ってしまえば流れは止められるのに』


治癒師の苦しそうな顔を思い出し、思わず胸を抑える。

魔力量が突出した子が生まれた場合、ごく稀にだが母親から子へ、魔力が過剰に流れて出てしまうことがある。けれどそれも治癒師が言った通り、へその緒を処置してしまえば通常は止まるはず……なのに。

通常と今回……違いがあるとすれば『痣のある子』である。このままいけば母体側の死は確実で、原因は子供となる。そのままの事実を告げれば母親亡き後、家族間が荒れることが目に見えている。

(皆で乗り越えてくれればいいけれど……)

産まれたばかりの子を見ながら思う。
願わくば母親が助かり、何事もなく過ごせるのが一番だけれど……。


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